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INTERVIEW

BRING ME THE HORIZON

2015.09.16UPDATE

2015年09月号掲載

BRING ME THE HORIZON

Member:Oliver Sykes(Vo)

Interviewer:村岡 俊介(DJ ムラオカ)

-だからこそ楽曲の始まり方が非常に特徴的なものが多いのでしょうか? 「Happy Song」や「True Friends」もそうですが、Track.8「Run」もEDMを彷彿させますよね。それは意識してのことでしょうか?

そうだね。メインストリームに進出することを強く意識しているから、今まで聴いたことのないようなユニークな曲にしたいという気持ちが強かったんだ。コーラスをビッグにしたのもそうだけど、ただのそのへんにありそうなポップなものにはしたくなかった。「Throne」のイントロも何度も編集や書き直しを重ねて作ったよ。努力と新しい試みが特別な形でまとまった感じかな。とても大切なことだよ。"あの部分は○○みたいに聴こえる"と言われるのは構わない。というか、誰かと比べられるくらいの存在になることも大事だと思うしね。それにこのアルバムは内容が多岐にわたっているから、全体的には俺たちらしい音だし。例えばLINKIN PARKみたいなヘヴィなバンドと比較されて、彼らのファン層にもアピールできればいいと思う。

-個人的には今さっき名前を挙げていただいたLINKIN PARK、そにれ30 SECONDS TO MARS、MUSE、楽曲によってはRADIOHEADやBjörkまでをも彷彿しましたが、こういったアーティストからインスパイアされることはありましたか?

Björkのクレイジーなエレクトロは好きだね。たしかにときどき言われる。あとはいわゆるブリット・ポップ、OASISやBLURなんかにも影響を受けている面があると思う。「Happy Song」のコーラス部分はBLURっぽいし、Track.5「Follow You」にはOASISを彷彿とさせるヴァイブがあるかもね。俺たちが影響を受けている音楽は、実はあまりロックやメタルが強いわけじゃなくて、インディーズのエレクトロとか、ポップスの影響も大きいんだ。

-またポスト・ハードコアやメタルコアなどという狭い括りを今作で用いることは無意味ですね。あえてジャンルを問われても"ロック"としか言いようがない気がするのですが、あなたならなんと答えますか?

そうだね。ロックとしか言いようがないかもね。よく"君たちはもうメタルのバンドじゃないんだね"なんて言われるけど、それでいいんだ。もちろんメタルはいつも俺たちの心にあるし、俺たちの出自でもあるけど、今の俺たちをメタル・バンドと呼ぶのはミスリーディングになると思う。俺たちの音楽が何かと訊かれたときにベストな答えは"ロック"だと思うね。特定のシーンに留まるよりはそこから踏み出して、みんなが聴けるバンドになりたい。

-あなたがたのように大きく音楽性を変化させようとチャレンジして、失速したバンドや結局元の音楽性に回帰したバンドはたくさんいます。そんなバンドたちとあなたがたBMTHとの違いはなんだと思いますか?

うまくいかないバンドがいるのにはいくつか理由があると思う。自分たちの予想に反して急速にビッグになってしまうバンドは、みんなにすごいすごいと言われてそうだと思い込んでしまって、それほど努力しなくてもいいと思ってしまうのかもしれない。その状態でスタジオに入ってしまうのかもしれないね。あるいは、変わる必要性は感じているんだけど本当は変わりたくないとか、どう変わればいいのかわからないとか、そういう迷いのあるバンドもあるんだろうと思う。逆に、例えばメタル・バンドがいわゆるコック・ロック(※Cock Rock:男性らしさを前面に出すロック)をやりたいと思ってもバンドがビッグになりすぎてできなかったり、やってみたけどうまくいかなかったからまたメタルに戻るしかないとか、そういうのもあるかもしれないね。そういうバンドは、自分たちの本当にやりたいことから乖離してしまっているのかもしれない。

-たしかにそういった理由はあるのかもしれないですね。

俺たちは運が良くて、大きなバッシングに遭ったりとか変化を気に入ってもらえなかったということがないんだ。でももしそうなったとしても平気だね。俺たちはファンに迎合するためじゃなくて、自分たちのために曲を作っているから、自分たちにとって正直な内容なんだ。それをみんな見てくれているんだと思う。最悪なのは自分の意向に沿わない形で自分を変えてしまうことだからね。そうすると良くない受け止められ方をされてしまって、怖くなって、昔のうまくいっていたころの音楽に戻ろうとする。だけどその昔の音楽っていうのは、当たり前だけど、本当はもうやる気がないわけだろう? 何年か前はうまくいっていたものを作り直そうとしても、魂が入っていないんだからうまくいくわけがない。そうなったら最悪だと思う。みんな気づいているかどうかわからないけど、人ってすごいよ。クソみたいな要素があったらちゃんとそれを見抜くからね。心からやりたいと思っているものは何なのか、本当にやりたいことをやっているのか、それとも金や名誉が目的でやっているのか、わかる人にはわかるんだ。俺たちはもっとビッグになりたいと思いながら音楽をやっているけど、音楽の内容は本当に自分がやりたいことなんだ。これがいい音楽だからやっている。ビッグになるための音楽だからやっているわけではないんだ。その順番が逆になってしまうと、失敗に繋がってしまうバンドが多いんだと思う。

-あなたたちは周りの意見に翻弄されるよりも、自分の心の声を聴くことに長けているのかも知れませんね。

そうだね。俺たちのことを嫌悪する人たちもいるけど、そういうのには耳を貸さないんだ。というのも、セルアウトという言葉の意味を履き違えている人が多いと思うんだよね。今回のアルバムで俺たちがセルアウトしたと思う人もいるかも知れないけど、5年前と同じ音楽をやりたくもないのにずっと続けている方がよほどセルアウトだと思うね。自分のやりたいことをやらないというのは、自分にとっても他人にとっても結局はセルアウトになってしまうんだ。5年前の自分を無理やり引きずることこそがセルアウトなんだ。俺たちは、それだけは絶対にやりたくないと思っているよ。

-ありがとうございます。話は変わりますが、USでは"Epitaph Records"を離れ"Columbia"へ移籍をしましたが、やはり次の目標のひとつに全米制覇があるのかと思ったのですが実際のところいかがですか。

そうだね。他に選択肢があったわけじゃないけど、やっぱりColumbiaに行くというのはとてもエキサイティングなことなんだ。たしか今、Columbiaには若手のロック・バンドがいないしね。もちろんSYSTEM OF A DOWNとかそういうベテランはいるけど、若手は長い間いなかったんじゃなかったかな。こういうロックをメインストリームに押し上げたいという意向は向こうも俺たちも持っているから、これからが楽しみだよ。そういうことをやったバンドは最近あまりいないけど、俺たちはそれを目指したいんだ。

-ありがとうございました。最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

ハロー。俺たちの新作を買ってくれた人たちが気に入ってくれるといいな。2016年にはそっちに行きたいと思っているから、そのときに会おう!