－ツアー前と後で考えは変わりました？

Kyrie：変わった部分はありますね。それこそ歌詞の受け取り方も自分次第で変わるじゃないですか。団長がどんな意図で歌詞を書いたかはあまり大事じゃなく、受け取った人が考えたことやイメージがすべてだと思うんですよ。僕自身もアルバムを作ったときはこういうイメージというものは確実にあったけど、それも変わっていくんですよね。聴く側に立つことはできないけど、聴き方を変えるだけで違う面が見える。人もそうじゃないですか。出会った場所が違うだけで、同じ人でも違う印象を受けるから。『Make A New World』はNoGoDにとって新しい世界を作るという意味だったけど、"新しい世界って何だろう"と。自分は世界に取り囲まれているけど、その世界は自分の中に内包されているもので。結局、自分の中にある世界は自分が見た世界でしかない。ちょっと自分の気持ちを変えるだけで、物事の見え方は変わるのかなと。

団長：小難しいですな（笑）。

Kyrie：自分の中では個人主義的な考えが芽生えてきて、他人どうこうをあまり考えても仕方がないのかなって。

－団長はツアーを経て、どうですか？

団長：う～ん、前回のツアーは非常に疲れる曲が多くて（笑）。いちヴォーカリストとしてちゃんとしないといけない曲ばかりだったんですよ。メロディの乗せ方もだいぶ変わったし、言葉数が増えた分、体力勝負でしたね。あと、『Make A New World』は10周年に向けるための準備というか。俺の中ではあの作品とツアーで1度完結したんですよ。バンドを続けると、こんなフル・アルバムを作れるんだという喜びもあった。で、スイッチを切り替えて、今に至るという。

－なるほど。そして今回のベスト盤は結成10周年、メジャー・デビュー５周年、その節目は意識しました？

団長：俺はベスト盤を作りたかったんですよね。

Kyrie：話は一昨年からあったんですよ。"ベスト盤を出すという意見もありますよ"みたいな。で、去年の４月に、来年辺りに10周年を祝してベスト盤とそれに伴ったツアーをやろうと。

団長：もうこのタイミングしかないなと。毎年勝負の年だけど、今年はいろんな冠がつくので、勝負にしやすい年だから。本来ベスト盤はものすごく売れた人が作るべきもので、俺らみたいなバンドが作るのは100年早いかもしれないですけどね。メジャーに行く前にインディーズ・ベストを出したけど、生産限定だったので手に入らない人もいて、"ちゃんとしたベスト盤を出して欲しい"という声も届いていたんですよ。だから、感謝とより多くの人にNoGoDを知って欲しい気持ちも込めて、ここで1度スタンダードなものを出そうと。そのためにここ2年ぐらいは自分たちのルーツを探るために"神髄"シリーズを出したり、『四季彩』で自分たちの原点であるポップスをやりましたからね。それを通過しないと、このベスト盤は出せなかった。

－タイミング的にも今が相応しいと。内容は2枚組でディスク1は収録時間約51分と短いですね。もっと楽曲を詰め込むこともできたと思いますが。

Kyrie：いろんな話が出たんですよね。ウチらは130曲持ち曲があるけど、たくさん収録しても、どうなのかなって。メンバーでもベスト盤に対する考えが違いましたからね。シングル・コレクション的な内容と、シングル以外にもライヴで稼働してる曲もあるので、それをどう上手く形成すればいいのか。それでこの形態になりました。

－そうなんですね。

Kyrie：ディスク1はシングル・コレクションっぽい内容で、「ノーゴッド」はバンドで初めて作った曲、「愚蓮」は最初のシングル、「最高の世界」はライヴ会場限定シングル曲だったり、そこに新曲を足したもの。ディスク2はそこからハズれて、各アルバムのハイライト曲というか、メジャー・デビュー以降の曲ばかりですけどね。

団長：もちろんシングル曲で入ってないものもあるし、人によっては"これはベストじゃないだろ！"という意見もあるかもしれないけど。いろんな人間がすったもんだした作品なので、大目に見て欲しい（笑）。とにかく、ベスト盤を作るのにこんなに揉めるとは思わなかったです。普段のアルバムよりもクッソ揉めました。途中で"そこまでして出す？"みたいになりましたからね（笑）。