INTERVIEW
ROACH
2012.10.05UPDATE
2012年10月号掲載
Member:Taama (Vo) くぼっち (Gt) 勝也 (Ba) Daisuke (Dr)
Interviewer:ムラオカ
-アルバム・ジャケットでもバンド名よりもタイトルの方がかなり大きいし、フォントもすごくインパクトがありますよね。
Taama:HATEBREED的でかっこいいだろって感じですね(笑)。
-何かに似ていると思ったら(笑)。
Taama:いつもデザイナーのDOCAN!っていうヤツがやってくれているんですけど、METALLICAのロゴをパクってきて、めっちゃ爆笑したんです。“だったらHATEBREEDでいきたい”って伝えて(笑)。HATEBREEDって、英詞を全部読んだ訳ではないですけど、言っていることがめっちゃかっこいいじゃないですか。憧れがめっちゃあるので、彼らのロゴのテイストもいつか使いたいなって思っていたんです。
-バンド名にではなくアルバム・タイトルに(笑)?
一同:(笑)
Taama:1回バンド名でも試したんですが、文字数が少なくてかっこ悪かったんです(笑)。それで“OKINAMERICA”のロゴに入れてみたらかっこいいかもって思って。彼らの意思の強さをお借りしたいなと思います。
-今まではメロディに沖縄テイストを入れることで、より強く“FROM 沖縄”を感じさせてきましたが、今作では歌詞の世界やタイトルなどに沖縄テイストを入れることでより直接的に“息縄”を感じさせますね。日本ではそういう類のことを歌うバンドは少ないですが、世界的に見ればRAGE AGAINST THE MACHINE、NOFXを始めとして政治的な部分にも踏み込んで歌うアーティストというのは至極当然のことですよね?
Taama:自分たちの意見を持って世界に出て行くというのは憧れではありますが、それをなぞるつもりでやったわけではなくて、進んで行くためにはこの時期じゃないといけないというのはありました。きっと彼らは自分たちの意見を持って、もっと政治的なものと、もっと対立しているものとやれていると思うんです。でも自分はまだそこまでは行けていなくて、本当に自分の視点からというだけのスタートなんです。沖縄ってすごくグレーなんですよ。基地の問題に関しても、自分たちが生まれた時からずっとあって、基地があるのが自然で今更いいか悪いかって言われても、正直困るんです。そこで育って来ているから仕方ないし、それをいいって言っても悪いって言っても絶対に誰かが怒るから、みんなあまり言わないじゃないですか。でも、ぶっちゃけこうだよねというのは、各々自分なりの意見を持っていると思うんですよね。グレーはグレーで仕方ないし、まずは極論ではないけど自分なりに1歩何か言わないとこれ以上は進めないなって。彼らほど強くはないし、今の自分に言えることはこれぐらいなんですけど。
-なるほど。「LINE-小さな島の国境線-」ですが、疾走感があって印象的なメロディがあるかっこいい曲ですね。単純に入り口としてROACHを感じやすい曲だと思ったんですが、この曲を1曲目に持ってきたのは今の、新しいROACHを提示する曲という意味もあったんですか?
くぼっち:1番曲の持つパワーが強かったので、1曲目にしたいなと思っていたんです。
Taama:歌詞的にもこの曲を1曲目にしたいなと思っていました。
-曲を作る時はイメージを持って制作しているのでしょうか?それとも自然に出てきたものを形にしていく感じですか?
くぼっち:どっちもありますね。この曲に関しては後からなんですが、怒りとか葛藤など、意思の強さみたいなものが音になっているので、それがTaamaとも最終的にはリンクしたんです。1番最後の大サビの歌詞が全てを完結させているというか、まとめているなと思っています。
-曲として聴くと、怒りなどが内包されていると思うんですが、聴いていても1歩引いてしまう感じではなくある意味優しさのようなものを感じますね。
くぼっち:そうですね。いい意味での怒りだと思います。
-FLiPのサチコちゃんがゲスト・ヴォーカルで参加していますが、最初から女性ヴォーカル有りきで作った曲なのでしょうか?
Taama:メロディとサビの歌詞がある段階でサチコにお願いしていたんです。
-当初から女性ヴォーカルを入れる予定だったんですか?
Taama:まずはサチコを入れたいねっていうところからのスタートだったんです。何か特別な意味があってこの曲に女性ヴォーカルが入れたくてサチコに頼んだという訳ではないです。でも結果的にはこの曲に参加してもらって1番良かったかなと思います。
-Track.2「HIGH FIVE!!」は今までのROACHの曲の中でも特にキャッチーなメロディに焦点が当てられた曲ですね?今までのROACHのファン+新しい層、一般的なロック層に向けてアプローチしているのかなと感じました。
Taama:この曲は最初はなかったんです。制作初期の段階ではなくて、合宿をしてその時にこれだけでは何か足りない気がするという話になって、それからひっくり返してもう1回作ろうということになってできた曲なんです。
くぼっち:楽曲が出揃ってきていて、単純に例えばブレイクダウンが入っていたりというのはもちろんなんですが、そうではないところで本当に一聴しただけでノれちゃうような曲を作りたいなと思ってトライしたんです。でも自分たちらしさは絶対になくしたくないと思って、試行錯誤をして完成した曲ですね。
Taama:曲を並べてみた時に、自分的にあんまりピンと来ないところがあったんです。どういう風にアレンジをして、どういう風に歌詞を当てはめていこうってすごく悩んでいる時期だったんですけど、何かちょっと足りないという話はずっとしていたんです。それで今までと違うことにトライしよう、今までとは違う風を吹かせたいと思ってこの曲ができました。最初にこの曲ができた時には“こんなんできたけど、大丈夫かな?”って思っていたんですけど(笑)。並べてみた時に、メロディの感じとかも今までと違うリズムの入れ方を頑張ってやってみたんですが、それがちょっとずつ形になっていくような気がして、とりあえずこのまま進めてみようということになったんです。そういう感じでやっていった結果、上手くみんなのバランスが取れていったというか。そういう意味では全曲ある意味自然な形でできていきましたね。みんながどんどん変わっていくのって、頑張ってトライしていくからだと思ってたんです。でも意外と最初の1歩を踏み出してみたらそうでもなかったです。自然体で作れたし、肩の力が抜けたのかなって感じますね。
くぼっち:前作まではこういうことにチャレンジしたいとか、そういう考え方でやっていたんですけど、今回はそれを1周して自分たちの中にあるいいものが自然と出てきたという感じですね。