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INTERVIEW

LINKIN PARK

2010.10.06UPDATE

2012年07月号掲載

LINKIN PARK

Member:Chester Bennington(Vo) Mike Shinoda(Vo&Gt&Key) Brad Delson(Gt) Rob Bourdon(Dr)

-あなたたちは常にたくさん曲を書くという印象があるのですが、今回もそうでしたか?コンセプトをまとめていたときに、どの曲がアルバムには不可欠で、作品としてまとめるためには何が必要かということはわかっていたのですか?

C:答えは両方イエスだと思うよ。以前はレコードを作るためにたくさんの曲を書いたよ。でも『Hybrid Theory』やこのアルバムでは、『Minutes To Midnight』や『Meteora』の時のような大量の曲は書かなかったよ。だからこの作品ではあえて意識して違うやり方で取り組んだし、たくさん曲を書いても使われなかったものが集められたお墓のようなものがあってそれをインスピレーションに使ったり、曲には使わなかったけどこのスネアのサウンドはかっこよかったとかの印をつけたりしたんだ。
僕達はすごくたくさん素晴らしいアイデアがあるけれど、他の何かがすごい勢いでやってきたらそっちに気を取られてしまってその作業をしてしまったりして、忘れ去ってしまったりしていたことに気づいたんだ。それで僕達はそれをしないようにしようと決めたんだ。5曲気に入ったものがあったら、その5曲を仕上げようと、そして曲が仕上がりそうになったら、その曲が好きかどうかすぐに判断できるだろうとね。
それで気に入ったと思えるものがあればその曲の作業を続けるんだ。そうすれば曲の数は少なくなるし、レーザー並みにフォーカスした作業ができるからね。でも同時に僕達は、1年で300曲でも曲を書くことができたり、曲に結びつくアイデアがあるバンドだけれどそこから選ぶ過程を挟んでしまうと時間がかかってしまうからね(笑)

-Rick Rubinとの2作品連続しての仕事はあなたたち自身の音楽や人生に対する姿勢に影響を与えたと思いますか?

B:Rickにアートの面で影響を受けたことは間違いないし、彼はとにかく音楽制作においての経験が豊富なんだ。それにヒップホップとロックものから始めた僕達にとって彼は最高の人物で、彼のように両方のスタイル音楽のセンスに長けた人は、間違いなく彼以外には存在しない。Mikeが言っていたように、これまでと違う考え方をし、違うアプローチをとるという僕達にとっての挑戦を与えてくれたよ。
このアルバムの曲のスタイルには流れるような感覚と本能的な感覚があるんだ。僕達の左脳だけで曲を書いていたら無理だったと思うくらいのクレイジーなところもところどころあるしね。スタジオで無意識の中で気持ちの赴くままに行なった実験のなかで生まれた結果であるかのようにね。彼は製作過程においてこういうオープンな雰囲気を引き出してくれたと思うよ。

M:説明しておくと、Bradは、彼がもともとはヒップホップとロックのジャンルをやっていたことによって、一緒に作業をしている時に彼が作業に持ち込むダイナミックさに惹かれたと言っていたけれど、最終的にそこで起こったのはバンドのテイストがそれらの2つのジャンルからより広く広がっていき、彼とこのレコードを作ることを選んだのも彼が手がけてきたそれ以外の音楽ゆえのことだったんだ。
例えば彼はJohnny CashやNeil Young、Dixie Chicksなど、ヘヴィメタルやヒップホップ以外のものも多く手がけている。彼と最近何を聴いている?あれはもうチェックした?というような会話をするのも最高なんだ。僕にとってそれは僕達が同じ言語を話していると感じるすごく幸せなことだったんだ。
そして景色は常に変わるものだから、それに伴い新しい言語を話す。そして同じ場所にいられるというのは僕達にとってとてもクールなことなんだ。

-2作品を通して信頼を重ねたRickとコラボレートするということでより大きな挑戦をすることができたと思いますか?

C:そうだね、Rickの才能はコントロールをするのではなくキャプテンとなることにあると思うんだ。彼は船の素晴らしいキャプテンだけれど、クルーに何をどうしろいうことは言わない。キャプテンの仕事のひとつは機械を任された人がちゃんとその仕事を全うできると信頼することだと思うんだ。
ひとりひとりをこまかく管理する必要などないんだ。彼はそれがとても得意だし、あと何か彼的にしっくりこなかったり気に入らなかったり興味がもてないことがあると、それが嫌いだという風に伝えるのではなく、それが何なのかが僕達にわかるように伝えることに長けているんだ。このパートのここがよくないとかそのトーンがよくないとかとても詳しく言ってくれるし。
もっとおもしろいサウンドにすることができるはずであるとか、ビートが嫌だとか。メロディが強くないとか。彼はここがこうだということを的確に言ってくれるから、パート全体を書き直すということも避けられる。一箇所を直せばいいだけだからね。それはハイハットのトーンだったりメロディをよりよくするということだったりね。そしてリックは僕達をリスペクトしてくれるし、僕達が、やりたいと思うことを実現できると信じてくれるし、彼が僕達を導いてくれて、過去の自分達のどの曲とも違うサウンドを作ることにフォーカスさせてくれて、僕達が音楽的に新たな境地に辿り着けるように背中を押してくれると信じているんだ。

-アルバムにおいて、曲のつなぎ方により洗練された感じがあり、また優しさや美しさを感じる瞬間がありますが、それは自身でも感じましたか?

M:周りでデジタルの会話が流れているような感じがするんだ。最近、誰かとも音楽について同じような話をしたんだけれど、レコードの中のどこでもわくわくさせたり何かすごいことが起きるんじゃないかと思わせてくれるところがあるんだ。楽しんでいても、不安な気持ちだったとしても、その時どんな気持ちであっても、アルバムはそれら全てを取り除いて他のどこかに連れて行ってくれるんだ。
その全てをやってくれるんだ。このアルバムを作っていて一番大変だったのは、その流れを自分達がよいと思えること、更にどのようにサプライズが散りばめられていたり、どこで期待通りに展開するかということだったりを曲の中でやって、さらに全体の曲順においてもそれを実現することだった。
だけど同時にメンバーも歳を重ねて、同じ構成や同じものを何度も聞きたくないというところもあったんだ。僕達が音楽を作るとき僕達は挑戦しながらそれを楽しみ、予想を裏切るものを作りたいと考えているから、曲がちょっとトゥー・マッチだと感じ始めたら、その反対のことをやってみようと切り替えるんだ。
まったく正反対のことをやってみようってね。たとえばサウンドがあまりにグリーンっぽい感じだったら、そこに赤を入れてみよう、みたいにね。またはいかにもこのバンドっぽいサウンドだったら、このバンドが絶対やらないようなことってなんだ?と考えたりして、それを試すんだ。どこに行くか分からない乗り物に乗るような感じで驚くこともあるし、少し待たなければならない時もあるけれど欲しいときに欲しいような結果をもたらしてくれることもあるよ。

R:そうだね、このアルバムを作る過程において、ただひたすら何かとても難しい何かを乗り越えるべく努力しなければならなかったことがたくさんあったよ。それは正しいサウンドを見つけることだったり、昔やったことや、やり慣れた以外の方法で何か新しい要素を曲に足すことだったり。そうすることによって自分達が目指していたところに辿り着けたりしたからね。
だけどそこから抜けだして、新しい何かを見つけなければなかった。新しい楽器、新しいサウンド、すごく違う何かでそのゴールを達成しなければいけなかったんだ。25ぐらいアイデアをパスしながら、僕達はまだ到達できていないとみんなで言いながら何週間も作業を続けなければならない曲もあったし、その時点で、もうギブアップする、ということはすごく簡単なことだった。
他の曲の作業をしようと、ね。でもこのレコードの製作の最初の段階からとても完成されていてあと少しの何かが足りないけれどレコードに入るべきだと感じていた曲がたくさんあったんだ。曲を完成させるためにはその足りない何かを見つけなくてはならなかったし、それが見つかるまでは探し続けるだけだった。