INTERVIEW
LINKIN PARK
2017.05.16UPDATE
2017年05月号掲載
Member:Brad Delson(Gt) Joe Hahn(DJ)
Interviewer:宮原 亜矢
作品を重ねるごとに研ぎ澄まされていくスキルと感性でリスクを恐れずスクラッチ&ビルドを繰り返す革新的バンド、LINKIN PARK。7作目となる『One More Light』は外部のソングライターやヴォーカリストを迎えて、メタル色の濃かった前作『The Hunting Party』(2014年)とは真逆に位置する、リンキン史上最も美しいアルバムを作り上げた。インタビューに応じてくれたのは、前作に引き続きセルフ・プロデュースの一翼を担うBrad Delsonと、日溜まりでまどろむ猫のようにソファに横たわりながらジョークを連投するJoe Hahnのふたり。彼らにとって最もパーソナルなアルバムということで、ふたりのパーソナルな魅力を探るとともに、今作について話を訊いた。
-(Bradが松葉杖で登場)足、どうしたんですか?
Brad:クール・バージョンを話すと(笑)、Whisky A Go Go(※ハリウッドの老舗ライヴハウス)のステージからジャンプして......って実際はそんなことしてないんだけどね(笑)。すごく注意しながらステージから出ようとしたんだけど......エキサイトしすぎたんだよね。
-観客が受け止めてくれるはずだったのに着地を間違えた、と。
Brad:(笑)ま、そんなところだね。
-あくまでクール・バージョンということですもんね(笑)。痛みますか?
Brad:そうだね、少し痛むよ。でもJoeと一緒の部屋にいることよりは痛みを感じないよ。彼はいつも僕を傷つけるから。
-どうして?
Brad:僕はJoeに片思いをしているんだ。
Joe:遠い昔の話だよ......。映像撮影の取材じゃないから横になっているけどいいかな?(※取材当日は終日プレス・デイで彼らはそれぞれTV取材なども複数受けていた)
-もちろん! どうぞリラックスしてください。
Joe:君たちの雑誌は評判がいいからすでにリラックスできてるよ。
-ありがとうございます。眠らないでいただければあとはもうご自由になさってくださいね。
Brad:もしJoeが寝たら僕がパーンって叩いて起こすから(笑)!
Joe:アハハ。でも(眠らない)保証はできないよ~(笑)。
-お願いしますよ~! でも今日は本当にいい天気(=beautiful weather)ですから気持ちよくて眠ってしまいそうですね。
Brad&Joe:本当、いい天気だよね。
-"beautiful"と言えば、LINKIN PARK史上最も美しいアルバムを届けてくださったことにまずはお礼を言わせてください。
Brad:あぁ、そんなふうに言ってくれてありがとう。
-とんでもない。お世辞抜きの正直な気持ちです。聴けば聴くほどこのアルバムはLINKIN PARKのヒストリーにおいて最も美しいアルバムだという思いから逃れることができませんでした。
Brad:君はこのアルバムが僕らの作品の中で最も美しいと思うの? これまでの中で? ワォ! 絶賛だね! ありがとう。
音楽とアートがとても親密なカタチで生まれたのが『One More Light』だよ
-これまでのあなた方の作品を振り返ったときに、もちろんそのどれもが素晴らしかったのですが、"beautiful"という表現のみの印象を持ったアルバムはなかったように思うのです。しかし今作をひと言で表すならば、"beautiful"以外の何者でもないというのが本音です。
Brad:ワォ!(と立ち上がって記者に両手を広げてハグを要求) ワォ! ありがとう!!君を信じるよ!
Joe:それは興味深いね。なぜって"beautiful"という言葉には僕が受けた多くの影響が込められていると思うし、僕は普段いろんな形容でキャラクタライズされてきたけれど、美しいと言われたのは今回が初めてだよ。これまで誰からも言われたことがない。
Brad:Joeが美しいのは外見だけだけどね。中身は違うよ。ん!? ちょっと待った、言い間違えたな。内面は美しいんだけど、外見は......OKって感じ。
-そんなことありませんよ(笑)、外見も美しいです。
Brad:OK(笑)。そんなふうに言ってもらえて素晴らしいなと思ったのは、アートとは対話だと思うんだ。そうだよね?
-はい。
Brad:まず僕らがアートを、音楽を作る。なぜなら僕らはアーティストだから、僕ら自身を表現するためにそうしなければならない。でも同時に、それは自己配信でもなければ孤立したものでもなくて、他の人たちと繋がるようにデザインすることでもある。つまり、アートの半分を担っているのは君で、君にとって感情的なレスポンスが"beautiful"だったのならば、それは僕らにとってとても嬉しいことだよ。僕らはこのアルバム制作にとても時間をかけたし、その結果とてもパーソナルなアルバムになった。僕らは今回、そのほとんどの曲で言葉を優先したんだ。ギター・ソロやキーボードよりもね。音楽とアートがとても親密なカタチで生まれたのが今作だよ。