INTERVIEW
LINKIN PARK
2017.05.16UPDATE
2017年05月号掲載
Member:Brad Delson(Gt) Joe Hahn(DJ)
Interviewer:宮原 亜矢
-なるほど。では音楽面に関してベーシックな質問をさせてください。あなた方6人は、それぞれ好みの音楽や芸術的世界観をお持ちだと思いますが、LINKIN PARKの印象をリフレッシュさせるようなサウンドをいつも作り、私たちを驚かせます。それぞれの思いや嗜好をひとつにまとめるにはどういう過程を踏んでいるのですか? 方向性を決めるメイン・パーソンがいるのですか?
Joe:曲によって違うから一概には答えられないけれど、例えば君が家を建てるとすれば、建築家と様々なやりとりをするよね? 人々が異なるアイディアを持ち寄るんだ。例えば、Bradが構造設計者だとする。
Brad:その喩え、好きだな。
Joe:彼がその異なるアイディアを、装飾などを行うデザイナーのために意味を成すようひとつにまとめて道筋を作るんだ。だけど構造を除いては、基礎としてのサウンド作りの方法があって、Mikeが制限なしにやってきて、サウンドと歌詞を通して表現をクリエイトする。それで、Chesterがやって来てブリッジを作る。例えば、ベッド・シーツやリネン類などのね(笑)。そんな感じだよ。とても表現的に作るんだけど、そのやり方は一定しているね。
-ただ、今作はいつものようにトラックから作ることをせずリリックからという、真逆の方法を取っていますよね。
Brad:そのとおり。
-それってかなりのチャレンジだったのでは?
Joe:長年にわたっての進展なんだ。今回のスタイルは僕らの最初の2枚(2000年リリースの1stアルバム『Hybrid Theory』、2003年リリースの2ndアルバム『Meteora』)で取った方法と同じで、"やり方を変えてやってみよう"って感じで始めたら難しくて予定時間をオーバーしたんだ。実は3枚前の作品でも試したんだけど、できなかったんだ。だから、これまでもやったことはあるんだけど、今作が初めてで、"どうする?"、"OK。これがこの曲の書き方だ"って言えるんだ。すべての曲ではなく、ほとんどの曲がって感じなんだけど、まず制作意図を作り、ベースとなる言葉や歌詞を作って、サウンドを仕上げていったんだ。
Brad:今回のプロセス全体を発見という視点で見ると、ほとんどまるで1stアルバムを作ったような感覚だよ。僕らは『Hybrid Theory』以降様々なことを学んで、ツールを手に入れてきた。それって強みだと思うけれど、同時に、慣れ親しみすぎたと思うんだ。今回の制作のためにスタジオに入ったときに感じたんだ、この制作を通じて何か新しいことを学ぼうとし、チャレンジしようとしているってね。僕にとってはこのアルバムの制作はとてもエネルギッシュなことだったし、とても楽しかったよ。本当にめっちゃ楽しかったんだ。
-それはKiiara(※Track.6「Heavy」に参加)を始めとするヴォーカリスト、そしてソングライターたちとのコラボレーションにおいてもそう感じましたか?
Joe:君が僕をミステリアスだって言ったことが気に入っているからあまり言いすぎたくないんだけど(笑)、だからあまり言いたくないなぁ。ミステリーだよ(笑)、君の憶測の方が事実よりもいいから。
Brad:現実よりもいいね(笑)!
-そんなこと言わずに教えてください(笑)。
Brad:すべてのミュージシャンのソングライティングのアプローチってそれぞれのユニークな方法があるんだ。僕にとって様々なソングライターとコラボレートすることは常に何かしらを学び、誰かの視点を知ることなんだ。たとえそれがメロディを作り始めることであっても、僕らにとって典型的なことではない。何人かのコラボレーターは、メロディの前に言葉を編み出していた。それって僕にとってはどうやって曲が作れるのかすら理解できないどころか、何それって感じで。まるで絵筆を真逆にしてペイントしているみたいな。挑戦して、失敗して、そして成功を実感することによって、曲作りをこれまでとは真逆の方向から行うことが僕個人としても快適だったんだ。今や僕はどちらからでも曲が作れるっていうね。僕にとって曲作り全体に対して開眼したっていう思いなんだ。
-他のアーティストとのコラボレーションによってあなた方の新たな才能が開花したということですね。ところで、東日本大震災から6年が経ちました。あなた方はロサンゼルスでB'zと復興支援のチャリティ・コンサートを開催してくださったり、被災児童にランドセルを寄付してくださいましたよね。改めて感謝申し上げます。
Brad:Music For Relief(※LINKIN PARKが発起人の慈善基金団体)を通してあのコンサートが開けたことをとても誇りに思っているよ。あのコンサートは素晴らしかった。キッズ自らがファンドレイザーとなり、トップ5に位置したファンドレイザーたちはB'zとLINKIN PARKに直接会いに来てくれたんだ。僕らと日本は身近な関係だと思っているよ。1stアルバムのころから僕らは日本へ行っているし、Mikeは半分日本人だし、今年日本へ戻ることを楽しみにしているんだ。それと、Joeは日本へ引っ越すと思うんだよね。
Joe:その途中だよ(笑)。日本は僕らにいろんなものをくれたと思うし、助けてもくれたと思っている。だから、バランスで見てみたらお互い様なんだよ。
Brad:日本と僕らは婚約しているんだ。
-アハハ(笑)。そういえば、11月に来日ですよね?
Brad:大きなショーになるよ。
-これまでとは違うことを何か企画していたりしますか?
Joe:実は本物の怪獣をステージに連れて来ようと思っているんだけど、実在しないんだよぉ。
-はい、実在しません。
Joe:残念だよねぇ。僕が日本を好きな理由のひとつなのに。
Brad:僕らはJoeの代役に怪獣をって考えているんだ。
-いいですね! でも1曲だけ変わるくらいなら客席から観てて面白いかも。
Brad:ノーノー! ずっとだよ!