COLUMN
ESKIMO CALLBOYのいきなり!チャラアゲ伝説。 vol.5
スタジオダイアリー1
俺たちのスタジオに向かって運転しながら、ツアーの良き日々について思い出すんだ。最高のアメリカ・ツアー、素晴らしいフェスティバルの夏......時間がすぐに経ってしまう。1stアルバムである『Bury Me In Vegas』を書き終えたのは昨日のように感じるし、こんなにたくさんのことが起こったのがまだ信じられないよ。でも俺はスタジオに、ツアーについて話しにいくわけでも、ステージ上での新しいアクロバットを練習しにいくわけでもない。俺が今スタジオに行くのは、2ndアルバムのプロダクションのアツい段階が始まったからなんだ。残り3ヶ月、死ぬ程やることが残ってる。俺はいつも通り、1番最後に部屋に入る......でも待って、何かがいつもと違う。
俺たちのスタジオに、冷蔵庫がある。冷蔵庫だよ。今まで一度だって持っていたことはなかった。そして開けた瞬間、これが何のためにあるのか一瞬で悟った。ウィスキー、イエガー・マイスター、ウォッカ、ビール。メンバーそれぞれが自分の体重と同じだけの酒を持ち寄ったかのようだ。サンドイッチの1つもなく、ただロシア人のサッカー・クラブを1つぶっ潰せるくらいのアルコール。俺たちの初日には十分じゃないかな。そしてベッドシーツもあった。たぶん寝るためじゃないかな......でも同時に、床にこぼしたビールを拭くために使われるような気もした。この曲制作の段階で、何が起こるかとても興味深い。だって1番面白いことは、ツアー中か曲を書いている途中に起こるってみんな知っているからね。
どこから始める?
前の週にいくつかのパートは書いたんだ。ダンスのフックや、カッコいいギター・リフとメロディ......でもそれを"曲"なんて呼べる状態ではなかった。じゃあこれを作業の流れに持ち込むには、どこから始めよう?俺たちはその問題をプロフェッショナルに解決することにしたんだ。
理由は聞かないでほしいけど、俺はスタジオにエアガンを持ってきたんだ。だから"ビールを早飲みできなきゃ撃たれろ"という小さなゲームを始めることにした。7、8ラウンド後には数々の血だらけの傷跡が残り、俺たちのスタートに丁度いい温度まで達した......準備は完了だ。
俺たちはあんまりたくさん飲む方ではない。でも曲を書く時に限っては、頭の中のリミットを外すには役に立つんだ。例えば普段は"ゲ、こんなのできないよ"と考えるような状況が"ゲ、こりゃ面白い。みんな聴くべきだ!"に変わるんだ。それを"エスキモー効果"と呼ぶんだ!そして信じてくれていい、新しいアルバムは"エスキモー効果"の結果生まれた音でいっぱいだよ。
数週間過ぎて、進歩はしてた......でも今回は全く違った雰囲気だった。全ての曲制作のプロセスが強烈に感じた。朝早くにスタジオに集まり、真夜中まで離れない。まるでスタジオが新しい家のようだった......そして俺たちは今までにない程ずっと一緒にいるんだ。笑って、喧嘩して、エアガンで撃ち合って......でも心は以前と変わらない。友達同士で、1番愛することをやる。一緒にね。
でも......
それは雨降る土曜日、友達のドイツのバンドと回ったドイツ・ツアーから帰ってきたところだった。日々のルーティーンに戻るのはとても難しかった。守らなければいけないたくさんの約束や期限に全員とてもイライラしていた。様々な創造力に対して、締切というのは致命的だ。自分がすることや造り出すものが、自分ではなく、締切のための作品のような気分になる......
そして誰が始めたのか知らないけれど、何故かビールのボトルがひっくり返った。ただの小さいボトルだったけど、みんな気が狂ったように騒ぎ始めて、ドラムセットに椅子をぶん投げたり、家具に空のビール箱をぶち込んだり、さっぱりわけの分からない状況だったけど、自分たちの物をぶっ壊すためのアホなマニフェストだったとしか思えない。
でも、ヤバいよ、それがめっちゃ気分が良かったんだ!
俺たちはソファーに座って、かつては自分たちのスタジオであった、むちゃくちゃになった部屋の中......その状況が、新譜のタイトルについて最初に考えた時だった。
俺たち自身、スタジオの部屋、全てがグシャグシャに見えた......Mess......その言葉を心にしまっておいた。
ターニング・ポイント
部屋を片付けなければならなくなって、でもラッキーなことに、実際に壊れたものはそんなに多くなかった。ICD-スクリーン、シンバル2つ、椅子1つに練習部屋に続く窓が1つ。レコーディングに影響するものは1つもない。
曲を作り終えたり、1曲の一部でも書き終えたら、それを何度も何度も聴いた。その曲の感覚を掴むために。1回聴いたら飽きるような作品は作りたくなかったから、重要なプロセスなんだ。より良くするために何を加えるべきかの感覚を掴む為にもね。1曲、俺たち全員がすごく気に入って最初のシングルにしたいような曲を書き終えた後に、数人の中で生まれたアイデアがあったんだ。そこには何かが足りなかった、いくつかのパートにもっと深みが必要だったんだ。だから俺たちは7弦と8弦のギターを愛するパートナーであるIbanezでオーダーしたんだ。
次の日、今回の制作段階で重要なパートとなる3本の新しいギターが届いた。
俺たちがそこでやったことは、とても正しいことのように感じた。エレクトロのフックに合わせたキャッチーなコーラスと友達とシンガロングしていると、次の瞬間には8弦ギターのブルータルなサウンドに顔面を殴られるんだ!いや、俺はただのヴォーカリストだけど。でも最初にこの俺たちの曲の音を聴いた時、日々の祈りにIbanezのギターの神様を加えることにしたんだ!アーメン!
それが俺たちの求めていたことだ。あんまり大きく変わりたくはなかったんだ、だって自分たちのスタイルがまだ好きだったからね。でも2枚目の『Bury Me In Vegas』を書きたかったわけでもなかった......そしてこの新しいギターの音は、少し違ったESKIMO CALLBOYサウンドへの第一歩だったんだ。
バカみたいに聞こえるかもしれないけど、リフレッシングな活気がバンド中に行き渡った。もっと色んな新しいことが起こるって分かっていたんだ......!
次回に続く!
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