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LIVE REPORT

キズ

2023.07.17 @日本青年館ホール

Writer : 杉江 由紀 Photographer:浜野 カズシ

鼓膜に灼きつかんばかりのハイエナジーな音像と、網膜に突き刺さってくるかのような高解像度を誇る視覚的演出。この夜のキズが単独公演"君の涙で遊んでいたい"の舞台となった日本青年館ホールで我々に供してくれたのは、何もそうした耳や目を通しての情報だけにとどまらない。むしろ、観客らの耳や目に刺激を与えることはあくまで手段に過ぎず、キズのライヴの真髄とは彼らの放つ音のひとつひとつ、彼らの一挙手一投足、さらにはバンドからのメッセージが託された音と連動する映像なども含めて、その空間に充ちていたものすべてが受け手側の"心を揺さぶってくること"にあったのだ。

"今日は俺らのすべてをあますところなく持って帰れ!!"(来夢/Vo/Gt)。
フロントマンの来夢はMCで長喋りなどは基本しないタイプだが、そのぶん曲中には思いの丈を叫んだりもする。今宵のライヴは昨年5月に続きキズにとって2回目の日本青年館公演であり、すでに日比谷野音やNHKホールでのワンマンも経験しているだけあって、口開けの「傷痕」からして彼らのフル・スロットルぶりは顕著だった。それ以降もとにかく攻めの姿勢が続いていくことになり、前述の言葉は中盤にてプレイされた「リトルガールは病んでいる。」の途中に発された言葉となる。

ちなみに、中盤での「銃声」と「平成」では来夢が共にアコギを弾きながらのパフォーマンスをしていくことになったものの、それらとていずれも"しっとり"と聴かせる雰囲気ではなく、鳴り響いた音の中には躍動感が強く滲んでいた。もちろん、観客側もキズの繰り出す音に呼応しながらヘドバンやら折り畳みをしていく光景を生み出していくことになり、曲の合間ではようやくキズのライヴでも声出し解禁になったのを受け、割れんばかりの大歓声も上がっていくことに。

"......そう。この声を待っていた! 俺らはこの声を待っていたんだよ!! もっと聴かせろ!!!"(来夢)
このあと、本編後半では"劇場版 Collar×Malice -deep cover-"の主題歌に起用されていた「人間×失格」や、きょうのすけ(Dr)の刻むシャッフル・ビートがブースターとなっていた「ミルク」、さらには本編ラストの「地獄」でこれまた場内が激しい乱れぶりを見せ渾沌の様相を呈していったが、むろんこれだけでは終わらないのがキズでもある。

アンコールでの来夢による弾き語りから始まった「黒い雨」では、曲調こそテンポだとはいえ歌詞の持つシリアスな意味性や、来夢の高い歌唱力で紡がれる旋律が鋭く聴き手の心を撃ち抜いたはずで、単純に"カッコいい"という言葉だけでは評しきれないキズというアーティストの希有な存在感がそこには浮き彫りなっていたように思う。

また、そこからの「Mr. BiG MONSTER」ではreikiがギター回しをキメて見せたり、ホールにもかかわらず場内でプチ横モッシュ現象が勃発した「ELISE」でユエ(Ba)とreikiが客席通路を駆け抜けるひと幕もありつつ、最後には"すげーいい曲を書いてきたんで持って帰ってください"という来夢の言葉が添えられたうえ、無情にして切ない"次は僕を見てほしい"という歌詞が美しく響く「十八」で今回の単独公演は締めくくられたのだった。

なお、早くも8月26日には豊洲PITでの次回単独公演"傷"が決定。しかも、このライヴについては一般チケットのほかに"0 TICKET"があるとのことなので、キズに少しでも興味を持たれている方は"#キズ無料"でぜひとも検索をば!

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