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INTERVIEW

キズ

2022.09.16UPDATE

キズ

メンバー:来夢(Vo/Gt)

インタビュアー:杉江 由紀

怖いものなしなスタンスが天晴れなキズは、シーンの次世代を担う今ここから最も注目すべきアーティストのひと組だ。コロナ禍ではYouTubeにて彼らの4周年を記念した企画"一撃"で、THE冠の冠 徹弥、大森靖子、MUCCの逹瑯、ROTTENGRAFFTYのNOBUYA、lynch.の葉月(HAZUKI)などそうそうたるメンツを相手に丁々発止で渡り合う様子がバズったほか、今夏にリリースされた最新シングル『リトルガールは病んでいる。』については、そのセンセーショナルな音と歌詞が人々の耳目を集めることに。10月9日には日比谷野外大音楽堂での初単独公演"そらのないひと"も決定しているなか、ここでは切れ者フロントマン、来夢にフォーカスする。

-10月9日に日比谷野外大音楽堂での初単独公演"そらのないひと"を控えているキズが、いよいよ激ロックに登場ということで、今回はまず"このバンドは何者なのか"からお話を進めさせていただきたく思います。プレス用公式プロフィールに"白塗りという奇抜なメイクとアートなファッションスタイルが特徴的なヴィジュアル系ロックバンド"という記述がある通り、本誌にもメンバー4人中3人が白塗り状態となっている、インパクト大な写真が掲載されているわけですけれど、そもそもなぜキズは白塗りをこんなにも大胆に導入することになったのですか?

自分たちでも想像できないようなことをしていくバンドをやりたいな、と思って始めたら"こう"なってました。むしろ、自分の中には、次に新しくやるバンドでは白塗りをしようなんていう選択肢はまったくなくて。でも、だからこそやったんですよね。たぶん、僕にしてもギターのreikiにしても、メンバーそれぞれが前にやってたバンドのことを知ってる人たちからしたら、このキズでの姿はまったく当時とはかけ離れてるって感じてると思います。今となっては、この白塗りが当たり前みたいになってはいますけど。

-なるほど。このたびあえて音楽のこと以前に、白塗りについての質問を先にさせていただいたのには理由がありまして。というのも、たいていインタビュー記事に必ず写真が付随するわけですけれど、多くの場合はその雰囲気から"この人たちはメタルなんだろうな"、"メタルの中でもデス・メタル寄りであるに違いない"などと、音の傾向まで推測することが可能だと思うのです。ただ、キズの場合は、写真からだけではどのような音を発しているバンドなのかが"想像できない"可能性が高いのではないかなと。昨今はYouTubeなどで検索さえすればいくらでも動画には触れられますが、一応ここではキズの音を聴いたことがない読者の方たち向けに、"キズの音楽的な軸と武器"の部分について、メイン・コンポーザーである来夢さんから解説をしていただけますか。

おー、これは面白いですね。音についての話って、意外と初めて聞かれたかもしれないです。いつも歌詞とかコンセプトについての話なんかはよく取材で話すんですけど、いわゆる"キズの音"っていうものに関してはたぶんこれまでちゃんと話したことないですね。

-では、この際ですのでぜひお願いいたします。

僕はピアノをずっとやっていたので、音楽的な面で根底にあるのは完全にクラシックですね。8月に出したシングルの『リトルガールは病んでいる。』もそうですけど、同期として入れる鍵盤とかストリングスの音はすべて自分で譜面を書き起こしてやってます。人からは見えにくいところで実はめちゃめちゃ努力してるっていう(笑)。

-たしかに、シングル『リトルガールは病んでいる。』の表題曲では、イントロの部分にクラシック的な要素が差し込まれていますが、まさか譜面まで書き起こされていたとは。

そういうベースとしてあるクラシックにプラスして、自分の中の音楽的要素として次に大きいのは日本の歌謡曲ですね。僕、洋楽が基本的に好きじゃないんですよ。メタルとか速い音楽もあんまり好きじゃない。メロディを歌うのが好きだから、歌謡曲が好きなんです。あとは、ヒップホップも大好き。つまり、キズは自分が好きなものだけを集めたミクスチャーをやってるバンドって言ったらなんですけど、自分にとっての"好き"を素直に表現してるバンドだと僕は思ってます。

-もっとも、実際にいろいろな曲を聴かせていただきますと、今回のカップリングとなっている「日向住吉」をはじめとして、キズの音楽は今のお言葉の中には収まりきらないぐらいに、楽曲の幅がずいぶんと広くありませんか?

そのときの自分の中のブームによっても、また違ってくるんでしょうね(笑)。ほんと気分次第で曲を作ってるので、あまり深くは考えてないですよ。だいたい、僕は自分のことをコンポーザーって思ったことが1ミリもないですし。だって、曲作りに一切機材使わないですから。パソコン1台とイヤホンだけで、あとはオーディオ・インターフェースとかキーボードとか何も繋がないで作っちゃうんです。

-低投資で高リターンを生んでいらっしゃるとは実に素晴らしい(笑)。機材や楽器に頼らずとも、来夢さんの頭脳自体が相当ハイスペックなシステムになっているのですね。

いやいや、こんな作り方を褒められるなんて思ってなかったですけど(苦笑)。というか、僕はオーディエンスの存在を前提としない音楽が昔から大っ嫌いなんですよね。自己満足だけで終わるような音楽にはまったく興味なくて、誰かに聴いてもらわないと音楽って成立しないと思ってるんです。だから、ひとりでパソコンと向き合いながら音楽を作る時間がものすごく嫌いで。ずっと画面と睨み合いながらつまらなさそうに作った曲を、誰が聴きたいんだって思いません?

-すなわち、来夢さんが作曲をしているときには、ライヴでその曲をプレイしている際の理想的な光景などを常に思い浮かべている、ということですか。

はい、なんなら全部そこは想定してから作ってます。曲を書こうと思ったときには、見切り発車とかじゃなくもう自分の頭の中で全部が完成しちゃってるんです。作詞や作曲とかをしてる段階では、単純に頭の中の情報をアウトプットしてるだけですね。曲作り自体は友達と遊んでるときとか飯食ってるときとか、あとは移動とか遠征中の機材車の中、風呂の中とかで徐々に頭の中に譜面を作っていくみたいな感じで、パソコンはそれを譜面として書き起こすときに使うっていう流れなんです。

-当然、最新シングルの表題曲「リトルガールは病んでいる。」も、そのようなプロセスから生まれたのだと思いますが、この曲は音も詞も突破力の塊のような仕上がりですね。MVも含めたすべてが鮮烈で、これは明らかなる意図を持って作られたことが伝わってくる楽曲ですが、この衝撃的な表題曲が生まれた背景について教えてください。

キズでは以前「黒い雨」(2019年の8thシングル表題曲)っていう曲を出したことがあるんですけど、今思うとあのときの僕は"ふわっとした世界平和"を望んでたんですね。"自分がこれを歌ってたら世界が平和になるんじゃねぇか"ぐらいに、ちょっと勘違いしてた時期があったんです。だけど、広島や長崎でもライヴをしていったりしたなかで、やっぱり"自分には世界平和は作れねぇな"っていうことが十分わかったんですよ。だとしたら、今の僕が日本のロック・バンドとして、この世界情勢の中で何を歌って何を主張すべきなのか? と今回改めて考えまして。その結果、生まれたのがこの表題曲になってる「リトルガールは病んでいる。」だったんです。隣の国が起こしたドンパチが、そのきっかけになりました。