DISC REVIEW
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突破力を備えた音から感じる圧。詞に詰め込まれた意思から溢れ出る圧。聴く者の心を揺さぶる歌が発する圧。何かと圧の高い今作は、キズにとって重要分岐点となっていく予感大だ。能書きまみれの説教くさい音楽は退屈でしかないが、気づきを得られる音楽からは刺激を得ることができる。形骸化した枠組みに捕われた音楽は凡庸でしかないが、作り手側からして意外性を感じるという音楽は極めてエキサイティングだ。そして、もしこれを反戦歌と決めつける人がいるとしたら、それは思考停止に陥っている兆候ありかと。未だ人類の歴史から戦争が消えたことはなく、大事なものを守るための闘いまでをも一元的に"戦争は悪"と糾弾していては、新しい未来を手に入れることはできない。音も詞も未来志向に満ちた中毒性ある傑作。 杉江 由紀