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LIVE REPORT

KAMELOT

2018.11.28 @渋谷TSUTAYA O-EAST

Writer 菅谷 透

アメリカのメロディック・パワー・メタルを代表するバンド KAMELOTが、最新アルバム『The Shadow Theory』を引っ提げた来日公演を渋谷TSUTAYA O-EASTにて行った。"LOUD PARK"を始めとした来日を経て日本でも人気の高い彼らだが、今回はさらに"ダーク・メロディック・メタル"を自称するプログレ・メタルの新星、WITHERFALLがサポート・アクトとして参加。それもあってか、この日は大物HR/HMバンドの来日公演が東京の各地で行われていたが、開演前から会場はほぼ満員となっていた。

不穏なSEの重低音が緊張感を煽るなか、WITHERFALLのメンバーがステージに姿を現し、「Portrait」のイントロを奏で始めた。最後に出てきたヴォーカリスト Joseph Michaelが"ハロー、トーキョー!"と挨拶し、フロアも歓声で応える。ICED EARTHでも活躍する凄腕ギタリスト Jake Dreyerが流麗なシュレッドを次々と放ち、Josephが妖しげな雰囲気を湛えた歌声を響かせると、観客をプログレッシヴなサウンドの渦で飲み込んだ。続けざまに放たれた、2ndアルバム『A Prelude To Sorrow』収録曲「Moment Of Silence」では、ブラストビートからドゥーミーなリフまで目まぐるしく変わる曲展開をSteve Bologneseが小技の利いたドラミングで自在に操り、モダン・ジャズ・プレイヤーとしても知られる技巧派 Anthony Crawford(Ba)がアンサンブルに厚みを持たせていく。Josephも切れ味鋭いナイフのようなハイトーン・シャウトを繰り出し、オーディエンスからはどよめきが起こっていた。KAMELOTのサポートとして初めて来日できた感謝を伝えるMCのあとは、アグレッシヴなツーバスと、Jakeがステージ中央で豪快に弾き倒すギター・ソロが印象的なファスト・チューン「End Of Time」を披露し、ヘッドバンギングを誘発。フラメンコ・テイストのイントロから徐々に激しさを増していく2ndアルバム収録曲「Ode To Despair」では、バンドの持ち味である静と動のコントラストが際立っていた。ラストの「Nobody Sleeps Here...」では、弦楽器隊がテクニカルなユニゾン・フレーズを乱れることなく奏でていく。Josephもこの日一番の強烈なシャウトを響かせ、大歓声に包まれながらアクトを終えた。大作志向なバンドだけに、約30分の持ち時間は少しもの足りなさもあったが、それでも見る人に鮮烈な存在感を刻んだであろうことは、メンバーへの止まない拍手からも窺い知れた。

セット・チェンジを経て新作『The Shadow Theory』のアートワークを模した巨大バックドロップが現れ、勇壮なBGMが会場のボルテージを存分に高めると、KAMELOTのメンバーがひとりずつ登場。オープニング・トラック「Phantom Divine (Shadow Empire)」が始まるとともに、フードを目深に被ったTommy Karevik(Vo)が照明の逆光の中にシルエットとなって浮かび上がるクールな演出で、早くも割れんばかりの大歓声が巻き起こる。まだリリースから1年と経っていない楽曲だが、当然のように大合唱だ。アルバムにも参加しているゲスト・シンガーのLauren Hart(ONCE HUMAN)もステージに立ち、クリーンとグロウルを使い分けた歌唱で華を添える。ファンによる"Can you hear me?"のコーラスが壮観な「Insomnia」、Tommyの"トーキョー、ジャンプするところを見せてくれ!"という煽りで会場が揺れ、Thomas Youngblood(Gt)のメロディアスなソロも飛び出した「The Great Pandemonium」、イントロから大盛り上がりの「When The Lights Are Down」と、人気曲で畳み掛けるセットリストにフロアの熱気も上昇していく。抜群の安定感を誇るTommyの歌唱やタイトな楽器陣というサウンド面はもちろん素晴らしいが、ドレッド・ヘアを揺らしながらステージを縦横無尽に動き回るSean Tibbetts(Ba)を筆頭に、ライヴ・バンドならではの"魅せる"ステージングも実に格好いい。Oliver Palotai(Key)の伴奏で優しく歌い上げた「Here's To The Fall」では、スマホのライトが灯され幻想的な光景が広がり、Laurenが再び登場した「Center Of The Universe」では、ギター・フレーズを観客がシンガロング。「Karma」、「Amnesiac」でもコーラスが自然発生し、楽曲の持つメロディの"強さ"を痛感させられた。キーボードとドラムのソロを挟み、本編の最後に演奏されたのは屈指の名曲「Forever」。Thomasのギターに合わせてオーディエンスが一体となり、大合唱が巻き起こる。会場のテンションは最高潮に達し、この日一番のシンガロングでキラーチューンを歌い上げた。会場を包み込む大きな"KAMELOT"コールに応え、アンコールではLaurenを伴って「Liar Liar (Wasteland Monarchy)」を披露。フロアを再沸騰させ、濃密で白熱した一夜を締めくくった。

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