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INTERVIEW

NoGoD

2025.09.24UPDATE

2025年09月号掲載

NoGoD

Member:団長(Vo) Shinno(Gt) hibiki(Ba) K(Dr) Iyoda Kohei(Support Gt)

Interviewer:杉江 由紀

僕等の場合は1人じゃなんにもできないからバンドやってる。お互いに頼り合いながらやってきてるのがこのバンドの良さの1つ


-そうしたNoGoDのオリジナリティは、今作『Le: VOYAGE』に録り下ろしの新曲として収録されている「I Can't Say Goodbye」にも、色濃く漂っている印象です。

Shinno:ベストだけど、ここには新曲をリード曲として入れたかったんですよ。そして、誰の曲を使うか? となったらそれに関しても団長が書くべきだろうというのがあったので、これはバンドの総意として団長に投げたって流れでした。

団長:今回のベストに入れる/入れないは関係なく、今年は20周年だし、次に何か出すときのためにと思って曲作り自体は年明けくらいからしてたんですよ。

-その際、団長の中での"狙い"は何かありました?

団長:2015年に出した10周年記念ベスト・アルバム『VOYAGE』に、「walk」という曲を入れたんですけど、今回はあれの真逆の曲にしたいと思ってました。というのも、あの歌詞にはいつバンドの終わりが来るか分からないってそのときの状況とか、精神的に疲れてしまっていた自分の感情、溜まっていたフラストレーションなんかが出てしまっていて、ネガティヴな内容だったんですよね。おまけに、「walk」のときもMV撮影が花粉でひどかったんです(苦笑)。

-花粉までが団長に厳しかったのですね。

団長:ほんと、10周年のときは個人的にしんどいことが多くて。でも、だからこそもうあんなネガティヴなものは出したくないという気持ちが強かったんですよ。それに、今回は、自然と"I Can't Say Goodbye"っていうフレーズが自分の中から出てきましたからね。無意識にこの言葉が出てきたってことは"そういうことなんだな"と。

-ぶっちゃけ、ベスト盤が出るあるあるなタイミングはアニバーサリーかメーカー移籍、もしくは活休、解散が多いと思いますので。『Le: VOYAGE』が20周年をお祝いするものであり、そこに入る新曲のタイトルが「I Can't Say Goodbye」であるということは、ファンであるところの信者の方々にとって実に喜ばしい事実であるはずです。

団長:「walk」の詞にあの頃の自分が出てしまっていたように、「I Can't Say Goodbye」にも、今の前向きな自分がストレートに出てるっていうことではあるんですよね。それをみんなが喜んでくれるんだとしたら何よりです。あ、でも曲に関しては原曲から仕上がりまででだいぶ変わったところがありました。hibikiちゃんにお願いして、テコ入れしてもらったんです。

hibiki:分かりやすいところでは、Bメロのメロディ要素をより強めてポップスみたいな方向に近付けました。ほんとは何パターンか提案するつもりだったんですけど、最初の案が通ってしまったので、意外とすんなり制作が終わってしまった感じでしたね(笑)。それ以外では、イントロにハモリのツイン・ギターによるリフレイン・フレーズを作りまして、"これぞメタル的な!"と思えるカッコ良さを付加しています。それと、曲の冒頭にダイナミックな部分もちょっと付け足してます。最初にドン! って派手さのあるインパクトを加えた構造にしたかったんです。

団長:アレンジやプリプロ前の段階からこういう共作的な曲の作り方をするのは、思い返してみると久しぶりでしたね。近年はメンバー個々のカラーが強調される傾向が強くなってたから、お互いにアイディアを出し合いながら曲作りをすることの面白さを、再確認できたところがありました。

-そうした生い立ちも関係しているのでしょうか。この「I Can't Say Goodbye」は、NoGoDのパブリック・イメージど真ん中な曲調となっているように感じます。

団長:それは意識しました。コード進行もメロディもあえてそこに沿わせてます。と言っても、完全に昔っぽいかっていうとそれはまた違うんですけど。

Shinno:昔みたいなことを今そのままやるのはそりゃ難しいよ。

団長:やろうとしても、どうしても今の感覚だと"物足りないな"ってなっちゃいますからねぇ。20年もやってると、いろんな味を知って我々もグルメになってるんです(笑)。この「I Can't Say Goodbye」は、現在進行形のNoGoDが、初期衝動みたいなものも少し入れて作った新曲になってると思います。

Iyoda:この曲はプリプロの終わったデータをいただいたとき、自分に何が求められてるのかがすごく分かりやすかったですね。熱量の高いエッジの効いたリフ・メタルみたいな曲だったので、よりその要素を高めるべく自分も熱量の高いプレイをしていきました。

団長:熱量が高いついでに、曲作り段階ではドラム・パートをあれもこれも貼っ付けてデータを作っていってたから、ドラムはこれ叩くのえれぇ大変だったでしょ?

K:完成形のデータを貰ったときは"おい、これ叩けるのか?"ってなりました(笑)。最終的に最も大切にしたのは疾走感で、どちらかというと自分は後ろノリなタイプなんですけど、リフに合わせてクリック無視で前のめりに叩いていくようにしたんです。

Shinno:僕は今回「I Can't Say Goodbye」のためにまず機材を揃えました。というか、買わされました(笑)。

団長:プリプロした段階でhibikiちゃんと盛り上がっちゃったからねぇ。"これやるにはあれが必要でしょ。絶対いるっしょ!"みたいなノリになっちゃってたんですよ(笑)。

Shinno:まぁ、そこは生まれるべくして生まれたというか。僕にこんな音でこう弾いてほしいという希望に応えたまでのことなので、僕としては団長とhibiki君にお膳立てしてもらってそこに便乗をした感覚が強いですね。機材は買わされましたけど(笑)。

-そこは未来への投資にもなるのではありませんか。

Shinno:あぁ、それはそうですね。前回のレコーディング時はhibiki君に高級な機材を貸してもらってましたし。せっかく買ったので、今後も活用していこうと思ってます。

-それから、この「I Can't Say Goodbye」については団長のヴォーカリゼイションも圧巻です。これだけの高いキーでここまで伸びやかに美しい歌を響かせていらっしゃるのは、驚異的でさえあり、20年前よりも10年前よりも歌の輝きが増していますよね。

団長:そこは自分で『Le: VOYAGE』を聴いていても、時代を遡れば遡る程"このときは歌えてなかったなぁ"って感じますね。自分としても今が一番"歌えてる"なって思います。

-人間の声帯は半ば消耗品なところがあり、場合によっては経年劣化してしまうケースもあるようなのですけど、20年を経て団長が今ベスト・コンディションにあるというのは、メンテナンスや歌唱技術の開発等様々な心掛けによる賜物なのでしょうね。

団長:キー的に言っても、たぶん「I Can't Say Goodbye」は過去イチ高いんですよ。喉って環境に左右されやすい楽器ではあるだけに、今まさに良いテンション感とポジティヴなマインドでバンドをやれていることが、良い影響を及ぼしてるところも大きいと思いますね。なんなら歌としては二十歳の頃より断然安定してるんで。現状、精神状態がいい形に保たれてることでなんとか老いに抗えてるのかも(笑)。

-NoGoDにはますますの名人芸ぶりをここからも発揮していっていただきたいところです。なお、今作は10周年記念ベスト・アルバム『VOYAGE』に続く作品ということで、"Le: VOYAGE"と冠せられたそうなのですが、そのあたりの経緯も少し解説をしていただけますと幸いです。

団長:意味合いとしては、『VOYAGE』からさらに発展したのが『Le: VOYAGE』という位置付けで、本来の綴りだと"Re: VOYAGE"なんですけど、そこに"Le voyage de ma vie=私の人生の旅"って言葉を重ねて、"Le: VOYAGE"の表記にしてます。あと、わざわざフランス語を使ってるのは、ヴィジュアル系たるものフランス語を使わずしてどうする! というところからですね(笑)。

-やや唐突なヴィジュアル系リスペクト要素のようにも思えますが(笑)、なんでも『Le: VOYAGE』では、アートワークの面にも団長がこだわりを詰め込まれたのだそうで。

団長:『Le: VOYAGE』のジャケ写は、『VOYAGE』のジャケ写デザインを下敷きにしているところがあって、それとなく"あれから続いてきている"ことを示唆したものにしてあるんです。しかも、今回の場合はモチーフとしているのは樹木で、なおかつメンバー・カラーを活かした新衣装が、それぞれに花を描いたものになっているため、そこにも関連性を持たせてます。要するに、我々は今後も枝やツルを伸ばして成長し、もっと花開いていきますよという意思も表しているんですよ。

-なるほど、そういうことでしたか。生命力を感じるデザインですものね。

団長:今振り返ると『VOYAGE』のほうは、ジャケ写デザインも何色かのモヤが渦巻いているような感じで、当時のモヤが掛かったような精神状態ともちょっとシンクロしてたのか、わりと抽象的な雰囲気だったんですけどね。今回は伝えたいことがもっと明確だし、あの頃よりもNoGoDはいろんな面で"根付いた"と思うんですよ。

-それだけ地に足のついた活動を重ねてきていらっしゃいますものね。

団長:全てはメンバーや関わってくれる関係者、応援してくれる皆さんのおかげなんですけどね。20年もやってくると、結構"学生のときに聴いてました"と言っていただける機会もあって、自分たちがやってきたことって無駄じゃなかったんだなって感じることが、近年は増えてきてもいるんですよ。そうやってNoGoDの存在が誰かの中に少しでも根付いているんだとしたら、そこもアートワークに反映させたかったんです。ちょこっとだけ奥に光が差してるところには救いもあって、僕の意向をこんなに素敵なジャケットにしていただいて、デザイナーの方にも心から感謝してます。

-さて。『Le: VOYAGE』のリリース直後からは、"NoGoD 20th ANNIVERSARY 単独大布教20/20「VISION QUEST」"が始まります。ぜひこちらに向けた各人のヴィジョンもおきかせください。

団長:僕としては、今回のツアーをNoGoDの成人式として捉えてるんですよ。近年では18歳で成人ということみたいですが、我々は昭和の人間なので(笑)。

-"VISION QUEST"というのは、ネイティヴ・アメリカンの社会における成人の通過儀礼を表す言葉のようですね。

団長:昔からネイティヴ・アメリカンの文化や歴史には興味があったんですけど、"VISION QUEST"は神事的な意味を持ちつつも、信仰する対象は大地とか自然そのものですからね。そういう漠然としたところがNoGoDに相応しい言葉だなと感じて、このツアー・タイトルを付けました。

-全20公演と今回は本数も多めではありませんか。

団長:初めて行く街もありますから。楽しみなんですよ、セミファイナルの八王子。

hibiki:八王子は私の出身地なんです。

団長:Koheiちゃんが参加するようになってから初めて(地元の)豊橋も行ったので、hibikiちゃんがお世話になってきた八王子にもやっぱり行かないとねぇ。

Shinno:セミファイナルってことは、きっとただじゃ終わんないライヴになるんだろうなぁ(笑)。八王子に限らず、各地で全員参加型のライヴにしていきたいですよね。

hibiki:面白おかしく、でも演奏はちゃんとしながら、という形での20公演をやりきって来たいと思ってます。

Iyoda:いろんな街でたくさんライヴをできるのが、僕も今からとても楽しみですね。NoGoD の記念すべきツアーで、ベスト・アルバムを引っ提げての旅でもあるので、僕がギターを弾いている楽曲ももちろんなんですけど、1年目から17年目にかけての僕が弾き始める前の楽曲たちも大切にしながら、全国津々浦々回っていきたいです。

K:僕からはですね。まだメンバーの誰にもセットリストを教えてないんですけど、"大変ですよ"とだけ言っておきます。あ、これはメンバーも観に来る側も大変ですよという意味ですから。成人式というくらいなんで、やりたい放題に暴れてやろうかと思ってます(笑)。

-フロントマンである団長は、予想される"大変"な事態にどう立ち向かわれます?

団長:さっき、「I Can't Say Goodbye」についての話の中で、"今が一番「歌えてる」"とは言っちゃいましたけど。ラスサビ前あたりはhibikiちゃんに同調して自ら難しくしたところもあり、ライヴに向けては自分で自分を追い詰めた感がちょっとありますんで(笑)。でも、それを乗り越えてこそさらにその先に繋がるんじゃないかと思ってます。"お前、ここまでちゃんと行けるのか?"って自分に課したことをクリアしていきたいです。

hibiki:とりあえず、いよいよしんどかったらマイクを客席に向けちゃえば?

団長:俺それは一番嫌なのよ! 自分が観に行った立場だったら"全っ然サビ歌わないじゃん!"って絶対思うもん(笑)。

hibiki:あははは(笑)。

団長:ライヴ・バンドとしてのNoGoDは、20年一貫して同期を走らせてないという誇りもあるんで。その代わり、皆さんの力がだいぶ必要なバンドではあるんですよ。コーラス部分とかサビのハモりなんかは我々だけだと忙しくて人手が足りないので、ぜひ協力してください。リアルに皆さんの力がないとライヴで曲たちを完成させることができません。そして、成人式ってゴールじゃないですからね。むしろここからなんです。始まりの儀式をみんなで一緒に作っていきましょう。よろしくね!