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INTERVIEW

BabyKingdom

2024.03.12UPDATE

2024年03月号掲載

BabyKingdom

Member:咲吾-shogo-(Vo) 志記-shiki-(Gt/Mani) もにょ-monyo-(Ba) 虎丸-toramaru-(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-もちろん、この「FUNNY∞CIRCUS」以外にも、今作には様々な楽曲が収録されておりまして、先ほども少し話題に出ました「Burning FIRE!」はアルバムの冒頭を飾る大事な役割を担っております。ぜひ、この楽曲についての生い立ちも教えてください。

志記:これは去年ORIANTHIさんの来日公演を観に行ったとき、そこでオールド・ロックな感じのフレーズをすごくカッコ良く弾いていらっしゃったんですよ。そこで、自分の中で"ロックやりてーな!"という欲求に火が着いたというか。そういう気持ちで書いたのが「Burning FIRE!」だったんです。BabyKingdomのロック・バンドなところを改めて示したかった曲ですね。だから1曲目にしたというのもあります。

-「Burning FIRE!」には1970年代の香りが漂う雰囲気もありますが、虎丸さんはどのようなスタンスでプレイされたのでしょう。

虎丸:これはハード・ロックやな! と思いながら楽しく叩きましたね。自分はメタルとかハード・ロックで胎教されて育ってきた人間なんで、なんなら今回のアルバムで一番好きなのは「Burning FIRE!」かもしれません。

-意味合い以前に言葉のパンチ力で勝負している"Burning FIRE!"という曲タイトル自体も、非常にロックで素晴らしいです。

咲吾:詞もこれは脳筋? というか、脳味噌が筋肉みたいになったような状態の力技で書きましたね(笑)。「FUNNY∞CIRCUS」で脳味噌を使いすぎたせいもあって、頭を使わずにストレートな詞を書いたらこうなったんですよ。

-それから、これまた先ほども曲名が出てきていた「ハーレクインの憂鬱」については、オールド・ロックというよりはもう少し近代的なロック・チューンで、ライヴで盛り上がりそうなアッパーな曲調が特徴的ですね。

志記:これはヴィジュアル系が好きな人たちに受けが良さそうな曲、という狙いで作ったものですね。BabyKingdomのことをまだ知らないバンギャの人たちに向けて、こちらから手を差し伸べるような気持ちで作った曲なんですよ。と同時に、これは今の俺が"ヴィジュアル系の最先端"を形にするとこうなる、っていう提示でもあります。

虎丸:曲の後半にめちゃくちゃツーバスを踏むところがあるんで、バンギャの人たちはライヴでこの曲をやったときはぜひその部分でアガってください(笑)。

もにょ:これとさっきの「Burning FIRE!」はわかりやすい曲だけにベースは隠し味になってるので、僕としてもみんなにはとにかく歌とかメロディ・ラインを存分に楽しんでもらえると嬉しいですね。僕自身も、そこを楽しんでる曲たちになってます。

-「ハーレクインの憂鬱」は歌詞が女性目線で書かれているような印象ですが、こちらについても咲吾さんから少し解説をいただけますと幸いです。

咲吾:サーカスの衣装とかでも使われる菱形のデザインって、ハーレクイン柄という名前なんですよ。僕もその件は最近知ったんですけど、そもそもハーレクインという役柄の人がそのデザインの衣装を纏っていたらしいんです。まぁ、現代人にとってはハーレクインっていうとたぶん"バットマン"に出てくるあの役柄のイメージが強いと思うので、色づけとしてはそのイメージもここにはちょっと重ねてます。名脇役としてのハーレクインを描きながら、女性の強さの部分を表現したかったんです。

-8曲目の「VILLAINS PARTY」 は作曲も咲吾さんが手掛けられたそうですが、ここでの"ヴィラン"というテーマは当初から想定されていたのですか?

咲吾:今まで自分が作ったことのないタイプの曲を形にしてみたい、というところから始めたのがこの曲でした。ピアノとメロディとリズムだけ打ち込んだものを志記に投げて、それを曲として仕上げてもらった感じですね。これまでの自分の曲ってどれも爽やかなものが多かったんですけど、これは最初から怪しさの漂うものにしたかったので、ある意味その時点で"ヴィラン"のイメージはあったんだと思います。

志記:編曲家として曲と向き合う場合、自分は必ずメロディとともに歌詞もちゃんと読んでからやっていくんですけど、この「VILLAINS PARTY」はメロディからも詞からも咲吾が"何をしたいと思っているのか"が明確に伝わってきたので、とてもすんなりと作っていくことができました。

-そういえば。「VILLAINS PARTY」には"犯行声明"というフレーズが出てきて、そのあとに来るのが「ハイ逮捕」ですよね。このアルバム構成は偶然なのですかね??

志記:そこは僕が狙って並べました!

咲吾:僕はまったく意識してなかったです(笑)。

もにょ:僕も完成してから、聴いてて"たしかに繋がってる!"って思いました(笑)。

-かくして、様々な隠し技、必殺技が連発されていく『FUNNY∞CIRCUS』ですが、11曲目には「MOON WALK」という落ち着いたトーンの新曲も収録されております。こちらは他の楽曲とはまったく異なる質感を持ったものになっている印象ですね。

志記:「MOON WALK」は曲も詞も僕が書いていて、仮タイトルは"死ぬならあなたのそばで"だったんですよ。なぜそういうタイトルになったのかというと、いろんなバンドさんが解散したり終わっていく姿を見ると、そんなときにファンが隣に寄り添ってくれてるっていうのはきっと幸せなことなんだろうなと感じることがあったからなんですね。特に、コロナ禍になってからはファンのみんなのありがたさというものをより強く感じるようになったし、前は正直言うとインストア・イベントとかも得意なほうではなかったんですよ。でも、僕の書く曲を求めてくれて、BabyKingdomに会いたいと思ってライヴやインストア・イベントに足を運んでくれる人たちって、ファンの人以外に存在せぇへんやん! っていうことにようやく気づけたことから、その気持ちを曲と詞で表したのが「MOON WALK」なんです。

咲吾:バラードって詞に書き手の想いが反映されるから、この詞には志記の人生が詰まってるなと思いましたね。とはいえ、このサーカスがテーマのアルバムにいきなり"死ぬならあなたのそばで"っていうタイトルの曲が入るとさすがに浮いちゃうんで、そこは志記が不器用に歩いてきた人生を月面歩行になぞらえて"MOON WALK"ってしました。

志記:これはバンドとファンの関係を歌ったものでもあり、ラヴ・ソングにも聴こえるようにしたんですけど、きっとバンドとファンの関係って恋人同士と近いんじゃないかなと思うんですよ。お互いに必要としている、という意味で。僕自身もいろんなアーティストに対して"この曲を作ってくれてありがとう"って何度も思ったことがあるし、みんなと一緒に楽しい時間を共有していきたいっていう気持ちもずっと変わってません。

-「MOON WALK」で少し切ない気持ちになりつつも大事なことに気づいて、そのうえ最後に向けては「友達ロケンロー!」と「PENGUIN DIVE」でテンションがまた爆上がりし、B typeについてはボーナス・トラックの「スタースマイル」でもハッピーな気持ちになれる、という『FUNNY∞CIRCUS』の流れは完璧ですね。

志記:このアルバムに関しては、いろんな場面を見せていきたいという思いもあったし、でも最後は聴いてくれるみんなのことを勇気づけたいっていう気持ちも強かったですからね。そこをしっかりと打ち出せたと思います。「スタースマイル」は"星の王子さま"をモチーフにして作った曲で、小学生とか子供向けの曲も作っておきたいと思って形にしたものなんですよ。ほんとにこのアルバムは、年齢とか性別とかジャンルとかいろいろ飛び越えた"みんな"に聴いてもらえたら嬉しいです。

虎丸:普段の自分はアルバム単位で音楽を聴くことってほとんどなくて、シングル単位で聴くことばっかりなんですけど、こうやって作ってみたらアルバムっていいものなんだなって思いましたね。"こんなにいっぱい曲が入ってるって面白いんやな!"って。そして、志記さんがこの考えた順番で聴くっていうのも楽しいと思います。

志記:ほんまは、俺も"今の時代、アルバムとか意味ある?? みんなサブスクで曲単位で聴くでしょ!!"って思ってたほうなんですけどね(笑)。でも、作ってみたらアルバムならではの良さってあるなということにめちゃくちゃ気づかされました。ファンのみんなには、一度でいいからこの曲順で聴いてみてほしいですね。

もにょ:BabyKingdomにとっては、今回の『FUNNY∞CIRCUS』って事務所から独立して出す初めてのアルバムでもあるんですよ。自分たちで歩み始めた「満天モンキーウェイ」からの軌跡がここには詰め込まれてますし、BabyKingdomを続けるために自分が代表になって会社も作り、セルフプロデュースで完成させた初のアルバムという点では、"これからもBabyKingdomを続けていきますよ"と表明するような作品にもなったのかな、という手応えを持ってます。このアルバムを完成させるまでには、レーベルのスタッフの方々や、激ロックさんをはじめとしたメディアの方々、ファンのみなさん、たくさんの人たちに支えられてきたことにも感謝してますし、バンドとしてはより成長して自信も持てるようになりました。まぁ、個人的には体重的にも成長しましたけど(笑)。

咲吾:自分の成長、っていうのは僕もすごく感じてますね。そして、このアルバム・タイトルの"FUNNY∞CIRCUS"に"∞"を入れたのは、BabyKingdomが今年で8周年を迎えることや、そのマークの通りにここから無限大にもっと成長していきたいっていう気持ちも込めてのことだったんですよ。当然、その想いはこのあと始まっていくツアー"spring oneman tour『INFINITY of CLOWN』"でも表現していくつもりです。夏には僕の生誕ライヴで、京都のKBSホールっていう僕らにとって最大キャパでのライヴ("8周年記念ワンマンツアー『おいでよ!べびきん祭』TOUR FINAL『咲吾生誕祭~ワガママ王子のお遊戯会2024~』")も決まってますし、そういうひとつずつの可能性をこの先に繋げていきたいと思います!