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INTERVIEW

BabyKingdom

2023.07.11UPDATE

2023年07月号掲載

BabyKingdom

Member:咲吾-shogo-(Vo) 志記-shiki-(Gt/Mani) もにょ-monyo-(Ba) 虎丸-toramaru-(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-対して、もう1曲の表題曲「ハイ逮捕」はポップな歌い方になっている印象です。

咲吾:比較すると「FAKE in PHANTOM」は全編を通して世界観を伝えていく歌い方をしたんですけど、「ハイ逮捕」はサビで全ブッパでいこうっていう歌い方をしました。サビのメロディと歌詞の親和性もすごく高い曲なんで、そこを思いっきりハジけさせたかったんです。1回聴いたらもうサビが頭から絶対抜けない! っていう曲を目指しましたね。

-曲作りの段階から「ハイ逮捕」はこれだけインパクトの強い楽曲だったのですか?

志記:僕の中では日本の警察よりアメコミ風ポリスをイメージしながら作った曲で、音的には「FAKE in PHANTOM」と比べるとトラック数は意図的に減らしたうえで、こっちは70年代後半から80年代にかけての洋楽ポップスの雰囲気が漂うようなサウンドに仕上げていくことを目指したんです。それと、こっちについてはTikTokとかで踊れるような軽さも欲しかったんですよね。だから、スマホで再生したときに映えるような音作りも狙いました。

-では、その「ハイ逮捕」で楽器隊の方々が重視されたのはどのようなことでした?

虎丸:ドラマーとしては、ヴォーカルに合わせたフレーズを叩くことを重視しました。そして歌詞の内容に合わせる意味で、音の中にかわいさを入れていくことも意識しましたね。

もにょ:僕はまさに王道ポップスな感じて弾かせていただきました。こっちも令和の時代にオールドスタイルな録り方をしてます(笑)。

志記:ギター的にはあんまり難しいことはしないと決めてましたけど、でもサビのフレーズにはかなりこだわったかもしれないです。最近の音楽ではあんまり使わない、フルコードを効果的に鳴らして使ってます。

-音数そのものは「FAKE in PHANTOM」よりも少ないとのことでしたが、1本ごとの音が持つ存在感は「ハイ逮捕」のほうが強いですね。

志記:そうなんです。音をたくさん入れてある「FAKE in PHANTOM」とは逆に、「ハイ逮捕」のほうはギター、ベース、ドラムの3本で基本的には完結できるようにアレンジしてるんですが、そのぶんひとつずつの音がしっかり出てるんですよ。そこをわかっていただけて嬉しいです。ありがとうございます!

-なお、今回の「ハイ逮捕」と「FAKE in PHANTOM」についてはすでに2曲ともMVがYouTube公式チャンネルにアップされておりますので、できればみなさまにはそちらもぜひご覧いただきたいところですよね。

咲吾:ちゃんと2曲の世界が追うほうと追われるほうで繋がるように作ってあるので、両方のMVを観てもらえるとより今回のアトラクションを楽しんでもらえると思います。

-それから、先ほども少し話題に出たカップリングの「ちょうだい!君の心臓」も今回のコンセプトに沿った曲となりますが、個人的にはこの曲の粋な空気感にかなり痺れました。どことなく往年の大野雄二の作風を彷彿とさせる音になっていますよね。

志記:それ、当たりです(笑)。まさに今回の曲作りをしていたときに、参考にしてよく聴き込んでいたのが「ルパン三世のテーマ」を作った大野雄二さんと「名探偵コナン メイン・テーマ」を作った大野克夫さんの曲たちだったんですよ。

咲吾:でも、歌のほうは志記から"ジュリー風、沢田研二風に歌ってくれ"って言われていて、なんとか自分なりに寄せてみました。昔お父さんが好きでよく聴いてたんで、それを思い出しながら歌いましたね。

もにょ:と言っても、今のZ世代の人たちは80年代ポップスとかルパンとかジュリーって言ってもよくわかんない可能性もありそうですよね(笑)。

-だとしても、今作はBabyKingdomがそうした過去のレガシーたちに対するリスペクトを、2023年の作品として仕上げたものですからね。そこにはZ世代の人たちにとって新鮮だと感じる音が、あれこれと詰まっているのではないかと思います。それに、もう1曲のカップリング「監獄☆BEAT」(※C typeのみ収録)も、これはこれで90年代から一世を風靡したユーロビートのニュアンスが濃厚に漂う仕上がりですしね。今作は各曲における着眼点がそれぞれに秀逸ですよ。

咲吾:当初は別の曲をカップリングとして書いてたんですけど、曲作り期間とツアーが重なっていた時期にCDショップのイベントで、急にユーロビートの話になったんですよ。で、それ以来ユーロビートの曲がどうしても作りたくなっちゃって(笑)、制作途中で急遽こっちにカップリングを変更してもらったんです。

-そんな「監獄☆BEAT」も、しっかりと詞世界は"警察と怪盗"の延長線上にあるわけで、やはりそのあたりもぬかりはないのがBabyKingdomらしいところですね。

咲吾:この歌詞は看守が囚人たちをひと晩だけ解き放って、踊り狂う無法地帯で鳴ってるユーロビートをイメージして書きました。

-ところで。ここまでガチなユーロビート曲であるということは......今後のライヴにおける「監獄☆BEAT」についてはどのようなパフォーマンスになっていくのでしょうか。

咲吾:まぁ、ドラムは基本いらないタイプの曲ですからね。虎丸にはラスサビまでは前で僕と一緒にパラパラを踊ってもらおうかと思ってます!

-虎丸さん的にはそれってアリです?

虎丸:全然OKです(笑)。

もにょ:僕は踊るならステージには立たないってメンバーに言いました(笑)。なので、この曲ではライヴ用のアレンジで弾くことになる予定です。

-なるほど。とにかく、今作『ハイ逮捕/FAKE in PHANTOM』を実演していくことになるツアー"summer oneman tour『太陽と月光の反響音』"は各地2デイズでそれぞれ"警察と怪盗"を表現していくことになるそうですから、とても見応えがありそうですね。しかも、このツアー・タイトルがまた最高ではないですか。

咲吾:これは太陽が警察、月光が怪盗を象徴したタイトルになってます。そして、反響音は"名探偵コナン"の映画版タイトルみたいな感じで"はんきょうおん"ではなく"レゾナンス"って読んでください!

-承知いたしました。最後に、その"summer oneman tour『太陽と月光の反響音』"に向けた意気込みもぜひお聞かせくださいませ。

虎丸:僕は体調を崩さないように、食いもんをちゃんと食って、無事に生きて回ってくるぞというところに尽きますね。あとはやっぱり、2デイズそれぞれで違った空間を作っていけるように頑張りたいです!

もにょ:今回は「ハイ逮捕」と「FAKE in PHANTOM」のそれぞれで違う衣装があって、2日それぞれでセットリストも変わっていくと思うので、その日ごとに違うカラーのライヴにしていけるようにしたいと思います。あとこれは余談なんですけど、キャラとしてのもにょは警察のほうが「いぬのおまわりさん」がモチーフで、怪盗のほうは"キャッツ・アイ"からの発想で猫なんですよ。危うくレオタードを着せられるところだったんですが、そこは無事に避けることができたんで良かったです(笑)。

志記:前までは、僕らもライヴで同期ギターを鳴らしたりっていうことを結構してたんですよね。でも、今回のレコーディングではアナログな音にこだわったりしたのもあるし、結局ライヴに来てくれる人たちが何を楽しんでくれてるのかなと思うと、いろんな意味での"生"な感じを体感できることなんじゃないか? とこのところは思うようになってきているので、今度のツアーではできるだけ自分自身のギターでどこまで伝えられるのか? ということに挑戦したいと思ってます。

咲吾:今回は各地で2デイズをやっていくことになるので、その両方で違った雰囲気を楽しんでもらいたいっていうのは当然あります。だけど、中には"その日"しか来られないお客さんもいるわけじゃないですか。僕としてはしっかりとそのことも踏まえたうえで一本一本をやっていきたいな、という気持ちでいますね。全力で挑んできます!