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INTERVIEW

BabyKingdom

2023.03.22UPDATE

2023年03月号掲載

BabyKingdom

Member:咲吾-shogo-(Vo) 志記-shiki-(Gt/Mani) もにょ-monyo-(Ba) 虎丸-toramaru-(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

いつまでも我武者羅な気持ちを忘れたくない、という気持ちをここに込めました


-この「我武者ライジング」は躍動感もありますし、それでいてキャッチーさもある曲となっていますが、作曲の際に意識されていたことは何かありましたか。

志記:正直なところ、音で具体的な戦国感を出していくとなるとホラ貝を鳴らす音くらいしかないような気がするんですけど(笑)、それは使わずにもうちょっと現代的な解釈でこの曲は作っていきましたね。それに、そこまで完全に和の雰囲気にするのも違うなというのもあったので、現代のアニメとかゲームで描かれるような戦国感を出していく方向で作っていったんです。

もにょ:僕は公式プロフィールでも表に出してますけど、わりとBabyKingdomはメンバー全員アニメとかゲームが好きなので、バンドとしても、"将来的にはアニメ・ソングをやりたい"ということを夢のひとつとして考えているんですよ。そういう意味で、"マガツノート"さんの件も積極的に参加させていただいてますし、今回の戦国時代をテーマとした『我武者ライジング』も、作っていくうえではとても楽しかったです。

-和の要素という面では、この「我武者ライジング」では和太鼓の音が取り入れられている点も印象的ですね。

志記:そこは苦労した点でもありますね。生ドラムだけじゃなくエレドラも重ねてますし、そこにさらに和太鼓の音をプラスしていったんですけど、いろいろバランスをとるのが難しかったんですよ。和太鼓を入れすぎるとリズム全体が崩れてしまいかねないですし、アクセントとして入れる加減に関しては考えましたね。

-ドラマー、虎丸さんがエレドラや和太鼓との共存/共栄を果たしていくために、心掛けられたのはどのようなことだったのでしょうか。

虎丸:こればっかりは慣れです。今回の「我武者ライジング」だけじゃなく、今までもBabyKingdomの曲は、コンセプトごとにいろんな音要素がいっぱい入ってくる感じなので、常に何かと共存するのが当たり前になってるんですよ(笑)。自分のドラム以外の音がいるもんやというのがむしろ前提になってるので、逆に言うと今回だけ特別に意識したことはなかったですね。とりあえず、全体的に16ビートでエレドラがチキチキ鳴ってるんだったら、自分はそれの邪魔にならんところで太い音を鳴らしていこうとか、そんなスタンスでレコーディングをしていきました。

-エレドラや和太鼓の音も鳴ってはいますが、生ドラムならではのダイナミズムが出ているところが実に痛快ですね。

虎丸:そこはまさに自分的な聴かせどころですね。イントロのドラム・フレーズなんかもむちゃくちゃ疾走感の出るビートにしてあるので、これはライヴでも絶対に聴いてほしいんですよ。自分でもすごく気に入ってます!

-ベーシストであるもにょさんからすると、この「我武者ライジング」の中で重要視されていたのはどのようなところでしたか。

もにょ:これはどのインタビューでも言っていることなんですが、僕はBabyKingdomの"スーパーコピーベーシスト"でして。というのも、僕自身はベース・フレーズを1ミリも考えたことがないんです。普段はプレイヤーとの兼業で自分たちの事務所の社長業をやっていることもあり、いわゆる裏方の作業や事務回りを僕がほぼすべてやっているんですね。だから、曲作りやアレンジに僕が関わることはほとんどなくて、ベースのアレンジはいつも志記さんがやってくれているんですよ。志記さんが譜面のPDFを送ってくださるので、僕はいつもそれをレコーディングまでにコピーしていくんです。

-もにょさんと志記さんは実の兄弟関係でもあるそうですから、それは濃い信頼関係に根ざした連携が取られているからこそ、成し得ることでもあるのでしょうね。

もにょ:たしかに、信頼関係が薄い人から"これ弾いて"って言われたら困っちゃうかもしれません(笑)。志記さんのことはBabyKingdomのメイン・コンポーザーとして信用してますし、理論派だからどんなアレンジにも必ず理由があるとわかってるので......と言っても、たまに2パターンのフレーズがあって、どうするかみたいな話し合いはレコーディング現場であったりしますが。基本的に僕はいつもひたすらコピーに徹してるんです。

-なお、今気づいたのですが、もにょさんは弟さんのことを"志記さん"と呼ばれるのですね。なんなら敬語も使っていらっしゃいますし、少し不思議に感じます。

もにょ:志記さんはBabyKingdomのメイン・コンポーザーですし、音楽的にはまったく刃向かえないので敬語なんですよ(笑)。でも、プライベートで兄弟として飯とかに行くときは普通に会話してます。

志記:お互い趣味が似てるんで、サッカーの話なんて始めたらずーっとしゃべってるくらい仲はいいです(笑)。

もにょ:家も近いんで、サッカーの試合があるときは"どっちの家にツマミもって集まる?"とかよくやってますね。ただ、そういうときでも途中で"お兄ちゃん、仕事の話があります"って楽曲の話が始まると"はい、わかりました"ってスイッチが入ります。

-仲睦まじくも仕事の線引きは明確な兄弟関係、とは素晴らしいです。そうしたなか、ギタリストとしての志記さんが、「我武者ライジング」を構成していくうえで特にこだわられたことは何かありましたか。

志記:曲作りの段階ではほぼコードしかつけていない状態で、モチーフとして明確だったのはイントロの部分くらいだったんですよ。というか、自分の場合はコードが命だと思ってるので、いつもまずはコードだけ決めて咲吾にメロディをつけてもらって、その次にドラムとベースをアレンジするんですよ。だから、ギターのアレンジはいつも最後なんです。理論的に考えると、現代音楽で最も軽んじられてるのは、ベースとヴォーカルの兼ね合いの部分やと僕は思っているので、そこをできる限り詰めていくようにしたというのが一番こだわった部分でしたね。ある意味、そこはギター・アレンジ以上にこだわってると言えるかもしれません。

-さて。ここからは「我武者ライジング」の歌詞についてもうかがって参りましょう。

咲吾:志記が歌詞の内容を見てからアレンジをしていきたいという方針なので、歌詞は今回もメロディをつけていく段階でだいたいのかたちを作っていくようにしました。内容的には戦国っていうコンセプトと同時に、ここでは集中力もテーマにしているところがあるので、その両方を描いてます。戦国時代の武士たちも、一歩間違えたら死んでもおかしくない世界で生きてたわけですしね。集中力って本当に大事だし、そのことを自分たちのバンド人生に重ねてるところもあるんです。いつまでも我武者羅な気持ちを忘れたくない、という気持ちをここに込めました。

-故の"我武者ライジング"なわけですね。もっとも、我武者羅という言葉についてはいい意味で使われることもたくさんある反面、場合によっては"そこまで躍起にならなくてもいいのに"というニュアンスを込めて、"あの人は我武者羅すぎる"などという使われ方をするケースもありませんか。

咲吾:否定的に使われることもある言葉ですよね。まぁ、我武者羅になってるところは、あんまり人に見せないほうがカッコいいっていう考え方もわかるし、自分自身も、努力は人から見えないところでしたほうがいいって思ってるタイプではあるんです。だけど、やっぱりライヴのときに限っては、ステージで我武者羅に喰らいついていく姿が一番カッコいいんじゃないか、と僕は思ってるんですよ。仮に途中でアクシデントが起きたとしても、それを必死に乗り越えていく姿を見せることも僕はライヴの良さだと思ってるんで、何があってもどんなときでもBabyKingdomとして全力でやり遂げるっていう、その姿を感じさせてこそライヴだって考えてます。

-ということは、3月末から始まり5月5日のKANDA SQUARE HALLまで続く全12公演のツアー"spring oneman tour 『真剣×将舞』"でも、まさにリアルな真剣勝負をバンドとして見せつけていくことになるわけですね。

咲吾:BabyKingdomは"MUSIC THEME PARK"ですし、1本のショーとしても華やかな雰囲気のステージにしていきたいと思っているので、4人の武将が舞いますよという意味も込めて今回はこのツアー・タイトルにしました(笑)。「我武者ライジング」はとにかくグイグイ行くと思いますし、カップリングの「SAMURAI-BLUE MIND」と「アカツキ」(※B typeのみ収録)は今までにないタイプの曲になっているので、その2曲がライヴでここからどう育っていくかも楽しみですね。

虎丸:ドラマーって、メンバーのことも来てくれたお客さんたちのことも全員を一番後ろで見渡せる立場ですから、今度のツアーでは、みんなや会場全体を包み込むようなドラムを叩いていけたらいいなと思ってます。

もにょ:昔は、あらかじめカッチリと曲順から何からすべて決めて、ツアーに臨んでいたところがあったんですけど、年々やっていくうちに、ステージングにしても楽曲の雰囲気にしても、来てくれるお客さんたちの表情や、その日の空気感で変わっていくことが面白いなと感じるようになってきた自分がいるんですよ。だから、今度のツアーでもあまり細かいところまでは決め込まずにやっていきつつ、"スーパーコピーベーシスト"としてはフレーズを間違えないように弾いていこう、と思ってます(笑)。

志記:コロナ禍が始まってからと考えると、今回のツアーは初めて全公演が声出し可能なんですよ。当然、マスクありという状態での声出しなのでコロナ前とはまた違う感覚にはなると思いますし、今のところ何本かやった声出し公演でも、お客さん同士が周りに対しての気遣いを持ってくれていることも伝わってきて、それはとても素敵なことだなとは感じるんですが、僕らとしては、みんながいろんなことを忘れちゃうくらいの楽しい空間を作っていかなあかんな、と考えています。

咲吾:ファンの人の中には、コロナ禍が始まって以降にファンになってくれた方たちもいるので、場合によっては、今度のツアーで"声出し公演に初めて参加します"っていう人もいると思うんですよ。そこはできるだけ、みんなの緊張とか戸惑いを緩和しながらパフォーマンスしていきたいと考えてます。とは言っても、僕らのほうもみんなからパワーをたくさん貰ってますしね。お互いに倍返しをし合いながら、相乗効果でいいライヴ空間を作っていきたいです。みんなで思いっきり楽しんでいきましょう!