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INTERVIEW

BUCKCHERRY

2021.06.22UPDATE

2021年06月号掲載

BUCKCHERRY

メンバー:Josh Todd(Vo)

インタビュアー:菅谷 透

BUCKCHERRYの約2年ぶりとなるオリジナル・アルバム『Hellbound』が完成した。バンド最大のヒット曲のひとつである「Sorry」のコライトなど、かねてより交流の深いMarti Frederiksenをプロデューサーに迎えた本作は、疾走感溢れるナンバーやセンチメンタルなバラードなど、BUCKCHERRYの持つ痛快でセクシーなロックンロールの魅力が凝縮された作品だ。パンデミックがもたらした鬱屈した雰囲気を吹き飛ばすようなエネルギーに満ちた本作について、フロントマンのJosh Toddに話を訊いた。

-まず、2019年10月に行われたジャパン・ツアーについてうかがえればと思います。同年リリースのアルバム『Warpaint』を引っ提げた3年ぶりの来日公演ということで、印象に残っていることなどはありますか?

あのときはオーストラリアから飛んだんだ。久しぶりに日本に行けてとても嬉しかったし、感謝の気持ちが大きかったよ。ちょうどさっきMarti Frederiksenと話していたところなんだ。俺は今ナッシュヴィルに来ていてね。一番上の娘に赤ちゃんが生まれたんだ。

-ということは、"おじいちゃん"になられたんですね! おめでとうございます。

そう、グラン・ダッドになったよ(笑)! 娘夫婦の住んでいるテネシー州に来たってわけだ。Martiと、彼の息子のEvan(※ORIANTHIなどの作品に参加したミュージシャンでもある)とディナーに行ってね。とても楽しかったよ。"このあと日本とインタビューがあるんだ"なんて話から日本の話になってね。そのとき言っていたんだけど、昔はジャパン・ツアーというと2、3週間滞在することがよくあったんだ。いろんなところに行ったよ。名古屋、広島、大阪、横浜、東京......でも今は日本に行っても1、2回しかショーできないんだよね。

-前回も東京と大阪でしたね。

そう。だから日本中を回っていた時期が恋しいんだ。でも、とにかく日本にまた行けただけで夢が叶った気分だったよ。最高だったね。君も知ってのとおり日本には何度も行っているし、今回『Hellbound』という素晴らしい作品ができたから、今にもそっちに行きたい気分なんだ。

-日本公演から約半年後には、コロナ禍が世界へと拡大し始めましたが、バンドにはどんな影響がありましたか?

もう......大きな影響があったよ。どんなバンドも影響を受けたよね。俺たちの場合は『Warpaint』のツアーを2020年内続ける予定だったんだ。ショーも山ほどブッキングしてあった。まず、3月を棒に振ってしまったんだ。すべてがキャンセルになってね。"あれ?"と思っていたら今度は4月のショーがなくなってしまって、俺たちはニュースを見ながら"これは悲惨なことになるぞ"と思っていたんだ。どの予測でも、もうライヴ・コンサートはないぞ、みたいな感じだったからね。それで俺たちは集まって、ギアチェンジをすることにした。ステージに戻れる状態になったころには1年くらい過ぎてしまっているだろう、それまでに新しいアルバムを作らないと、という話になった。それで『Hellbound』のソングライティングにフォーカスし始めて、取り組み始めたんだ。そうして良かったね。アメリカ国内や世界中で起こっていたあらゆるネガティヴなことに気を取られることなく集中するものがあって、この素晴らしいアルバムを生み出すことができたんだから。間違いなく俺たちの最高傑作のひとつだと確信しているよ。時間は決して無駄にしないんだ。

-BUCKCHERRYはライヴ・バンドとしての側面もありますが、それがすべてキャンセルされてしまいました。思うような活動ができない状況にどんな想いを抱いていましたか?

慣れるのに時間がかかったよ。こんなに長い間ステージに上がらなかったのは15歳以来だったからね。もしかしたら自分に必要な時間だったのかもしれないな。神様が"Josh、他のことに集中する必要があるぞ"と言ってくれたのかもしれない。うまく言えないけど......この時期俺は自分自身をたくさん見つめ直して、自分自身に時間を掛ける必要があったんだ。俺にとっては意義のある時間だった。つらい時間でもあったけどね。でも、それがあったからこそいい曲ができるわけだから......ここへ来てようやくその甲斐が出てきているよ。Stevie(D./Gt)と俺はいろんなつらいことがあったんだ。Stevieは去年父親を失ってしまった。コロナ禍もあったし、他にもいろいろパーソナルな悩みや金銭的な苦難もあった。そういう経験をすると、人生で縁があった、親しい人たちに感謝の気持ちが生まれるんだ。

-音楽的な話や今話してくださったことのほかに、ロックダウンの期間はどのように過ごしていましたか?

家族とたくさん過ごしたよ。うちの子供たちは学校がなかったから、俺と妻はコロナの状況、仕事の状況の他に子供たちとフルタイムで向き合わないといけなかったんだ(笑)。とてもチャレンジングだったけど、最大限に生かすことができたよ。息子とはいろんなことを一緒にやったね。釣りにもよく行ったし、俺はテニスをよくやるようになった。息子がやっているからよく一緒にやったんだ。娘のウィローとは一緒に歌ったり曲を書いたりして楽しんでいるよ。それからさっきも話したけど、一番上の娘のサザーランドは女の赤ちゃんが生まれたしね。

-それは最近の話ですか。

そうだね。去年の12月。

-ということは、今4、5ヶ月くらいですね。

そうなんだよ(笑)。

-会いに行くのも楽しいでしょうね。

本当にかわいいよ。本当に久しぶりに赤ちゃんを抱っこしたんだ。本当にすてきな気分になったよ。赤ちゃんの匂いが大好きなんだ。本当にいい匂いで......愛しいよ。(※優しく微笑む)

-すてきなお話をシェアしていただきありがとうございます。この間にはバンド・メンバーも変わりましたね。2020年8月には、家族と過ごすことにしたKevin Roentgenに代わりBilly Roweがギタリストとして加入したことが発表されています。

そうなんだよ。

-Billyは今もJETBOYのメンバーでもあるのでしょうか。

いや......確かまだショーは一緒にやっていると思うけど、今どのくらいあっちに携わっているか、俺はよく知らないんだ。JETBOYが今どのくらい活動しているかわからないけど、今もライヴ活動はやっているみたいだね。BUCKCHERRYのショーにちゃんと出てくれさえすれば、あっちの活動と並行しても俺たち的には構わないよ。ともあれ、あいつはいいやつだ。一緒に過ごしていて楽しいんだ。まだ一緒にフルではツアーできていないけど、ようやくそれができるようになるから、どのくらいこのバンドでのツアーが気に入ってもらえるか様子を見るよ。

-ちなみに、彼をバンドに迎えた経緯は?

あいつにはしばらく目をつけていたんだ。Stevieが知り合いで俺に推薦してきたから、いつも俺たちのレーダーに引っかかっていた感じだった。それでKevinが脱退することになったときにあいつのことが話題になって、"ランチに誘ってみよう"ということになった。それでランチに行ったんだ。――ほら、俺たちバンド・メンバーの変遷がすごいだろう? だから楽器が巧いかどうかとは別に、人間同士としてその人と楽しくやれるかというのが大切だと思うようになったんだ。ひしめき合って過ごす時間が長いわけだしね。あいつは本当に大らかなやつで、とても優しいし、メンバー全員同じものが同じ理由で好きで......そんな感じで、うまくいっているんだ。

-彼はギタリストとしてもすでにキャリアを確立していますし、音楽的にも文句なしですね。

そう、そこが大事なんだよ。同世代で、音楽業界で長い間渡り歩いてきたやつが欲しかったんだ。やっていくには何が必要かを理解しているやつがね。

-彼は『Hellbound』でもすっかりBUCKCHERRYのヴァイブに馴染んでいますね。

そうなんだよ! 本当にパーフェクトにはまっているんだ。一緒に大いに楽しんでいるよ。

-では、そんなニュー・アルバム『Hellbound』についてうかがいます。リリース自体はまだ少し先ですが(※取材は5月上旬に実施)、アルバムを完成させた心境を教えていただけますか?

(※ため息をついてから)最高の気分だよ。あまりにいろんなことがあった1年のあとだしね。でもこのアルバムは完成してからずいぶん経つんだ。完成したのは......ええと......11月だったからね。2020年の10月下旬にはもう曲を書くのが終わっていたんだ。どれだけいいアルバムかがわかってから長いこと経つから、それを寝かせておくのはつらいものがあったよ。でも、しかるべきタイミングが来るまで辛抱強く待たないといけなかった。ちゃんとツアーもしたいしね。リリースするだけして、あとは家でじっとしているのは嫌だよ。

-"ようやく出せる"という気分なんですね。アルバムの制作はいつごろからスタートしたのでしょうか?

ええと......4月下旬くらいかな。そのあたりだったと思う。

-コロナ禍になった直後だったんですね。

そうだね、コロナ禍になって1、2ヶ月後かな。細かい時期は覚えていないけど......Stevieのほうがよく覚えているんじゃないかな。あいつのパソコンには曲がいっぱい入っているから、ファイルの日付でわかるんだ。曲作りには数ヶ月、じっくり時間をかけたよ。何しろショーがどんどんなくなってしまっていたから、これは気を抜かないでちゃんと前線と繋がっていないと、何か素晴らしいものを作らないと、という気持ちが強かったんだ。

-先ほどMarti Frederiksenと会ってきたという話をされてましたが、彼はAEROSMITHやDEF LEPPARDなどの錚々たるアーティストとコラボしており、BUCKCHERRYとも2008年のアルバム『Black Butterfly』のプロデュースや人気曲「Sorry」(2005年リリースのアルバム『15』収録曲)のコライトなど、関わりの深い人物ですね。彼を今回も起用した理由を教えていただけますか?

彼とはしばらく話していなかったから、久しぶりに声を掛けたいと思ったんだ。バンド内での"政治"が影響したのかどうかはわからないけど、彼と仕事をしなくなって久しくて、でも俺はいつもそれを楽しんでいたからね。そこで連絡を取って"一緒にやろう"と言ったんだ。ソングライティングのセッションを一緒にやった。彼がプロデューサーとして素晴らしい活躍をしてくれるのはわかっていたしね。俺たちのレーベル Round Hill(※米国内で今回移籍したレーベル)にも、ナッシュヴィルに行ってMartiと曲を書くことを勧められていたんだ。そうしてくれて本当に良かったよ。おかげで規格外に素晴らしいアルバムができたんだから。

-彼との仕事はそうすると前回以来、10年以上ぶりだったのでしょうか。

いや、『Confessions』(2013年リリースの6thアルバム)や『All Night Long』(2010年リリースの5thアルバム)にも参加してくれたから......いつ以来だったかはわからないけど、数年ぶりではあったね。久しぶりに一緒にやれて良かったよ。正直言って、今後彼抜きでアルバムを作ることが考えられないくらいなんだ。

-今後は少なくとも1、2曲は必ず一緒に書く、というようなことですね。

彼がその気でいてくれる限り、俺たちも同じ気持ちだよ! もちろんさ。そうしなかったら愚かなことだと思う。

-『Hellbound』の曲を書き始めたころ、つまり制作の初期段階からMartiは参加していたのでしょうか。

いや、Stevieと俺とで22曲書いてからMartiと合流して、さらに曲を書いたんだ。それまでもデモはすべてMartiに送ってあったから、それを聴いてフィードバックをくれていた。時にはリミックスをしたり、ギターのところをちょっと手直しして送り返してくれたりしてね。3人で一緒にゼロから曲を書いたのは、ソングライティングをしていた最後の週だけだった。5日間で6曲書いたよ。

-それはすごいですね。Martiはそうすると、あなたがStevieと曲を書き始めたころからプロデューサー的役割を担っていたのですか。

いや、Martiにプロデューサーをやってもらおうと決める前から、Stevieとはデモを作り始めていたよ。決めた時点ではすでにリストになるくらいあったから、それを送ったんだ。

-なるほど。それで時系列がわかりました。Martiを迎えたことで、アルバムにどのようなケミストリーや変化がありましたか?

そこが大事なんだよね。外部のソングライターと曲を書くのは難しいことなんだ。時にはしっくりこないこともあるというか、バンドのダイナミクスと合わないことがある。だからしっくりくる相手に出会ったら、その人とずっと一緒にやりたいと思うものなんだ。Martiはまさにそんな人だよ。BUCKCHERRYの強みも弱みもちゃんと理解してくれる人だからね。どうやってそれらに対処すればいいかもわかっているし、どうすれば俺たちのベストな部分を引き出せるかもわかっている。そして俺たちも彼のベストな部分を引き出せていると思うんだ。ウマがぴったり合うね。彼と波長が合うアーティストはたくさんいるし、俺はBUCKCHERRYの経験からしか語れないけど、俺たちはそう感じているんだ。

-だからこそ長年の間に何度も一緒に組んでいるんですね。

そうだね。楽しいよ。

-もはや6人目のメンバーみたいな存在なんでしょうね。

そのとおりだよ! 俺たちの仲間なんだ。まさにそういう存在だね。