INTERVIEW
BUCKCHERRY
2019.03.01UPDATE
2019年03月号掲載
Member:Josh Todd(Vo)
Interviewer:山本 真由
どこか懐かしい、反骨精神たっぷりの荒々しいロックンロールを奏でる孤高のバンド、BUCKCHERRY。彼らが、前作『Rock 'n' Roll』から約3年半ぶりとなるニュー・アルバム『Warpaint』を3月6日に日本で先行リリースする。今作は、彼らの持ち味である"古き良きロック魂"は変わらぬまま、モダンな音作りで新しいサウンドを追求している。特に、先行公開されてすでに話題となっているNINE INCH NAILSのカバー曲「Head Like A Hole」は、オリジナル曲かと思うくらいBUCKCHERRYにぴったりの、グルーヴ感と攻撃性を兼ね備えた楽曲だ。インタビューでは、そんな新作を完成させたフロントマンのJosh Toddに、新作と充実した現在のバンドの様子について語ってもらった。
BUCKCHERRYにいること自体が楽しいし、ニュー・アルバムがその結果だと思う。何もかもがまた軌道に乗っていると思うよ
-今の調子はどうですか? バンドの近況について教えてください。
最高だよ。今はまだロサンゼルスにいて、これからイギリス、イタリア、ドイツとスウェーデンに行く準備をしている。いよいよ"Warpaint Tour"が始まるんだ。
-激ロックとしては、2015年の"VAMPARK FEST"での来日以来のインタビューとなるわけですが、BUCKCHERRYはその後2016年にも東京と大阪で単独公演を行っていますね。前回の来日公演はいかがでしたか?
日本のことはいつだって覚えているよ。俺たちにとってすごく特別な場所なんだ。もうしばらく日本に行ってないよね。もう行きたいよ。前回だけでなく、毎回すごく楽しいライヴをさせてくれて感謝しているよ。
-日本のファンやロック・シーンにはどんなイメージを持っていますか?
3年も行ってないから今のシーンはわからないけど、日本のファンは忠実で、素晴らしくて、俺たちのキャリアを理解してくれて、応援してくれている。ラジオでヒットした楽曲だけじゃなくて、アルバムをじっくり聴いてくれてその中の曲を気に入ってくれている。よくコメントとかメッセージも来るから、常に日本のファンのことは考えているよ。
-そして、その来日後メンバー・チェンジもありましたね。特に、Keith Nelson(Gt/※2017年脱退)はオリジナル・メンバーで、作曲にも大きく関わっていましたが、彼が抜けたことでバンドのサウンドに変化はありましたか?
いや、まったく変わってないね。最近の俺たちの音楽を聴いてわかるだろうけど、俺たちのサウンドはしっかり続けて、さらにグルーヴ感を出している。
-そのKeithの後任として加入したKevin Roentgen(Gt)について、個人的には彼が以前在籍していたORSONがとても好きだったので非常に嬉しいのですが、BUCKCHERRYとはまったく違うタイプの音楽性だったので意外な気がしました。彼はBUCKCHERRYにとってどんなギタリストですか?
加入してからもう2年経っているけど、このKevinはすごく卓越したギター・プレイヤーで、歌も歌える。何よりも人間的にできた奴で、一緒にいて楽しいし、すべてがスムーズに動くような気がする。そして、Stevie(Stevie D./Gt)は『15』(2005年リリースのアルバム)からバンドにいるけど、俺がKeithと出会う前からStevieとは知り合いだった。Stevieは今まで変な権力争いみたいなことからBUCKCHERRYで曲作りに携わることができなかったけど、2017年にJOSH TODD & THE CONFLICTのアルバム(『Year Of The Tiger』)を一緒に作ったら楽しかったんだ。あれは素晴らしい作品になったよ。今作の曲作りは2017年の11月から始めたんだけど、11曲のアルバムのために30曲作ったんだ。このアルバムが今までの中で一番いい作品だと思っているし、ライヴで演奏することを楽しみにしているよ。
-そして、再結成からバンドを支え続けたXavier Muriel(Dr)の脱退(※2017年)後、短い期間在籍していたSean Winchester(Dr/※2017~2018年在籍)を経て、今年からはFrancis Ruiz(Dr)が加入しているようですが、どういった経緯で決まったのでしょうか? また、彼はどんなドラマーですか?
Sean Winchesterは2年くらいバンドに在籍していたけど、うまくいかなかった。Xavierは長い間いたけど、クビにしたんじゃなくて彼の方から去っていったんだよ。Francisは経験を積んだドラマーで、MOTÖRHEADともプレイしていたし、長い間有名なバンドのテクニシャンとしても活躍していた。Stevieと俺はInstagramで彼がプレイしている動画を観たんだけど、Stevieが知り合いだったから、Stevieにメッセージを送ってもらって、"「Gluttony」(2012年リリースのアルバム『Confessions』収録曲)をプレイしている動画を送ってほしい"と伝えてもらった。だからオーディション・ビデオを送ってもらったんだ。彼はテキサスに住んでいて、俺たちはカリフォルニアだからその方法が一番手っ取り早い。彼があの曲をプレイしている動画を観て、"すげぇ!"と思ったんだ。すごく上手かった。俺たちと同じような世代のドラマーを求めていたから、彼が一番いいなって。人間的にも素晴らしい人だからすぐに決まったよ。大事なことだからね。
-また、前作『Rock 'n' Roll』(2015年リリースのアルバム)では自主レーベル"F-Bomb Records"を立ち上げてのリリースとなりましたが、今作では"Century Media Records"と契約していますね。以前のインタビューで、自主レーベルを立ち上げたのは"自分たちの望み通りのサウンドを作りたいから"だと語ってくれましたが、今回の契約では自分たちの満足のいく環境が約束されていたということでしょうか?
もう自主レーベルのF-Bomb Recordsはやってないんだ。ビジネスまで自分たちでやらないといけないと本当に大変で、そのあたりは変えないといけないと思っていた。BUCKCHERRYには様々な変化があったんだけど、本当にいい方へ進めたと思う。またBUCKCHERRYにいること自体楽しいし、ニュー・アルバムがその結果だと思う。何もかもまた軌道に乗っていると思うよ。Century Media Recordsは俺たちがやりたいことをサポートしてくれるし、すごく信頼してくれていて、成功すると信じてくれている。バンドの外でプッシュしてくれるのはいいことだよ。
-そして、完成した3年半ぶりのニュー・アルバム『Warpaint』ですが、非常にシンプルで、荒々しくセクシーなロックンロールを体現するBUCKCHERRYが前面に出た作品だと感じました。まずはアルバムができあがっての感想をお願いします。
すごく満足しているよ。さっきも言ったように今まで作った中で一番いい。ただずっと取り組んでいたからこのアルバムが毎日の生活になっていたし、自分たちが作り出したものだから、最高の作品と決めつけるよりは社会がどのように受け止めてくれるか見てみたいよね。でも目標はすべて達成したので、非常に満足している。今作では今まで以上に壮大な音にしたかった。過去の数作品はこの部分が欠けていたので、今作は思い通りになったと思うよ。そのためにも再び Mike Plotnikoffと仕事をしたんだ。Mikeはすごく才能があるプロデューサーでロックを知り尽くしていて、ビッグなロック・バンドを数多く手掛けてきている。ロックの方式というか、作り方を本当に理解している人だから、彼と一緒に仕事がしたかった。
-今作を制作するにあたって、"今風のサウンドにすること"が目標として掲げられたそうですね。
「Warpaint」や「Closer」をはじめとして、BUCKCHERRYらしいサウンドはあるけれど、「Right Now」とか「The Alarm」なんかは俺たちが求めていた音そのものになっている。「Back Down」も大好きなトラックなんだけど、新しい感じがいい。
-また、ギターがKevinに変わったこともあってか、ポップでダンサブルな要素も加わった気がします。そのあたりも今風を心掛けた影響なのでしょうか?
Stevieが考えた部分だから、ダンサブルとは思ったことがないけど、俺たちはグルーヴ感が大切なんだ。AC/DCもグルーヴ感があるからみんな踊ったり騒いだりしたくなっていただろ? それがBUCKCHERRYの求めているものだよ。ロックもできればダンスもできる。