MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

BRING ME THE HORIZON

2020.10.30UPDATE

BRING ME THE HORIZON

Member:Oliver Sykes(Vo)

Interviewer:大野俊也(FLJ)

-「Obey」を聴いて思ったのですが、明確な政治的なメッセージを持った曲の中で、客演のYUNGBLUDが新世代の声となってメッセージを発信しているのは大きな意味がありますね。

そうだね。彼は僕たちのバンドのファンなんだよ。彼は自分自身にリアルなアーティストだし、新しい世代のロック・スターだから、ロックを体現できる若者として、いろんな人たちにとってのロール・モデルとなり得る男なんだ。性の違い、好みの違いを超えてアピールしてくるし、彼自身、そういう違いなんてまったく気にしない。そういうアーティストと共演できたのは素晴らしかったよ。

-曲自体はスゴく政治的なんですが、MVはなぜあれほど面白いものにしたのですか(笑)?

いつもMVを作るときは、目を閉じて曲を聴いて浮かんできたイメージを大切にしてるんだ。それで今回この曲を、目を閉じて聴いてみたら、ゴジラみたいな巨大ロボットが浮かんできたんだよ(笑)。この曲のMVを面白いものにしたかったのは、曲自体がかなりシリアスでダークだからだよ。昔ながらのロックのコラボ・ビデオだと、ふたりのシンガーがお互いを見つめ合いながら歌ってたりするよね。だから、僕たちはお互いが敵対し合ってて、戦うような設定にしたかったんだ。戦うというのも、お互いがそれぞれ信じるものを持ってるからで、それが戦っていくうちに、最後にふたりは恋に落ちてしまうというオチに変わるんだ。結局、僕たちは同じだし、一緒になって力を合わせたほうがいいからっていう、そういう意味もあるからね。

-あと、「Kingslayer」ではBABYMETALを客演に迎えていますが、やりましたね!

BABYMETALとは、たぶんアメリカのフェスで知り合ったんだけど、彼女たちからはいつもいいエネルギーを貰ってるんだ。彼女たちはいつ観ても、笑顔を貰えるし、温かい気持ちを貰える。フェスの現場だと緊張感があったりするんだけど、そこに日本人の女の子たちがいいエネルギーを持ち込んでくれるんだ。挨拶をしていても、いつもお互いのリスペクトを感じられるしね。いつだってナイスだから、何か一緒にやりたいとずっと思ってたんだよ。彼女たちも僕たちとコラボしたいと言ってくれてたし、去年は彼女たちの日本公演("METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN")にもゲストで呼んでくれた。それで今回のEPでコラボが実現できたから、完璧なんだよ。

-コラボはどのように進めたのですか?

まず、彼女たちには日本語で歌ってほしかったんだよ。スペシャルなものにしたかったからね。英語の歌詞にはしたくなかったんだ。僕は彼女たちが日本語で歌うのが好きだし、それがキャッチーだと思うからね。それに、曲を聴いた人は、"何を歌ってるんだろう?"と思って調べるよね。それもいいと思ったんだ。歌詞作りもスゴく日本的だったよ。A案、B案、C案があって、かなり労力を使っていろいろ考えてくれたんだ。結果、自然と素晴らしいものができあがったから、スゴく嬉しかったね。できれば一緒にMVも作りたいよ。

-このEP全体を通して、スゴく日本に対する愛を感じますね。小島秀夫監督の"DEATH STRANDING"に向けた「Ludens」から始まり、瀬名秀明の小説、ゲームのタイトルになっている「Parasite Eve」、そしてBABYMETALとの共演ですからね。

日本は大好きだからね(笑)。東京は大好きだし、他の土地も大好きだ。ビデオ・ゲームがずっと大好きだし、コミック、オモチャも大好きだから、僕にとって日本は天国みたいな感じなんだ。僕たちのバンドの人気の規模で言うと、海外に比べて日本は小さいほうだったけれど、ファン・ベースはどんどん強くなっていって、去年は今までで最大規模の人たちが僕たちを観にきてくれるようになったのも嬉しいよ。

-EPのラストの曲「One Day The Only Butterflies Left Will Be In Your Chest As You March Towards Your Death」で、EVANESCENCEのAmy Lee(Vo)を客演に迎えているのも素晴らしいですね。

素晴らしいコラボになったよ。このコラボが実現するに至った経緯は結構面白いんだ。僕たちの前のアルバム(2019年リリースの『amo』)に「Nihilist Blues Feat. GRIMES」という曲があるんだけど、EVANESCENCEの曲に似てるって言われたんだ。それで彼らのマネージャーから訴えられそうになってね。でもメールが来たときに、Amy Leeが僕たちのファンだって書いてあったんだよ。好きなバンドから好きだって言われて訴えられそうになるなんて、おかしな話だなと思って(笑)。それでこの曲を作ってるときに、ここでAmyに歌ってもらえたらハマるだろうなと考えたんだ。それにこの曲はラヴ・ソングだから、ふたりで歌えたら完璧だと思ったんだ。実際、Amyはクラシックのオペラのように歌ってくれたから最高なものになったよ。

-YUNGBLUD以外にも、新世代ではNOVA TWINSを「1x1」という曲で客演に迎えていますね。

家で制作をしてるときに、ランダムに曲を聴いていたら、彼女たちの曲が出てきてヤバいと思ったんだ。それまでにNOVA TWINSのことを聞いたこともなかったし、存在も知らなかった。イギリスのグループかアメリカのグループかもわからなかったんだ。それでInstagramをチェックしてみたら、僕のことをフォローしてたんだよ。DMでやりとりしていくうちに、"僕たちの曲で歌わないか?"って誘うようになって、コラボすることになったんだ。

-『amo』をリリースしたとき、Oliはロックが失ったエッジについて話していましたよね。それで『amo』は音楽的に非常にエクスペリメンタルなアプローチをしたアルバムとなりました。今回のEPでは、サウンドはスゴくロックしていながらも、未来への進化を強く感じさせるものとなっています。Oliの音楽の旅は、現在はどのようなところにあるのでしょうか?

『amo』でそれまでとは違うエクスペリメンタルな音楽を目指した結果、再びヘヴィなロック・ミュージックをやりたいと思うようになったんだ。そこには新しいエクスペリメンタルな要素だって適応させることができるしね。あと、パンデミックの時代になったときに、今のヒップホップやポップ・ミュージックとは違う、本当のことを歌った曲こそが今は必要なんじゃないかと思ったんだ。それで、「Ludens」を作ったんだけど、曲を書いて、レコーディングして、ミックスして、マスタリングをして完成させるのにかかったのは、5~6日間だけだったんだ。『amo』のときは、1曲を作るのに何週間もかけてたよ。そこで思ったのは、あまりエクスペリメンタルにやりすぎないで、もっと自然に曲を作ろうっていうことだったんだ。最初に曲を作ったときにいい感じだと思えたら、それをそのまま出せばいい。そこでいろいろいじってもしょうがない。「Ludens」はそうやってできた曲なんだ。それでリリースしてみたらリアクションも早くて、大きなものだったから、次のレコードでもこういう作り方で制作をしようと思ったんだ。いいソングライターでいることって難しいんだよ。時には作り込みすぎてしまうからね。でもコロナウイルスの影響でロックダウンになったとき、曲をごく自然に作れるようになったんだよ。ヘヴィな曲でも自然とキャッチーなコーラスを入れることだってできたし、ポップ・センスはまだそこにはあったんだ。それでできあがった曲は誰にでも受け入れてもらえるようなものになった。その理由は、メロディもソングライティングもちゃんとそこには存在してるからなんだ。だから、ヘヴィな音楽なのにキャッチーなフックとメロディのある曲が生まれたんだよ。このEPはこの先も長く聴けるようなものになったと思うよ。