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INTERVIEW

DIAURA

2018.10.18UPDATE

2018年10月号掲載

DIAURA

Member:yo-ka(Vo) 佳衣(Gt) 翔也(Ba) 達也(Dr)

Interviewer:藤谷 千明

-ストリングスが幻想的な雰囲気を出していて、近年のDIAURAでは珍しいタイプの楽曲のように感じます。

佳衣:わりと昔はストリングスを使うことも多かったんです。表現したいものがだんだん変わってきて、使わなくなった時期もあったんですけど、自分が曲を作るうえで、ストリングスとかピアノだとか、いわゆるオーケストラ的な要素は外せないものではあるので、"これを入れよう"って思ってたわけじゃなくて、自然にその音が出てきたというか。

-ライヴで発表してからレコーティングするケースはDIAURAでは珍しいと思うのですが、今回のレコーティングはいかがでしたか?

翔也:俺は一長一短だと思いました。今回の場合は、レコーティングでもライヴしてる景色が見えるので、頭でっかちにならなくて良かった。普段はどうしても、家でプリプロして、たくさん詰め込んだうえで引き算をするってことが多いんですけど、何回もライヴを重ねていると、足していく作業の方が多かったです。これはこれでアリかな。ただ、ライヴに来てる人は、すでに曲に対して思い入れがあるかもしれないから、音源としてパッケージングされたものだと、イメージが変わっているかもしれない。そこは"思い出補正"をかけてほしくないな(笑)。

達也:話に出たとおり、ライヴで初披露した曲なので、ライヴの話になってしまうんですけど、初めて演奏する曲だと、最初にお客さんのノリを想像したりするんですよ。ヴィジュアル系のお客さんは動きたがりなので(笑)。"この曲でこうやってノるのかな?"とかイメージしながら練習したりしますね。そういうことを考えてライヴに挑んだんですけど、あまりそういうノリにはならなくて。何度もライヴでやるうちに、お客さんも"この曲は楽しくノるのではなく、素直に聴く曲"だと感じるようになってきたんですよね。俺も当初は(お客さんを)動かしてやろうと思って、演奏的に結構前のめりだったんですけど、それに気づいてからは、よりタイトに演奏することを心掛けるようになりました。ライヴでの経験が反映された曲ですね。

-B TYPEに収録されている「Human Noise」ですが、こちらは作詞作曲がyo-kaさん。ノイジーなミドル・テンポ・ナンバーですね。歌詞も他の2曲に比べると、内省的でネガティヴな印象を受けます。

yo-ka:破壊的な衝動で走れる曲っていうのが欲しくて。悲しいこととか、苦しいことも全部ぶっ壊してしまうような曲。自分が音楽を作るなかで"開き直り"ってすごく大事で、八方塞がりになったときに、ずっとそこで立ち止まっているよりも、開き直って壁を殴ったりとかした方が、よっぽど自分には似合うと思うし。それに、人間って"いろいろあるけどもういいよ、知らねぇよ"というときが絶対あるじゃないですか。「MALICE」、「レゾナンス」があって「Human Noise」がある。3曲通して人間らしくて、バランスが取れていて好きですね。

-yo-kaさんの曲でギターを入れる場合、佳衣さんはどういうアプローチをされるんですか?

佳衣:曲にもよるんですけど、この曲に関しては、俺の中でできることがいっぱいあるなと思ったんです。だからこそ難しくて、どうまとめようかなと悩んだところはありましたね。リズム隊の演奏の兼ね合いとか、みんなが自由にやっているなかで、いかにそれを縫ってフレーズを作るかという部分はこだわりました。

-この曲のベースは這うような印象があって新鮮でした。

翔也:この曲はyo-kaから"ファニーに弾いてくれ"って言われたんです。自分の中にある"ファニー"を最大限に引き出して弾きました。

-そのリクエストは、なかなか難しくないですか?

翔也:既存の曲とかに例えてくれたら楽なんですけど(笑)。

yo-ka:参考資料とかはあんまり入れたくないんですよ。

翔也:だから己の感覚で"ファニー"をずっと考えて。最初は"資料欲しいな"とか思ってたけど、録り終わったあとは"新境地だわ"と感じました。テストしてるみたいですよね(笑)。

yo-ka:そのテスト、俺も答えはわかってないんですけどね。でも、俺も翔也の新しい姿を見たいので、毎回こうなんです。

翔也:yo-kaの曲は自由度が高いんですよ。

達也:この曲のリズム・パターンに関しては、デモとほぼ変わってないですね。ライヴ・ナンバーになる曲だと思っていたから、普通のリズムでもいろいろとアレンジを加えて、疾走感を出したり、"このフィルを入れたら繋がりはもっと伸びが増えるんじゃないかな?"と考えたりしていきました。

-そして11月10日の代官山UNITを皮切りに、このシングルを引っ提げての全国ツアー"Ains PRESENTS DIAURA単独公演2018「THE MALICIOUS CELL」"が始まりますね。

yo-ka:シングルのツアーだからどうしても、アルバムのツアーほど新しい曲で埋めていくことはできないんですが、俺たちがこのツアーでやりたいことは、この3曲を全部使って、この作品で伝えたかったことをライヴで表現できるかというところに挑んでいきたい。過去の曲も(セットリスト上で)どの位置に置くかで、ライヴの表情はまったく違うものになるので、そこで自分たちの新しい側面を作っていけたらと考えています。

佳衣:最近、今回のツアーはこうしようとか、事前に何かを決めることがあまりなくなったんですよね。ツアーは都内で単発のライヴをやるのとは違って、いいことも悪いことも、いろんなことがあるんです。それを自分の中で消化していって、最終的にツアーが終わったときに、いいツアーだったというか、バンドも自分もさらに成長できたなって思えるようになればいいですね。

翔也:毎年この時期のツアーって1年の区切りだと感じていて、1年かけて何が良かったか、何が悪かったかを、自分の中で選別していって、まとめていくみたいなツアーなんです。ツアーって、自分を削っていくことも多くて、精神的には考えることもたくさんあるんですけど。でもそのぶん感動も大きいので、返ってくるものも大きい。中身のあるツアーにできたらいいなと思います。

達也:このシングルは、1曲1曲の色が強いので、セットリスト上のどの場所にきても、その曲をやることで、ガラリと雰囲気が変わると思うんですよ。演奏するたびにDIAURAはこういう表現力も持っているんだよっていうところも見せたいですし、その先のツアー予定も発表しているので、もっともっと前に進んでいくというところを見せたいし、感じてもらいたいですね。

-達也さんのおっしゃるように、今の時点で、来年2月にはミニ・アルバム『DEFINITION』のリリース、3月からのツアー"Ains PRESENTS DIAURA 単独公演 2019「THE HUMAN DEFINITION」"も発表されていて、すでに来年の6月まで予定が決まっています。2010年の12月に結成、翌年1月に初ライヴ(2011年1月22日に新宿 Ruido K4で開催された"SHOXX誌上限定オムニバスアルバム発売記念TOUR♯2「Explosion showcase~expect meeting~特別夜」")を行ったDIAURAですが、そろそろ10年目が見えてきますね。

yo-ka:来年の1月で8周年を迎えるので、徐々に10年目のヴィジョンも定まってきていますね。だからこそここまで来ると、どのリリースもより強力に意味を持たせないといけない。これからさらに精力的になっていますよ。

佳衣:感覚的にはあっという間なんですけど、月日で考えると8年も10年も長いじゃないですか。人間だって0歳から10歳までの時間で、言葉も喋れるし、文字も書けるようになるし、走ったりすることもできる。それと同様に、バンドもできることを増やしていきたい。年数を重ねることで、逆にできないことが増えてしまうこともあると思うんですけど、さらにいろいろなことができるように、様々なものを吸収していきたいですね。

翔也:10年近くやっても、まだ完成しないんですよ。やってもやっても終わらない。"音楽"という大変なものを愛してしまったなと(笑)。

達也:自分は2013年に加入したので、もう5年経ったんだという気持ちもあると同時に、自分の中では一緒に8年続けている気持ちもあります。何年、何百回とライヴを重ねても、自分の表現力はまだまだなんだなと常に感じますね。楽曲やアレンジもそうですし、新曲を聴くたびに新しい発見やメンバーの成長を感じるので、自分もDIAURAと一緒に進んでいけたらいいなと思います。まだまだ勉強したいですね。

yo-ka:こういうバンドが"流行らない"と言われた時代から、同じスタンスでやっていたことは自負していますし、これからもそうしたい。例えばバンドって年数を重ねていく過程で、いつまでも同じイメージを持たれてはいけないというか、"変わらなきゃ"というプレッシャーがあると思うんです。けれど、それが自分たちの首を締めるケースもいっぱいある。自分たちも迷いが生じていた時期もあるんですが、この数年はシンプルに"カッコいいことだけをやりゃあいいじゃん"と思えるようになりました。以前よりさらにDIAURAというものと向き合えるようになった実感がありますね。