INTERVIEW
DIAURA
2017.06.20UPDATE
2017年06月号掲載
Member:yo-ka(Vo) 佳衣(Gt) 翔也(Ba) 達也(Dr)
Interviewer:杉江 由紀
-とかくヴィジュアル系は、"見た目にばかり力を入れていて、まともな音楽をやっていない"という偏見を持たれがちですが、DIAURAはすでにそんな次元にあるようなバンドではない、ということなのでしょう。
yo-ka:まぁ、それでも偏見はあるでしょうし、レッテルも貼られるんだと思いますよ。でも、そんなものは俺らからしたら上等なんです。DIAURAはそこを跳ね返せるだけの音楽をやっている、という自信がありますから。それに、こういうスタイルで音楽をやっていくと決めた以上は、"そこ"とも闘わなきゃいけないわけでね。だからこそ、DIAURAは曲を進化させたり、演奏を進化させたり、歌も進化させてきているんですよ。
-まさに、このたび発表される両A面シングル『Noah/シャングリラ』でもDIAURAの進化ぶりは顕著です。今作において、DIAURAがテーマとして打ち出したかったのはどんなことだったのでしょうか。
yo-ka:今年の1月に6周年を迎えて、7年目に入ったDIAURAとしての新たな誓いと決意。それを、この音源ではかたちにしたかったんです。昨年末にも『MY RESISTANCE』というミニ・アルバムを出しているんですけど、実はそれが非常に傑作だったんですよね。今回のシングルを出すうえでは、そのミニ・アルバムの存在がとても強くあって、『MY RESISTANCE』という太くてコアなバックボーンがあったからこそ、この『Noah/シャングリラ』が生まれたと言えます。ちょうど、状況的にも9月にキャリア史上最大キャパになる豊洲PITでのライヴも決まっているなかなので、そこに向けてという意味でもDIAURAの誓いと決意を示すものにしたかったんですよ。
-では、そんな今作を両A面とした理由は?
yo-ka:それぞれ曲のタイプがまったく違うというのもあり、今回はこの両方がどうしても必要だったんです。ストレートな「Noah」(Track.1)と、トリッキーな「シャングリラ」(Track.2)。どちらもDIAURAの持っている要素であるというところを、改めて提示したかったんですよ。それこそ、見た目だけで言えば取っつきにくい音楽をやっていそうと思えるかもしれないですけど、音楽に枷は作りたくないという自分たちの意思はこの『Noah/シャングリラ』にも込めました。
-「Noah」は作詞作曲共にyo-kaさんが手掛けられていますが、この曲における重要ポイントについて教えてください。
yo-ka:聴いたときに何かが伝わる歌、何かが残る歌、何かが突き刺さる歌にすることが絶対条件でした。自分の性格上、曲を作ったり詞を書いたりするときには、普段わりと難解なものになりがちなところがあるんですけど、今回そこはあえて抑えて、シンプルでストレートに歌と詞が伝わる曲を目指したんです。この6~7年で進化したり成長したりしてきたところはあるものの、DIAURAの根っこにあるもの自体はまったく変わっていないので、そういうDIAURAの王道的な部分がこの曲には凝縮されていると言えるでしょうね。
-ポップでキャッチーというものともまた違う、切なく胸に迫ってくるメロディの存在感がとても強い楽曲ですよね。
yo-ka:それだけ切実なんですよ。やっぱり、バンドを続けるってそんなに簡単なことではないですから。やればやるほどそれは感じるし、夢だけを見て活動していられるわけでもない。そういう葛藤を音で表現しようと思うと、結局"こうなる"んです。そして、この感覚は何もバンドをやっている俺たちだけが感じていることではないはずなんですよ。何かをひとつずつ積み上げていくときに感じる大変さがある一方で、壊れたり失ったりしてしまうときは一瞬なわけじゃないですか。そうなったとしても、また積み上げては壊れてを繰り返していく。バンドを続けていくうえでも、人として生きていくうえでも、きっとそこは変わらないんじゃないかと思います。
-それだけの意思が詰まった「Noah」を仕上げていく際に、各プレイヤーとして大切にしていったことは何でしたか。
達也:「Noah」はメロディ重視の曲なので、それをどこまで生かせるかということを考えながら、音色もプレイも考えていきました。ドラムとしては主張しすぎないということを意識した反面、フレーズ的には結構細かいこともやっていたりして、アレンジ面での音の足し算、引き算が我ながらうまい具合にできた曲になりましたね。
翔也:どんなにいい曲でも、聴いてもらえなければ始まらないというのはあると思うんですよ。だから、この曲では"間口を広げる"ことを軸に考えていったところがありました。ベースの音そのものについては太い芯を持たせるようにしていって、イメージ的に言うと"ズン!"ではなく"ゴン!"みたいなミドルを前に出した音を目指しました。録る作業よりも、その音作りが一番時間がかかったかもしれないです。
佳衣:この「Noah」という楽曲に対しては、そこに彩りを与えるのがギターの役割だと考えていましたね。あとは、全体的に疾走感のある曲なので、ギターのストロークによってそれをもっと加速させたいという思いもありました。それと、個人的には口ずさめるようなフレーズが好きなので、この曲のソロでもそこは意識していましたね。もし仮に、ライヴでギターの音が突然出なくなっちゃったとしても、マイクで歌ってソロが成立するくらいのフレーズにしたかったんです(笑)。
-歌心はギター・ソロにおいても、大切にされているというわけですね。それに対し、主旋律を歌われているyo-kaさんはこの曲を表現していくにあたって、どのようなことを考えていらしたのでしょうか。
yo-ka:自分で作っておいてアレなんですけど(笑)、この曲って音の高低差がすごいんですよ。サビまではずっとかがんだ状態で耐え続けながら、サビで一気に逆襲するくらいのギャップがあるというか。ヴォーカリストとして見たときには、なかなか難しい曲でもありました。王道的と言いながらも、案外そういうタイプの曲はこれまでになかったので、ここで新しい挑戦ができたとも言えますね。
-と同時に、「Noah」の歌詞はバンドとしての所信表明になっているようですね。
yo-ka:さっきも話に出した、『MY RESISTANCE』には「倒錯症レジスタンス」という曲があったんですけれども、それには"あなたと二人なら/どこでも構わない"という歌詞がありましたし、そのもっと前に遡ると、「TERRORS」という曲(2012年リリースの1stフル・アルバム『GENESIS』収録曲)は"一緒に堕ちるなら地獄でもどこでも構わないよ"という内容のものだったんですね。DIAURAの曲はそういうメッセージを含んだものがかなり多くて、じゃあなぜそうなるのかというと、未来なんてわからないし、見えないからなんですよ。
-ごもっともです。
yo-ka:俺は予言者じゃないし、現実を生きていくしかない。たぶんそれは俺だけじゃなくて、みんなそうですよね? でも、どうなるかわからないながらも未来に対して立ち向っていく意志は明確にあるわけで、それを言葉にするとそういう表現になることが多いんです。行き先が天国だろうと地獄だろうと、"俺たちが引っ張っていってやるから大丈夫だよ。信じてついてこいよ!"ということを詞に託したのが「Noah」なんです。もちろん、それなりの自信があるからこそ書けることなんですけど。