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INTERVIEW

TRIVIUM

2016.12.05UPDATE

2016年12月号掲載

TRIVIUM

Member:Matthew Kiichi Heafy(Vo/Gt)

Interviewer:米沢 彰

-2015年にはPaolo Gregoletto(Ba)に、2014年にはKNOTFEST JAPANの会場でMattにインタビューをさせていただきました。お久しぶりです。

久しぶり! 今日はインタビューしてくれてありがとう。本当は日本語でインタビューできたらいいんだけどね。日本は自分の文化の一部だから、いつも日本語を話せたらいいなと思ってるんだ。でも、バンド活動をやっていたから大学にも行かなかったし、なかなか勉強できてなくて......。でも俺は日本人だから、やっぱり話せないとね。

-自分の名前は日本語で書けますか?

"ましゅー"ってひらがなでなら(笑)。漢字は書けないな。ミドル・ネームのキイチの"いち"は棒1本だから簡単だけど(笑)。

-では本題のインタビューに入りたいと思います。今回リイシューとなる『Ember To Inferno: Ab Initio』は、幻と言われていた2003年にリリースした1stアルバム『Ember To Inferno』にデモ音源などを加えた形でのリリースとなりましたが、今回リリースに至った経緯をうかがえますか?

前のレーベルであるドイツのLifeforce Recordsとの契約が10年だったから、2014年にディストリビューションの契約が切れて、自分に権利が戻ってきたんだ。そのときにリイシューを出すかじっくり考えたんだよ。あのアルバムが出た当時は、みんなあのCDを探してショップに行ってもアルバムを見つけることができなかった。そのレーベルが、海外でのディストリビューションの契約を持っていなかったんだ。その数年後、やっと海外でも売られるようになったけど、発売されてすぐは手に入りにくかった。だから、もう一度リリースすることであの作品が人々の手に渡ればいいなと思って再リリースすることにしたんだ。それで、リイシューを出すなら最初の作品も含め、初期の作品すべてを入れたいと思ったんだよね。

-『Ember To Inferno』の制作を開始した当時、Mattは17歳ですよね。当時の制作環境はどういった状況でしたか?

当時はまだ高校生だったから、もちろん実家に住んでた(笑)。学校に行って、家に帰って、座ってギターを弾いて曲を書く。その繰り返しだったね。Travis(Smith/ex-Dr)とBrad(Lewter/ex-Ba/Vo)は卒業していたからもう働いていたけどね。バンドに入ったとき、俺は12歳だった。他のメンバーはもう16歳とかで、俺が一番若かったんだ。バンドに入ってからはとにかくライヴをやっていたんだけど、そんななか、(Disc 2に収録されている)"Red Demo"はベッド・ルームをスタジオにしてレコーディングした。"Blue Demo"と"Yellow Demo"、『Ember To Inferno』ではガレージをスタジオにしてレコーディングしたんだ。すべてホーム・スタジオだったね。

-今でこそベッド・ルーム・スタジオでレコーディングするミュージシャンが増えていますが、当時はまだそんなに簡単ではなかったのではないですか?

そうそう。今はラップトップですべてをコントロールできるけど、当時は機材についてちゃんとした知識を持った人が必ず必要だった。Red Demoをレコーディングしたときもプロデューサーを雇ったしね。

-レコーディングや制作を振り返って印象に残っていることや、逸話などあったら教えてください。

そのプロデューサーが、"1曲目を俺に好きにミックスさせてくれるなら、いくらでもタダてミックスしてあげるよ"と言ってきたんだ。それで彼にミックスしてもらったんだけど、それを聴き返してみるとスネア・ドラムが聞こえなくて、少しだけスネア・ドラムの音を上げたんだ。で、その出来が良かったから次のミックスをまた彼に頼もうとしたら、そいつが金をとるって言ってきてさ(笑)。音楽業界の人間にはこういう奴がいるから気をつけないといけないっていうのを初めて学んだ瞬間だったね(笑)。

-改めて『Ember To Inferno』の楽曲を聴いていると、TRIVIUMの原点はスラッシュ・メタル寄りのピュアなメタルにありつつ、ハードコアやメタルコアの要素やノリも強かったことが感じられます。当時はどういった音楽を目指していたのかをうかがえますでしょうか?

Red Demoでは、METALLICAやMEGADETHを聴いていて、そういった音が反映されているんだ。その後はメロディック・デスメタルにもっとハマりはじめて、IN FLAMESやAT THE GATES、SOILWORK、ARCH ENEMYみたいなバンドをずっと聴くようになった。だから、Blue Demoではその要素を聴くことができる。『Ember To Inferno』のときはCALIBAN、HEAVEN SHALL BURN、POISON THE WELLにハマッていたね。だから『Ember To Inferno』は、Red Demoの時代から俺たちが影響を受けていたバンドの音楽、つまり伝統的なメタル、メロディック・デスメタル、メタルコア、すべてのミックスなんだ。そのすべてが混ざっているからユニークなサウンドになっているんだよ。『Ember To Inferno』のリリース以降、俺たちは作品ごとにより幅広いジャンルを取り入れるようになって、サウンドはどんどん進化していったんだ。

-当時、特に傾倒していたアーティストやプレイヤーを教えていただけますか?

James Hetfield(METALLICA)、Alex Skolnick(TESTAMENT)、Björn Gelotte(IN FLAMES)、Michael Amott(ARCH ENEMY)、Christopher Amott(ex-ARCH ENEMY)だったな。

-オープニング・トラックの「Inception The Bleeding Skies」(Track.1)が最後のトラック「A View Of Burning Empires」(Track.12)の逆再生になっていたり、1stアルバムにもかかわらず実験的なアプローチが取り入れられているのも面白いなと思いました。どういった経緯でこのような手法を取ったのでしょうか?

最初の時点から、自分たちが何も恐れずあらゆることに挑戦するということをみんなに見せたかったんだ。だから、Red Demoの時点から、ハードな曲からソフトな曲までいろんなタイプの曲が聴けると思う。『Ember To Inferno』の逆再生は、今思えば(映画監督のクエンティン・)タランティーノがやりそうなことだよね。タランティーノの作品から直接アイディアを得たわけではないけど、今考えてみると映画から影響を受けてそういうことをやろうと思ったのかもしれない。Red Demoは、今話したヒーローたちのサウンドがそのまま表現されていて、あまりユニークではない。でも、Blue DemoやYellow Demo、『Ember To Inferno』では、独自のサウンドを作ることができるようになっていったんだ。特に『Ember To Inferno』は完全に自分たちのゾーンに入り込んだ作品だと思うし、当時は誰も混ぜていなかったジャンルがミックスされている。2003~2004年は、メタルコア、スラッシュ・メタル、メロディック・デスメタル、ソロ、ブレイクダウンのすべてが詰まった音楽を作るバンドなんていなかったからね。俺たちはかなりユニークな音を作ることができていたと思うし、そういったジャンルや手法を正しい方法でミックスすることができていたと思う。すごく激しいけど、歌うときはすごくクリーン、というように黒と白がうまく交ざり合っているんだよ。