DISC REVIEW
-
衝撃のデビューから14年。現代ヘヴィ・メタル界における、最重要アクトのひと組であるTRIVIUMが通算8枚目となるアルバムを完成させた。今年8月に突如公開された、表題曲にしてアルバム冒頭を飾る「TheSin And The Sentence」は、新旧のメタル・サウンドを巧みに取り入れつつ、久々に初期の彼らを彷彿させるアグレッションが炸裂したTRIVIUM印の楽曲で、多くのファンが狂喜したと想像する。また、本作はバンドの集大成にして新たな未来を予感させるが如きサウンドに仕上がっており、クラシカルな正統派メタルへの憧憬を前面に押し出した前作『Silence In The Snow』(2015年リリース)の路線が受け入れられなかったファンをも納得させる作品だと断言しよう。もともと卓越したテクニックを持ったメンバー揃いのバンドだが、本作の楽曲群は、どれもメリハリのついた楽曲アレンジで、1曲1曲の説得力がさらに増した。上達が著しいMatthew Kiichi Heafy(Vo/Gt)による堂々たる歌唱は、メロディ・パートもグロウルも過去最高のクオリティである。本作から加入したAlex Bent(Dr)も、強烈なブラストビートも含めた緩急自在のプレイで貢献。すべてがスケール・アップした、見事なアルバムの誕生だ。 井上 光一