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INTERVIEW

ギルガメッシュ

2016.01.13UPDATE

2016年01月号掲載

ギルガメッシュ

Member:左迅(Vo) 弐(Gt) 愁(Ba) Яyo(Dr)

Interviewer:KAORU

-あんまりアーカイヴを参考にしないのですね。

Яyo:そうそう。そのときのインスピレーションを活かしたいんで。

弐:なんか、うちはそっち派なんだなって(笑)。まぁストックを溜めてそこから曲を作っていくバンドもたくさんいると思うんですけど、僕たちはその時々の感情で作ってるんで。だから軽々しくストックとか使えないっていうのはわかるし。

-本作の中で1番最初にできた曲はどれですか?

Яyo:「鵺-chimera-」(Track.3)ですね。これがだいたい新木場のライヴが終わった、3月後半には6割くらいできてたんですけど、どう調理していくかっていうところで時間がかかって。曲のデモ自体ができたのは結構遅くて、左迅と愁に渡せたのが夏くらいですね。8月の段階では3曲くらい渡せました。

弐:8月の時点で3曲ってヒドいな(笑)。

Яyo:今回はなんか申し訳なくて。時間が作曲にもってかれちゃって。

-"鵺-chimera-"というタイトルは"ぬえ"と書いて"キメラ"と読むわけですが、鵺というのは日本伝承の怪物、キメラはギリシャ神話の怪物です。なんかすごくギルガメッシュっぽくていいタイトルですよね。

愁:ギルガメッシュっていう大枠はありつつも、いろんなエッセンスを取り入れて、それがひとつの形になってるっていう、まさしく"キメラ"みたいな。つまり、どこにも属せないということですね。ヴィジュアル系のシーンにいたころからヴィジュアル系っぽくないよねと言われ続け、どこ行っても居場所がなくて、であれば自分たちで居場所を作るしかないなっていう11年間だったので。あと漢字のタイトルがいいなっていうアイディアがあって、キメラを漢字で表記するなら"鵺"だということなので、このタイトルにしました。

Яyo:あんまりわかりづらいのは好きじゃなくて、"○○オブ△△"みたいな(笑)。シンプルなのがいいんですよね。

-個人的にギルガメッシュの歴代作品の中で1番好きです。『鵺-chimera-』には、先ほどからおっしゃっていた"煮えたぎった気持ち"がすべて表れてるんですね。実際に私はこの作品を聴いて、"あ、怒ってるんだな"と思ったんです。イライラしてるというか。そういう感情がテーマだと思うのですが、メンバー間ではどのようなディスカッションをしたのですか?

Яyo:ちょこちょこデモを渡す時点で、テーマについて感じていることとかをディスカッションしたくらいですけど。あと、今回は俺が言いたいことをある程度まとめて三行小説みたいなものを書いて左迅に渡しました。俺は今こういう気持ちだから、それをお前の言葉で書いてくれって。初めてがっつり歌詞の中身、細部までに俺がフォーカスできたかな。前作までは任せっきりみたいなところもあったんですけど、今回はより楽曲のイメージが強かったんですよね。雰囲気からテーマ、言いたいことがすっごい強くて。相当いろいろ感じてたんでしょうね(笑)。俺が書いちゃ意味がないんで、そこは左迅が取り入れやすいようにちゃんと書いてもらって。

-左迅さんはЯyoさんから渡されたメモを見て、ご自身のモードと合っていたのでしょうね。同じようなフラストレーションが溜まっていたでしょうし。

左迅:そうですね。溜めたものは出さないと爆発しちゃうんで。まあコンセプトについてはちょこちょこ口頭で聞いてはいたんですね。ディープな世界観というか。コンプレックスとかネガティヴなものを表現したいという時期がちょうど自分も重なって。さっき話したように、劣等感というか自分にイライラしてて、見返してやりたいっていう気持ちが11年間バンドやってきてもずっと変わらずにあって。11年経って一周して、またギルガメッシュの根底の部分を歌ってみたんです。俺も感じたこととか、ふと思ったことを溜めておくんですけど、今自分が歌いたいこととテーマを照らし合わせて、実際リンクしてることも多かったんで、書きやすかったし表現しやすかったです。みんな同じマインドというか。

-メンバーのマインドが一致してたんですね。

Яyo:言葉を交わさなくても、感じてることは一緒だったんだねっていう。

-プロダクションについてうかがいます。激ロックのコラムで拝見しましたが、『鵺-chimera』は生音で録音したそうですね。

Яyo:今まではトラックダウンの工程まで全部自分でやってたんですけど、今回は自分でエンジニアリングをやっていないんですよ。もう凄まじく時間がなくて。すべてにおいて同時進行で。"あ、もう死ぬ"と思って。この期間から録り始めるよっていうタイミングで、ギブアップしたんです。もともとは自分でやる予定だったんですけど、実際やってたら今リリースできていません(笑)。唯一俺が認めてるサウンド・エンジニアに任せました。ドラムは今までは打ち込みだったんですけど、なんか叩きたくなっちゃったんですよね。プレイしてみたいという気持ちが大きかった。最近は自分の演奏に自信が持てるようになったんで、それでマジでやってみるかと思って。

-なるほど。実際にプレイしてみていかがでしたか?

Яyo:いいテイクが録れるまでは詰まっちゃったりしたんですけど、わりとツルっとできちゃいましたね。そんな中でも唯一「鵺-chimera」は難しかったかなー。あんまりここまで細かく食い込んでるリズムの曲ってなかったんで、その部分では苦労したかな。

弐:ラインで録るんじゃなくて、キャビネットにマイクを立ててやったのはすごく久しぶりで気持ちよかったです。実際出ている音で録るから、そういう音作りもできるし。

Яyo:アンプ3台くらい並べて。アナログ感を出したかったんですよね。気持ち的にも表現したかった。

弐:単に音にも飽きたっていうのもありますけど。機械音というか。たまには生音もいいなっていう。