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INTERVIEW

BRAHMAN

2013.02.13UPDATE

2013年02月号掲載

BRAHMAN

Member:TOSHI-LOW (Vo)

Interviewer:荒金 良介

-あっ、この曲に限らず?

そうですね。でも人間とは?って、人間としか言いようがなくてさ(笑)。

-なんだか、相田みつを的な話になってます。

人間だものって(笑)。でもその人間がケダモノじゃ嫌だなって。そのためには律しなきゃいけないところ、痛みをこらえなきゃいけないところも出てくるわけで、そういうものに打ち克っていきたい。だから、人間という言葉はずっとテーマなんですよ。いや、本当に、人間になるのは難しいんだよって思う。

-はい、この辺で今作の話をしたいんですが、まず1曲目「初期衝動」からインパクト絶大で。僕は勝手に"侍のテーマ曲"と呼んでて、悪代官を倒しにいく侍の姿が脳裏に浮かぶ勇ましい楽曲だなと。

はははは。震災以降、この国はこんなに歪んでいるんだ、ダメなところがあるんだ、でもこんないいところもあるんだ、と客観的に見れた部分があって。何かを隠して聴きやすくする、臭いものに蓋をするつもりはなかった。だから、この作品がどう取られるのか、まだ何も見えてないんですけどね。ただ、どこか自分で自分に嘘をつく部分があるじゃないですか。でもバンドを始めたときって嘘をついてなくて。大人から見れば、理想みたいなことを言ってるかもしれないけど......これってすべての職業に言えることだと思うんですよ。志というか、初心みたいなものをいつの間にか忘れて、今の自分の状況にどんどん嘘をついてしまう。そこをみんな認めるべきじゃないかなって。もう一度いろんなことを刻む必要があるんじゃないかなと。今を刻むことで未来は見えてくると思ってるし。

-今を刻むというのは?

CDの世界が架空のものじゃなくなって、今を刻むもの、その瞬間を刻むものだと思ってて。今回は特にライヴを目的に作ったんですよ。CDにパッケージすることが最終目的ではなくて、目に前で音が鳴ったときにオーッ!となるように特化した。そこは自信があるんですよ。

-いままでの作品はそうじゃなかった?

結局、全部そうなってるんですけどね。ほら、感情を抑えることで響くものもあるでしょ? でも今回はステージで響かなきゃ意味がないと思ったし、ほかのメンバーもそう感じていたんじゃないかな。基本的に演奏はシンプルだし、それはステージでの完成形をみんなが描いていたから。自分に響かないと乗れないし......もっとガーッとやれるんじゃないかと思って。いままでは曲の展開をわざと変えようとしたフシもあったけど、今回は歌詞やメロディをわざと同じにしているところもあるんですよ。何回も同じフレーズを繰り返すことで、グッと刻めたらいいなと。ずっと力んでいる感じを出したかった。それは何かと言ったら、いちばん最初にステージに上がったときに描いていた自分なんですよ。息を抜くためにバンドをやりたかったわけじゃないから。本当にステージで死んでもいいんでしょ、と思ってやっているなら、本来はそういう力のかけ方をしないといけない。それは瞬間の連続だし、そのためには高いテンションがずっと必要なわけで、それに耐えうる楽曲じゃないとダメだなって。それは音を重ねたり、無駄にテクニカルにする事によって、表現できるものじゃないんですよね。今回のアルバムはライヴでやったら、楽しそうだなと思う。

-震災以降に出した2枚のシングル(「霹靂」、「露命」)もライヴで抜群に映えてたし。

うん、自分でもそう思いますよ。耳だけで聴き流せない音楽というか......イージー・リスニングとはほど遠いアルバムだと思う。耳に優しい言葉ばかり使ってないし、自分はもう耳だけでは聴けないですね。

-もはや日本語じゃないと、この内側の思いは伝え切れないという境地に達したことが大きいんじゃないですか。何度も例に出して申し訳ないですが、1曲目「初期衝動」の"容赦なき初期衝動"の歌詞を英語に訳すと、そこでもう意味が変わってしまう。

要は自分で自分に伝えたいんですよね。「初期衝動」って、冷静に考えたらタイトルとしてどうなの?と思うんだけど(笑)。バランス感覚を考える前に、自分に刻むためにその言葉を選んだから。"青き日のなんとか~"にしたら伝わらないし、それこそ英語にしたらもっと伝わらない。いままでは伝わらないぐらいでちょうど良かった。どうせわかってもらえないだろうし、それは今でもあるんだけど、なるべく糊代は多い方が勝手に色付けてもらえるんじゃないかなって。精神的な余白というか、色を塗らないで出していた部分があったから。でも今回は塗り上げないと、作品を仕上げずに出すことになると思って。

-それは大きな心境の変化ですね。

いままではそんなことを考えなかった。もうちょっと作品性や崇高に見える感じを意識していたと思う。

-ちょっと話は逸れますけど、TOSHI-LOWさんは昔から古風な漢字が好きなんですか?

言葉は好きですよ。それは知識をひけらかしたいわけじゃなくて、そんな言い方もあるんだっていうのがあるじゃないですか。それを探すのは好きでしたね。小さい頃、国語の辞書が好きだったんですよ。ずっと読んでました。