DISC REVIEW
-
あざとい。実にあざとい。今作が持つ存在感をアニメ・キャラにたとえるならば、用意周到且つコケティッシュな"ルパン三世"の峰 不二子に最も近い気がする。時には上品な貴婦人に変身することもあれば、時にはワイルドな強さで相手を圧倒してみせる変幻自在な彼女のように、今作には様々なタイプの楽曲が詰め込まれている印象。中でも瑠伊のコンポーザーとしてのポテンシャルは、ここにきてさらなる高次元で花開いたと感じる。もともと器用なバンドだけに音楽的な作りこみも非常に凝っており、それでいてロック・バンドとしてのやんちゃさも忘れることなく、長年のキャリアに裏打ちされた貫録も充分。何もかもがあざとすぎて、聴く側はひたすら蠱惑されてしまうしか選択肢のないところが大変素晴らしい。 杉江 由紀