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INTERVIEW

vistlip

2021.04.26UPDATE

2021年04月号掲載

vistlip

メンバー:智(Vo) 海(Gt)

インタビュアー:杉江 由紀

本当に欲しいものがあるのなら、自ら動き出してしまうのがきっと一番の近道だ。このたび、vistlipが久々のシングルとして発表する『Act』は今この時代にこそ強く響き渡らせたい秀逸な楽曲へと仕上がっており、こちらはなんとTVアニメ"デュエル・マスターズ キング!"EDテーマとしても起用されているとのこと。vistlipならではのエモく頼もしいバンド・サウンドが、キャッチーでアニソンらしいフレーバーを纏いながら、コロナ禍を生きる人々へのメッセージが託された歌詞と交錯したときに生まれたこの曲には、確かに熱い魂がこもっている。vistlipが高らかに伸びやかに歌う"開戦を告げる合図"は、今ここにしかと放たれた!

-昨年末に発表されたベスト・アルバム『MEMENTO ICE』に次いで、このたびは1年7ヶ月ぶりとなる久々のシングル『Act』がここに完成しましたけれども、今回はまずその後いかがお過ごしでしたか? ということからうかがわせてください。

海:あのベストが出たのが去年のクリスマスのちょっと前でしたっけ。まさに、あのあたりからは地獄の日々でした(苦笑)。

智:急に仕事が増えちゃったからね。というか、それは活動のペースがだんだんコロナ前に戻りつつある感じになってきたからこそのことなので、忙しくて地獄とは言ってもそれは間違いなくありがたいことではあるんですよ。

-なるほど。そして、その忙しさの一因となっていたのが今回のシングル『Act』に関する制作作業だったわけですね?

海:実は、ベストを発売したちょっと前くらいに今回のシングルを出すことと、そこにつくタイアップの件がまず決まったんですよ。

-タイアップとはTVアニメ"デュエル・マスターズ キング!"EDテーマの件ですね。

海:そう、だから今回はそのタイアップが先に決まって、そこから新曲を作り始めたんです。ところが、締切まで全然時間がなくてですね。クリスマス、年末年始とあって、1月8日くらいまでに作って出すかたちでした。智なんて、クリスマス・イヴには仮歌を録ってたよね? メンバーとスタッフのグループLINEに"今、誰かクリスマス・パーティーしてたらブッ飛ばす!!"っていうイライラしたボヤきが来てました(笑)。

智:みんなも忙しくて誰もしてないだろうなとはわかってたけど、ついね(笑)。

海:それで、ようやく12月の27日とか28日に今回のシングルの表題曲は「Act」で行くということが決まって、そこからはデモの状態から曲の本格的なアレンジに取り掛かったんですけど、その段階ではYuh(Gt)がコード進行に対していろいろアドバイスをくれましたし、TVサイズの他にCD用のフル尺も作って、とやることはいろいろありましたね。

-ちなみに、今回のシングルには【lipper】盤にドラムのTohyaさんが作曲されているカップリング曲「John Doe」が収録されていますけれど、時期的には「Act」の方が先にできたものということになるのでしょうか?

海:いや、両方とも同時期ですね。

智:というか、「John Doe」も今回のシングルで表題曲になる可能性があった候補のひとつだったんです。正確にはさらにもう1曲別に候補があって、その3曲で競った結果このシングルには「Act」と「John Doe」の2曲が入ることになったわけです。

-なるほど、それで今回のシングルはダブルAサイド・シングル的な雰囲気に聴こえるのですね。「Act」だけでなく「John Doe」も、華のある楽曲となっている印象です。

智:そうそう、両方とも"狙っちゃってる"んです(笑)。

-だとすると、ある意味ではどちらがタイアップ曲になってもおかしくはなかったなかで、今回「Act」が競り勝った理由がなんだったのかも非常に気になります。

海:それは完全に先方(タイアップ側)の意向ですね。できた3曲を呈示して、選ばれたのが「Act」でした。

-では、この「Act」に決まったときにバンド側、メンバー側が感じたのはどのようなことだったのでしょうか。

智:俺は単純に"海、おめでとう!"って思いました。これ、今回はどこの取材でも言ってることなんですけどね。

-作曲をされた張本人である海さんとしてはいかがでした?

智:絶対"やった!!"って思ったでしょ?

海:まぁ、それはそうだね(笑)。

智:決まったとき、まさにLINEでそういうやりとりもしたんもんね。"おめでとう!"、"ありがとう!"って。

海:だって、そもそも今まで僕の曲はシングルのリードにさえなったことがなかったですからね。そこはやっぱり、素直に"ありがとうございます"ってなりましたよ。

-いやはや、おめでとうございます。ちなみに、海さんは苦節何年でこの快挙を達成したことになるのでしたっけ。

海:14年くらい!? なんなら、僕はTohyaやYuhと比べると作ってる曲数自体もそう多くはないですしね。カップリングとかアルバムの中のクッションになるような曲がほとんどだったんで、こんなことは一生ないと思ってましたもん。なんか、自分でもちょっと不思議な感じがしてます。

-「Act」がこれだけ強い力を持った曲に仕上がった理由が何かあるとしたら、海さんとしてはどのような解析をされますか。

海:たぶん、この時期にこのタイアップありきで作った、というのは大きかったでしょうね。というのも、うちのバンドは普段だったら結構クセのある曲とか、もっとパンチのきいた曲をシングルとして出すことも多いじゃないですか。あんまりサラッと聴けていかにもキャッチー! みたいなものは、本来そんなに出したがらないんですよ。

-たしかに。その点、「Act」については"デュエル・マスターズ"のメイン・ターゲットである小学生たちも受け止めやすいような曲、ということを意識して作られたわけですね。

海:それが、実はそうでもないんですよ。もちろん、TohyaとYuhは間違いなくそこを念頭に今回それぞれ曲作りをしてたと思うんです。でも、僕の場合は仮にそれを意識したところでまずその通りには作れないタイプですからね。"バラードを作ってこい"って言われたのに、気がついたら激しい曲になってたとかそんなんばっかりなんです。メンバーみんなで、"今回は激しい曲が欲しいよね"っていう話をしたうえで作っているのに、できてみたらめちゃくちゃまったりしたものになってたりする(笑)。計算してその通りに作るっていうことが全然できない。

-ならば、「Act」はいったいどのような生い立ちを経てできた曲なのです?

海:自分なりに、まずは"アニメに似合う曲を作ろう!"ということで、元ネタとなるフレーズを3つ用意しまして。そのうちのひとつは、四苦八苦しながらもなんとかカタチにすることはできたんです。ただ、あくまでもカタチになっただけで自分では"まだこれじゃダメだな"と感じていたんですけど、時間的にもう猶予がなかったんで3つの元ネタのうちの別のものに今度は取りかかったんですね。ところが、ちょっとまたそこで行き詰まってしまって、"仕方ない。気分転換に部屋の片づけでもするか......"って始めたら、そのうち急にふっと降りてきたのがこの「Act」だったんです。

-気分転換が功を奏したのですね。素晴らしい!

海:いきなり鼻歌でサビが出てきて、その瞬間に"これは行けそうだ!"と感じたんで、3つの元ネタはいったん忘れたうえで、とにかくその降ってきたものを鼻歌でそのままバーっと吹き込んで、そこにギターを当ててみて、さらにドラムをつけていくっていうかなり雑で意味わかんない作り方をしました(笑)。しかも、できたデモは歌とドラムがズレてたんですけど、時間がなかったのもあってそのままみんなに渡しちゃったんですよ。

智:すごかったよ、あれはマジで(苦笑)。"このデモ通りには絶対歌えない"っていう状態だったからなぁ。

-そこはトレードオフと言いますか、多少のアラはあるとしても"降ってきた"天啓のようなメロディをまずは真空パックするかのように保存し、それをとにかく1曲のかたちに仕上げることが海さんにとっては最優先だったのでしょうね。

海:そうなんですよ。これまでも曲が降ってきた経験は何回もあったし、その都度録音もして、それをもとに後々曲を作ることもあったんですけど、今回に限っては"これはきっと、ちゃんとした曲になってくれるだろうな"っていう確信が持てたんです。実際、いつもだったら1曲を作るのに平気で1週間とかかかるのに、この「Act」に関しては締切2日前に出てきて、そこからちゃんと提出まで間に合いましたからね。もちろん、その時点ではこの曲が選ばれるかどうか以前に、自分としては"よかった、間に合った"と思っていただけというか。"とりあえず、玉数のひとつとして出しておこう。カップリングにでもなってくれたらいいな"くらいの気持ちでいたんです。