MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

vistlip

2020.12.21UPDATE

2020年12月号掲載

vistlip

メンバー:智(Vo) 海(Gt) 瑠伊(Ba)

インタビュアー:杉江 由紀

満を持してのベスト盤であると同時に、これは予想外のベスト盤ということにもなるのだろうか。かねがね"解散のときまでベストは出さない"と公言していたvistlipが、なんとここに来てその言葉を撤回しファン投票曲とメンバー・セレクト曲を統括した2枚組全32曲のベスト・アルバム『MEMENTO ICE』を発表することになったのだ。そのうち9曲は"[MEMENTO ICEver.]"としてリミックスが施されているほか、「EDY[2020ver.]」や「July Ⅶth[Re:birth]」といったvistlipの歴史を語るうえで欠かすことができない名曲たちも収録されている今作は、彼らにとってのこれまでとこれからを繋ぐ重要な作品へと仕上がったと言えるだろう。


"ベストを出すのは解散するとき"と決めてましたし、公言もしてたんです


-激ロックでは3月にミニ・アルバム『No.9』についての取材をさせていただいておりましたものの、その後のツアーなどは軒並みコロナの影響で延期/中止となってしまいました。あれから数ヶ月が経った今、次なる作品としてベスト・アルバム『MEMENTO ICE』が完成へと至りましたけれど、みなさまここまでお元気でいらっしゃいましたか?

瑠伊:みんな元気でした。水面下では今回のベストの制作もしてましたし、週イチくらいでトーク配信もしていたので、ずっと動いてはいたんですよ。

-ただ、いわゆる無観客配信ライヴの類いは開催されてきておりませんよね。

智:そこはやっぱり、vistlipというバンドのカラーを考えるとね。ライヴというのは"空間をつくっていく"という意味合いが非常に大きいので、画面というフィルターを通してしまうと削がれてしまうものが出てきかねない懸念があるというか。もちろん、ずっと待ってくれているファンの人たちからすれば酷な話なのはわかるんですけど、僕らからしたら配信ライヴに関してはあえてやっていないことを理解してもらえたらなと思ってます。

海:演奏やパフォーマンス自体は自分たちで納得できるものができたとしても、それを配信したときに"vistlipとしてちゃんと納得できるもの"が届けられるのか? という点を考えると、どうしても踏み切れないんですよ。

-それだけ、vistlipはライヴ・バンドとしての矜持を大事にしたいというスタンスをお持ちなのでしょうね。ちなみに、このコロナ禍においては失うもののほうがいろいろ多かったはずですが、そんななかでもみなさんにとって何か得られたことがあったとしたならば、それはどのようなものになりますか?

智:これは何も僕らに限ったことではなくて、多くの人たちにとってもそうだと思うんですけど、改めて"見つめ直す"ことができたことでしょうね。状況的に物事を計画通りには進められなくなってしまったぶん、バンドについて考える時間や機会はほんとに増えましたから、それはすごく大きいなと思います。

瑠伊:時間だけはあったので、僕は作曲面で今まで作ってこなかったものに挑戦してみたりもしました。しかも、それが思っていた以上にいいかたちになったのでそこはまさに自分にとって新しく得られたものでしたね。

海:振り返ってみると、これまでって基本的には常に忙しくて何かに追われているような日々でしたからね。いったん、こうして考える時間が生まれたこと自体は、ここからの自分たちにとっていいかたちで作用していくんじゃないかと思います。

智:あとは、編集スキルが身についたんじゃない? 写真とかの。

海:あぁ! それはあるね。おかげさまで、それはたしかにそうです(笑)。バンドとしても、個人としても、今までやれてなかったことや、見逃しちゃってたものに対して、取り組むことができる時間を作ることができたっていうのは良かったですね。

-だとすると。今回のベスト・アルバム『MEMENTO ICE』を制作していく過程もまた、vistlipにとってはこのバンドのたどってきた足跡を"見つめ直す"時間になっていったということになりそうですね。

智:きっかけとしては、vistlipの始動時から支えてきてくれているスタッフ側から"今この状況だからこそ、vistlipの存在感をもっと世に打ち出していきたい。そのためにここでベスト・アルバムを出すのはどうだろう?"という提案があったんですよ。でも、これまでの俺たちは頑なに"ベストを出すのは解散するとき"と決めてましたし、公言もしていましたからね。当初はだいぶベストを出すことに対して後ろ向きだったんですけど、さっき言っていたリモートでのトーク配信でファンのみんなに"今こういう話が出ているんだけど、どう思う?"って率直に聞いてみたんです。おそらく、そんなことをファンに相談するバンドっていうのも珍しいですよね。

-たしかに(笑)。肝心なファンの方々からのリアクションはいかがだったのですか?

智:全然ウェルカムでした(笑)。

瑠伊:みんな"聴きたい!"って言ってくれましたね。

-結果的には今回のベストは2枚組で全32曲を収録する大ボリュームなものに仕上がっておりますが、なんでも楽曲のセレクトにあたってはファン投票とメンバーの意向を共に反映させていくことになったそうですね。

瑠伊:ファンのみんなにはシングルの表題曲、シングルのカップリング曲、アルバム、ミニ・アルバムの4カテゴリーからひとり3曲ずつを選んでもらいました。

海:要は、ひとりあたり計12曲を選んでもらったかたちです。集計は曲ごとの投票総数を基準にして、上位から曲をピックアップしていくかたちになりました。

智:そして、曲順は基本的に時系列順になってます。

-ファン投票曲とメンバー・セレクト曲の割合比率はどのようになっているのです?

海:30対2でほとんどがファン・セレクト曲ですよ。

智:双方で被っている曲も多いので、それだけでも30曲になっちゃったんです。今回はそこにプラスして、どうしてもバンド側として入れたい曲をさらに2曲入れました。

瑠伊:メンバー・セレクト曲として入れたのは、「FIVE BARKIN ANIMALS」と「Underworld」ですね。

-では、それら2曲の選出理由についてもぜひ教えてください。

智:「Underworld」は、これまで最高にいい空間ができた! とメンバー全員が一致して思うときにしかライヴでやったことがない曲なんですよ。

瑠伊:4年くらい前にできた曲だけど、今までやったのって3回か4回くらいだっけ?

海:両手はいかないね。この曲が入ってるアルバム『BitterSweet』(2017年リリース)のツアーのときでさえ、名古屋でしかやんなかったもんな。

智:俺らにとってはそれだけ大切な曲ですし、現状に満足せずいつまでも夢を持っていたいというような歌詞の意味合いの部分を考えても、「Underworld」はこのベストには絶対に欠かせなかった曲なんです。

海:「FIVE BARKIN ANIMALS」は僕が特に推した曲で、今回のベストの中でいうとこれは最もヴィジュアル系っていう枠から逸脱してる音なんですよ。歌というよりはラップが主体だし、音も相当ヘヴィだし。だけど、vistlipにとっては間違いなくこれもひとつの重要な側面であり要素なので入れたかったんです。

智:vistlipとして全編ラップってこれが初でしたからね。今回のベストの最後のほうに入ってる「DANCE IN THE DARK」なんかも、「FIVE BARKIN ANIMALS」が先にあったからこそ出てきた曲だとも言えるんですよ。

-音から感じられる激しさや熱さからいって、こちらは激ロック読者層に特にオススメしたい1曲だと感じます。

海:ほんと、これはぜひ聴いてほしいですね。

瑠伊:「FIVE BARKIN ANIMALS」はライヴでの定番曲なんですよ。だから、このベストを聴いたうえでライヴに来てもらえるとより楽しめると思います。

-しかも、今回は"[MEMENTO ICEver.]"ということで、サウンドもさらにオリジナルからブラッシュアップされておりますものね。このベストでは9曲にリミックスが施され"[MEMENTO ICEver.]"として収録されているほか、「EDY[2020ver.]」なども収録されていて、非常に興味深いです。

海:具体的に言うと、「LIFE[MEMENTO ICEver.]」はギター2本を録り直していて、「alo[n]e[MEMENTO ICEver.]」と「TWISTER[MEMENTO ICEver.]」は僕のギターだけを録り直してるんですね。あと、「EDY[2020ver.]」は歌もギターも録り直して。それ以外は、ミックスをイチからやり直した感じなんですよ。

瑠伊:どうも海は(過去の音が)気にくわなかったらしいです(笑)。

海:僕の録り直し分が多くなったのは、ほんとそこですね(苦笑)。もちろん、そこはうちのもうひとりのギタリストであるYuhとも相談して決めたんですけど、アイツとしてはとにかく「LIFE」だけはまず絶対録り直したいと言ってて、それに加えて「EDY」に関しても"今の音で録るべき"っていうことを言ってたんですよ。俺だけ録り直してる「alo[n]e」と「TWISTER」なんかは、原曲と今回のでは弾いてることが少し違ったりもしてます。

-そうした時を経ての変化は、やはりライヴの場で徐々に培ってきたものであることが多いのでしょうか?

海:「LIFE」はまさにそうです。ライヴを通して変わってきた部分を、今のかたちでレコーディングしてあるので。でも、他は当時だとできなかったことを今やれた感じなんですよ。昔はレコーディングの知識もなかったし、"こういう音を出したい"と頭の中で考えてはみても、そこにたどり着くことができなかったですからね。それでも、あの頃の自分なりにできる限りのことはやったつもりでしたけど、今になって聴き直すと"ここはああすれば良かったんだよな"って思うから、今回はそこをちゃんとやり直したかったんです。

-なるほど、そういうことでしたか。

海:あと、これはまったくの偶然なんですけど、去年末からコロナ禍が始まりだしたあたりで俺の機材が相次いでちょっと調子悪くなっちゃって、いろいろ一新してたのが今回のベストを作っていくうえではすごくいい方向に生きたんですよね。いっときTohya(Dr)に"なんで最近そんなに機材ばっか買ってんの?"って言われて、"いや、調子も悪いしなんとなく新しくしとこうかな"みたいに答えた記憶があるんですけど、夏前くらいまでには家でもギターのレコーディングができる環境を構築できていたので、コロナの状況とかに左右されず作業ができてほんと良かった。