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INTERVIEW

vistlip

2019.09.13UPDATE

2019年09月号掲載

vistlip

Member:智(Vo) 海(Gt) Tohya(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

禍を転じて福と為す。2018年11月より今春にかけ、vistlipはヴォーカリスト 智の病気療養(肺のう胞および肺気胸)を受け、一時的にバンド活動を休止せざるを得ない状態となっていたものの、今年7月7日には12周年記念ワンマン・ライヴで前線へと無事復帰し、このたびは22thシングル『CRACK&MARBLE CITY』をリリースするにも至ることとなった。紆余曲折を経ての今作は、vistlipだからこそ生み出せる多彩な3曲が詰まった仕上がりを見せているが、珠玉のメロディを熱いサウンドで聴かせる彼らの手腕はそれこそ12年というキャリアの裏打ちがあってのものにほかならない。シビアな苦難を乗り越えたvistlipの放つ音は、どこまでも力強いのだ。

-vistlipは今年の七夕に12周年記念ライヴ("vistlip 12th Anniversary【My Zodiac Sign.】")を開催されました。こちらは昨年秋から病気療養をされていた智さんの復帰公演でもありましたが、まずはそれを終えてみての手応えを各人からうかがわせてください。

智:とにかくステージに立つのが久しぶりだったので、安心したっていうのが一番大きかったです。ライヴの内容自体に対しての自己採点をするなら、点数としては決して高くはなかったと思うし、満足も全然してないんですけど、そこを除外するならあの12周年記念ライヴはやれて本当に良かったと思ってます。ステージからの景色とか、ファンのみんなの表情をあの場で見られたことが嬉しかったし、すごく楽しかったですね。

Tohya:僕も智とおんなじで、あのライヴを無事に終えられたことで得られたのは大きな安心でした。やっぱり、ライヴをやっていない期間が長く続くと不安になるんですよね。それどころか、1週間でもメンバーと会ってない時間ができてしまったり、バンドとしての活動がなかったりすると、僕なんかはどんどん心が荒んでいっちゃうんです。俺、ちゃんとバンドやれてるのかなぁ......って(苦笑)。

-12周年を迎えるほどの活動歴でも、たった1週間でそんなことを!?

Tohya:でも、ほんとにあの7月のライヴに関しては準備期間に入った段階から、ようやく"vistlipモード"に入れたことが嬉しかったんですよ。久々のライヴっていうことで緊張もありはしましたけど、あの日はやっててすごく楽しかったです。いい意味で、"あぁ、いつも通りな感じだ。これ"って思えたから安心できたんでしょうね。もう次のツアーも決まっているし、来年のスケジュールについてもメンバーみんなで話し合ったりしているので、自分としてはやっと心を取り戻せた感じがします。

海:僕からしても、7月のライヴについては"やっとできたな"っていう感覚はありましたね。ほんとに久々だったから、やりながら"そうそう、これこれ!"って感じる瞬間もあったし、あとはステージ上でメンバーの姿を見るのもなかなか面白かったですよ。"12年もやってるのに、今さらそんな初ワンマンみたいに緊張する? すげーな、コイツら!"って。そういう意味では、あのライヴでこのバンドはいい意味での初心を取り戻したとも言えるんじゃないかなと思います。中でも、特に緊張してたのは智じゃなくてこの人(Tohya)でした(笑)。

Tohya:いやー、今回ばかりは"絶対に失敗できない!"っていうプレッシャーがめちゃくちゃ強かったんですよ。前の日も全然寝られなかったです(苦笑)。

海:智も"寝られなかった"って言ってたし、瑠伊(Ba)もああ見えて意外とセンシティヴな子なんで、前の日から緊張してたみたいですよ。逆に、俺なんかは前日までが地獄のように忙しい日々だったので、"これでやっと寝られる!"くらいの感じだったのに。

智:僕は前の日にちゃんと寝られなかったぶん、当日の楽屋で眠かった(笑)。

海:でしょうね(笑)。だからまぁ、俺なんかは実感っていう意味でいうと当日よりもむしろ当日までの日々の方が"あぁ、また動き出したんだ"と強く感じていたかもしれないです。とにかく時間が足りなくて。

-それは12周年記念ライヴに向けての準備はもちろんですけれど、9月18日に発表される22thシングル『CRACK&MARBLE CITY』の制作も並行していたという意味で?

海:それも当然そうだし、だいぶいろんなことが重なってたんですよ。あの12周年記念ライヴのときに会場で流した映像も、ほぼほぼ新規で作ったものでしたからね。それの素材を作ったり、絵を描いたりっていうのにも時間が必要だったんです。あとは、それとは別に事務的な作業もしつつ、その先のスケジュール調整もしたり、もちろん今回のシングルのための写真撮影なんかもあったりっていう(笑)。ギャップが大きかったっていうのも、ひとつあるんでしょうけど。

-ギャップとは?

海:一時的にライヴ活動が止まったことで、今年の頭あたりはここ数年まったくなかったくらいの空き時間ができてしまって暇だったわけですよ。そこからいざ動き出してみたら、"バンド活動ってこんなに忙しかったっけ!?"みたいになっちゃったというか。まぁ、少し慣れてきたら"そうだ、そうだ。こういう感じだったよな"って感覚はすぐに戻ったので良かったですね。そして、あのライヴが終わってもすぐにファンクラブ旅行があったりしたんで、復活ライヴの余韻にひたる暇も、残念ながらなかったです(笑)。

-なお、話をわざわざ蒸し返すことにはなってしまいますが......智さんが昨年11月から今春にかけ病気療養をとられていた間のことについても、改めてうかがわせてください。おそらく、入院をされていた間には様々なことを考えたり、感じたりしていらっしゃったのではないかと思います。そうしたプロセスがあったことによって、ご自身の人生観やバンド観などに変化や影響はあったでしょうか。

智:バンド観そのものが変わったとかはなかったですけど、人生観についてはありました。あの療養期間が自らを見つめ直す機会になったのは間違いないので、"これまではこんな感じで来ていたんだな"と再確認したり、この先についても"vistlipを続けていく以上は、もっとこうなっていかなきゃな"っていうことも考えたりしましたし。時間があったぶん、いろんなことをいっぱい考えました。だから、あの復帰ライヴ以降、今やっている活動はすべてそこから繋がってきているものだと言えるでしょうね。

-未来的なヴィジョンについて考えたときに、智さんが最も強く意識したのは具体的にどのようなことだったのでしょう。

智:前から、ヴォーカルって大変だなっていうことはずっと思ってたんですよ。"なんで俺はヴォーカルっていうパートを選んだんだろう?"くらいに感じることもあったし、"なんで俺ばっかり......"っていう気持ちになってたこともあったんですね。