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INTERVIEW

vistlip

2019.09.13UPDATE

2019年09月号掲載

vistlip

メンバー:智(Vo) 海(Gt) Tohya(Dr)

インタビュアー:杉江 由紀

vistlipはこの5人のバンドだし、5人ともが主役でありたい


-ヴォーカリストはフロントマンと呼ばれることもあるくらいにバンドにとっての顔にもあたるパートだと言えますが、智さんとしてはそこに対する重責を感じていらっしゃったということになりますか。

智:そうそうそう(笑)。僕は別に、顔になりたかったわけじゃないんですよ。純粋に歌が好きで歌っているだけの話で、バンドすべてを背負ってるみたいな感覚でもないですから。

海:写真撮影をしたりしても、"なんで俺が真ん中なの......?"ってよく言ってたもんね。

Tohya:そりゃあヴォーカルだからでしょ、って周りはなるんですけど(笑)。

智:でも、よくよく考えたら不思議じゃないですか? こっちからすれば、"なんでそういうもんだと思ってんの?"ってなっちゃうわけですよ。

-そこはきっと、往々にしてヴォーカリストはほかのパートよりも自己顕示欲がより強い方が担われていることが多い、という傾向が強いからなのではないかと思いますが。

智:あー、そういうタイプの方は確実にいますもんね。でも、僕は歌が好きだけど決して"自分が! 自分が!"っていう感じではないんです。もちろん、ヴォーカルとしての責任感はあるつもりなんですよ? だけど、昔から不思議でしょうがなかったんですよね。なんで、そこまで顔としての役割を求められるんだろう? どうしてこんな世の中になっちゃってるんだろう? って(苦笑)。でも、あの療養をしていた間にゆっくり考えていくなかで、そこの価値観はちょっと変わったかなっていう気もしてるんです。

-それはなんとも興味深いご発言ですね。

智:相変わらず、"俺が! 俺が!"とはなりませんけどね(笑)。だけど、ヴォーカルがバンドの中でやるべきことについては全部やっていこう、っていうふうに考えられるようになりました。もっともそこは誤解してほしくないんですけど、ここに来て僕が世間に染まったとかではなくて、いろんなことを考えたうえで自分がそうするべきだと思ったから今はそうしてる、っていうことなんですよ。そういう意味では、個人的に心底これを納得してやっているのかというとそれは違います。vistlipのヴォーカルとしてやらなくちゃいけないと思うから、必要だと思うからやってる、やらせていただきたいと思ってる、っていうだけのことです(笑)。

海:何しろ、打ち合せとかに立ち合う機会も智はずいぶんと増えましたもん。前までは声を掛けてもスルーでお任せってなってましたけど、今回のシングル『CRACK&MARBLE CITY』を作っていくなかで、MVを制作するうえでも"ちょっと来て"って言ったら来てくれましたから。そういう意味では、智の療養の件はなきゃないほうがそれは良かったですけど、あの件があったことで智にとっても、このバンドにとっても得られたことが確実にあったっていうことですね。

智:vistlipはこの5人のバンドだし、5人ともが主役でありたい。そこは最初からずっと思い続けていることですけど、そうだとしたら自分にも果たすべき役割がまだあるっていうことに今改めて気づいた、っていう感じだと思います。

-なるほど。そうなってくると、今回の22thシングル『CRACK&MARBLE CITY』は、vistlipにとってある種特別なものに仕上がったことにもなりそうです。今作を制作していくのにあたっては、バンド内で"このシングルにどのような意味合いを持たせていきたいか"というディスカッションがあったのでしょうか。

海:言葉としては誰も何も言わなかったですけど、まず楽器陣は作曲の段階から無意識のうちに全員が"このタイミングで出す作品だからこそ込めたいもの"というのがきっとあったと思いますよ。結果的に俺の曲は入らなかったですけどね(笑)。あと歌詞に関しても、智は最初から"もう、書きたいことは決まってるから"って言ってました。要するに、今回は自然と5人全員がひとつのところを見てたんじゃないですかね。

-表題曲「CRACK&MARBLE CITY」はTohyaさんの作曲になりますが、この中でコンポーザーとして大事にされたのはどんなことでしたか。

Tohya:次のシングルを出す、って決まった時点で智から"こういう曲が欲しい"というオーダーを受けたうえで作ったのが「CRACK&MARBLE CITY」だったんですよ。

海:うちはそのへん、智がイニシアチブをとってますからね。

-その、"こういう"の中味が実際にどのようなものだったのかが気になります。

Tohya:すみません、そこは企業秘密なんで(笑)。全体的に言えば、智の欲しがっているものと自分からの提案とか要素、さらにvistlipらしさをひとつに融合させていくかたちで作っていきましたね。このシングルに限らず、新しい作品を出すときには常にそれまでの自分たちを超えていかなきゃいけないなという気持ちがありますし、今回は復帰第1弾ということもあったので、いつも以上に気を引き締めて作ったところはありました。

-今しがた出てきた、"vistlipらしさ"という点についても少しうかがわせてください。そもそもこのバンドは4人のコンポーザーを擁しているバンドだけに、楽曲の多彩さにも定評があるわけですが、Tohyaさんが「CRACK&MARBLE CITY」の中で醸し出したかった"vistlipらしさ"がより集約されているのは、どのあたりになりますか?

Tohya:サビのメロディ、でしょうね。一番そこが強く出たのは。

智:そうだよね、それはすごく感じる。

Tohya:「CRACK&MARBLE CITY」のサビは、どこか懐かしさを感じる音の運びになってると思いますね。"Tohyaと言えばこれ"みたいな。

海:わかる。これ、超懐かしい感じがするー。

智:まさにそれを欲してたんだよ。昔の「-OZONE-」(4thシングル表題曲)みたいな雰囲気をね。

海:それだ! アルバムで言うと、『THEATER』くらいの時期の感じじゃない?

-それらがリリースされたのは2009年でしたから、10年前に確立していたvistlipとしての王道を「CRACK&MARBLE CITY」では再構築したことになるのですね。

智:サビは王道なんだけど、イントロとかAメロはこれまでとはちょっと違う新しいテイストにしてほしかったんですよ。ほんと、これはそのイメージ通りの曲になってますね。そういえば、レコーディングが終わってトラック・ダウンの途中に急遽5人で"ここにシンセを足そう"ってみんなで意見を出し合いながら音を入れたところもありました。あれはちょっと珍しいパターンだった気がします。

海:単に懐かしい! だけで終わっちゃう曲にはしたくなかったですからね。vistlipらしいんだけど、今だったらこうだよねっていうところや、vistlipとして先に進んだところも表現した曲にしたかったんです。だから、ギターの音とかフレーズもかなり悩みながらタイムリミットのギリギリまで練っていきました。うちはYuh(Gt)も瑠伊もプレイヤーとしてはそこそこ主張が激しいんで(笑)、そこのバランスを取りながら歌も活かしてとなると、なかなか弾き倒す! みたいになるわけにはいかないんですけど、今回はいつもよりは俺の音もちょっと前に出た感じにはなりましたね。

Tohya:僕もドラマーとして派手に主張したのは、最後のサビの終わりのほうのフレーズくらいでしたね。基本的にアレンジはベースを主体として考えていたところがあったので、ドラマーとしては曲全体や歌を映えさせるためにやりすぎないようにということを意識してました。

海:曲の場面によって5人それぞれが個性を発揮しながら、全体としては5人としての調和もちゃんと取れた曲になったよね。これもやっぱり今だからこそ、っていう気がする。