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INTERVIEW

vistlip

2019.01.25UPDATE

2019年01月号掲載

vistlip

Member:Yuh(Gt) 海(Gt)

Interviewer:藤谷 千明

vistlipをひと言で表現するのは難しい。強引にまとめてしまえば"ラウド、ミクスチャー要素の強いヴィジュアル系ロック・バンド"と表現できるかもしれないが、そこにとどまらない、多彩且つ多才なセンスで成り立っている。そんな彼らが11月にリリースした6thアルバム『STYLE』は、タイトルどおり彼らの現在進行形のスタイルが思う存分詰め込まれている。今回、同作についてYuh、海のふたりに話を訊いた。


あまり他にいないバンドだと自負しているんで、本当に聴いてもらうしかない


-激ロック初登場となりますので、まずは"vistlipとはなんぞや"ということからうかがいたいのですが、ひと言で説明するのが大変難しいバンドだと思うんですよ。

海:そういう質問をされるとき、いつも本当に困るんですよね(笑)。

Yuh:だから売れないのかな(笑)。

-いやいや、売れていないなんてことはないでしょう!

海:例えば、こういう場合"幅広い音楽をやっている"という言い方をするバンドさんも多いと思うんです。でもそう言ったとしても、"ヴィジュアル系というカテゴリーの中での話でしょ"と受け止められてしまうじゃないですか。"自分たちがそのときカッコいいと思ったことを取り入れて、カッコ悪いことはしたくない"くらいしかルールがないから、自分たちでも言葉にするのが難しくて、音楽性の話ができない。困り果てたあげく、メンバー個人のパーソナリティの話になってしまって、"みんなバカなんですよ~"で終わるっていう(笑)。あまり他にいないバンドだと自負しているんで、本当に聴いてもらうしかない。

-資料を見る限りでも、メンバーのみなさんのルーツも多岐にわたっています。

Yuh:俺はもうこっち(※激ロックの冊子を指す)側で、もうひとつバンド(since i RE:MADE)やっているんですけど、畑違いでもいろんなバンドとライヴをしたい。だけど"ジャンルを超えて"という言葉を使ってしまうことが、すでに壁を作っていることになってしまうじゃないですか。音楽のルーツ自体はX JAPANやSIAM SHADEなんですけど、Dragon AshやRIZEも通ってきたし、PTP(Pay money To my Pain)やFear, and Loathing in Las Vegas、coldrainなんかも好きですね。

海:バンドをやりたい、音楽をやりたいという発端はhideさんで、最初はヴィジュアル系ばかり聴いていたんですけど、LIMP BIZKITやLINKIN PARKといった洋楽を聴いているうちに、10-FEETとBRAHMANに出会い、そこからACIDMANにハマり......最近はアンビエントやエレクトロっぽいものも聴いていますね。あとは......最近急に冷えたじゃないですか(※取材は12月初旬)。こういう時期は、理由はわからないんですが、なぜかamazarashiを聴きたくなるんです。

-つまり、節操がない。それはvistlipの音楽性にも大きな影響を与えていそうですね。

海:"良ければなんでもいい"というか。他のメンバーにもなるとさらに広がっていくんで、ヴォーカルの智は一時期Bruno MarsとMichael Jacksonばっかり聴いてたりして。

-そんなふうに好みがバラバラの場合、制作段階で衝突することはないのでしょうか?

Yuh:言うても(音楽の好みが)広いぶん、結構被っていたりするんで。好みの違いで揉めることはないというか、そもそも揉めることがない。

海:誰かしらが何かしらに共感しているというか。メインで作曲してるのはYuhと、ドラムのTohyaなんですけど、自分のエッセンスは入れつつも、"vistlipでやる"という前提で作ってくれてるんです。僕と瑠伊(Ba)はたまに的外れなものを持ってきて、"違うね!"って言われて"うん、そうだね!"で終わる、みたいな感じですね(笑)。

-バンド内で"vistlipというバンドのイメージ"のコンセンサスは取れている、と。

海:そうなんです。それが何かと言われたら言葉に困ってしまうんですけど。デモ曲を聴いたときに、"なんかこれはvistlipじゃないよね。"というメンバーが過半数になった曲は、やらないことが多いですね。あるいは、ひとりが"絶対"となった場合は、他のメンバーを説き伏せるか、逆に他のメンバーが"あいつがそこまで言うなら信じよう"みたいな判断になるか。最終的な決め手はヴォーカルの智になることが多いんですけど。あいつだけ曲を書いていないから、客観的に判断できる。それに、歌詞を書くのも歌うのも彼だし、歌えなかったり書けなかったりする曲だと仕方ない。そうやって、なんとかまとまってるのかなっていう気もしますね。

-今回のアルバム『STYLE』は本当に多彩な内容になっていますね。コンセプチュアルなものよりは、ライヴを意識したとのことですが。

Yuh:今までリリースした曲たちをいい感じにアップデートした曲を作りたかったというか。もちろん、以前の曲もいいものなんですけど、昔の曲頼みではなくて新しいもので超えていこうと。最初はそういうノリでいく感じだったんですけど......基本的にはライヴでやる曲だということを、考えていたり、考えていなかったり......。

-考えていなかったり?

海:ほぼほぼみんな考えてましたね。俺くらいですね、考えてないのは(笑)。俺の曲は今回のために作った曲ではなくて、前回のシングル(2018年8月リリースの『BLACK MATRIX』)のときに作った曲をアレンジして、今回のアルバムに入れたんで。もともとあった曲を、ライヴを想定して作り替えたというか。他のメンバーの曲に関しては、あくまで"ライヴでやっていく"ってスタンスでした。だけど、Tohyaは"こんな壮大な曲をライヴでする想定で作ったんだ!?"というものをたまに持ってきたりするんですが(笑)。

-そしてリード曲「[glider]」は、これまでのvistlipのイメージからすると、意外な印象を受けました。

海:それなら、俺ら的には"正解"ですね。リード曲候補はふたつあったんです。「And The Beast.」か「[glider]」で。「And The Beast.」をリードとして持っていくのであれば、"vistlipらしい"というか、誰もが安心するのかなって思ったんですけど、それじゃつまんねーなと。これまでvistlipを気にしてなかった人にも引っ掛かってほしかったし、そうすると今までと同じことをやっていてもしょうがねぇなって。「[glider]」はYuhらしい曲だし、自分たち的にもありそうでなかった感があるし、既存のファンの子たちも納得させるようなクオリティになっているし、これをリードにしたら"おっ"と思ってもらえるのかなと選んだ曲ですね。