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COLUMN

TeddyLoid presents DANCE × ROCK CHRONICLE Vol.3

TeddyLoid presents DANCE × ROCK CHRONICLE Vol.3

-「リブラ」が収録されているアルバムの『志恩』には、「ファズ」も入っていて、ちょっとダンス・ミュージックのエッセンスもありますよね。

M:実は「ファズ」と悩んだんですよ。それも節目な曲なので。でも違う方向性でいった方が面白いなと思って。

-これまでのROTTENGRAFFTYとギルガメッシュのリミックス曲は、もともとダンス・ミュージックっぽさが強い曲でしたし、新鮮でした。

T:MUCCさんのサウンドには、アルバムごとにガラっと変わる印象があります。エレクトロニックなときもあるし、民族音楽っぽいときもあって毎回新鮮です。だから今回のリミックスは、負けないように僕も最新のサウンドを提示したかったんです。

-イントロからAメロにいくまでの部分は、かなり作り込んだところだと思うんですけど、もともとのキーボードのメロディとの繋がりが綺麗ですね。

T:そうですね。ゴシックでダークなメロがあったので、それを活かしつつ。

M:あの部分は、ギターを10本くらい別で重ねて作ってるんですよ。ギターって、弦を6本同時に弾くじゃないですか。それを別々に10本弾いて録音したらシンセっぽくならないかなと思って、プロデューサーと相談してやってたら、結果そういうふうになったんです。それで、個人的にツボだったのが、すごくバンドが激しくなるところのテーマを、チップ・ネタでやってくれたところですね。そこはもう、本当にやられましたね。びっくりしました。

-間奏の部分ですよね。めちゃくちゃかっこいいですよね。

T:嬉しいです。あのリミックスだと、結局あの間奏部分のメロを変えちゃいがちなんですよ。だけど、今回は原曲のメロディのかっこよさにこだわって、そのまま流用しつつ、そこに僕が熱いと思ってるサウンドを乗っけちゃおうと思って。単に差し替えるのではなく。それでチップ・チューンの8bitサウンドを取り入れてみました。

M:フレーズをまったく変えてなくて、元ネタは完全に激変してるんだけど、同じもの。すごく嬉しかったですね。

T:ファンの方も大切にされている曲だなと思ったので、ミヤさんがこのリミックスをプレイしたときに、ファンのみなさんが喜んでくださるものにしたいなと思いました。

-今回は大きくふたつのアイコンを取り入れていますよね。ブリッジの4小節~間奏転調の部分、それから8bitのシンセを取り入れた部分。ドラマチックで叙情的な曲ですが、ここにあえて8bitの音色を選んだ理由について教えてください。

T:今8bitは、クラブミュージックでもトレンドなんですよ。例えばKNIFE PARTYとかも取り入れていますね。

M:今のダンス・ミュージック・シーンて、ごちゃ混ぜな音に慣れてるので、"ここでこっちにいくのはなしでしょ"みたいな感覚はないんじゃないかな。コロコロ展開が変わることが、僕には違和感がなかったです。きたきた!って感じでしたね。まとまりがあるかないかって言ったらわからないけど、でもうまくミックスされていて、いい意味で下品にやってもらった方が嬉しかったです。

-間にブレイクダウン、ダブステップなども入っていますが、基本四つ打ちですよね。四つ打ちってひと言で言っても、音圧だったり、間に付点を入れて強弱を付けたり、キックの音色だったり、とにかく作り方は果てしないので、ダンス・ミュージック・クリエイターとしての腕の見せところだと思うんですけど、肝心のサビの部分では歌をちゃんと引き立たせていて、キックを重すぎない感じにしていますね。

T:はい。サビのキックの部分は全然違う感じで、少し軽くしています。そのあとにヴォーカルがビルドアップしてドロップにいくんですけど、ドロップのキックはサブ・ベースと言って、人間の耳にあまり聴こえないくらいの低音を仕込んであるんです。大きなスピーカーで鳴らすと気持ちがいいキックの音などです。

M:最近の四つ打ちのトレンド以外の音も入っていて、そのへんはいいバランスだなと思いました。バンドっていうのは、サビがあって、サビが1番ドロップだっていうところを、ビルドアップからドロップっていう今のEDMに作り変えてくれてるっていうところがいいですね。ドロップにサビを乗っけられちゃうと、逆にリミックスに意味がないというか。(ドロップ=EDMのサビ)。ビルドアップ・パートっていうのは、原曲にはあんまりないので、ある意味のドロップ・パートは間奏の8bitにしてもらって、逆に、ああこうなるんだな~と思いましたね。

T:そこまで汲み取ってくれると嬉しいですね。サビ終わりのドロップでは、トラップ系のシンセのメロディも入れてあります。

M:ジャンルによってパートの呼び方が違いますよね。Aメロ、Bメロ、サビってあんまり言わないし。フックだ、ヴァースだ、ビルドアップだって。どれも意味は一緒なんですけど。ドロップっていうのは、いわゆるサビ前で1番盛り上がるところ、そこから四つ打ちになってキックが入っていくところのことです。

T:日本ではまだそういう用語が通じる人が少ないので嬉しいですね(笑)。

M:逆にサンプリング文化の人たちに、Aメロ、Bメロ、サビって言っても通じないんですよ。捉え方が違うんですね。

-ラストの4小節は、声が右から左から聴こえてきて、パンの振り方もこだわっていますね。

T:そうですね。今回はヴォーカルをはちゃめちゃに壊さなかったので、最後くらいは別場面が作りたくて。壊しつつ、新しいシンセのメロディを加えてアウトしたって感じですね。

M:あと、今回ポイントが、オートチューン・ヴォイスがそんなにないってところもありますよね。リミックス=オートチューン・ヴォイスにするっていう定番感も好きは好きなんですけど、そうじゃないところで勝負してくれたなっていうのがありました。

T:そうですね。リミックスって、オートチューンを文字通りオートでかけるだけではつまらないと思うんですよね。

M:因みにうちのヴォーカルの逹瑯は、オートがかけられないヴォーカルなんです。オートだとすごくバグっちゃって、全然綺麗にかかんないんですよ。ひとつひとつ手書きしないとだめで。パートによってソフトを変えてやったりするんですけど、ここの部分はオートチューンでいいけど、ここの部分はうまくいかないなとかいうことがあるんですよ。たぶん変な声なんです(笑)。倍音が多くて。