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LIVE REPORT

HYDE

2024.06.26 @Zepp Haneda(TOKYO)

Writer : 杉江 由紀 Photographer:岡田貴之

曝け出されたのは深き内面であり、理想と現実の間に横たわる矛盾と闘い続けてきたHYDEの誠実なアティチュードそのもの、でもあったと言えようか。

8月下旬まで続いていくライヴハウス・ツアー"HYDE [INSIDE] LIVE 2024"の皮切り公演として、このたびZepp Haneda(TOKYO)で行われた4デイズは1日目にファンクラブ"HYDEIST"限定公演、2日目に"BEAUTY & THE BEAST"とのサブタイトルを冠して行われた男女エリア別公演、さらには通常公演2デイズが開催されることになった。しかも、今回のツアーについては各日とも2F指定席チケットを購入した場合にはほぼ全編にわたりスマホやタブレットでの写真/動画撮影が可能、という特典まで付いていたというではないか。その上、ツアー開始前には公式SNSより"超ネタバレ注意!"との触れ込みありきでセトリをサブスク・サービスのプレイリストのみにて事前公開するという粋にして大胆な計らいもあり、観衆側はみっちりしっかりと予習をした上でライヴ当日に臨みたい人たちにとってはもちろん、実際にライヴを観るまでセトリは知りたくない、という人々にとってもそれぞれに期待し甲斐のあるものとなっていた。

"「HYDE [INSIDE] LIVE 2024」へようこそ。東京の4デイズは今日で終わりです。悔いのないようにいきましょう。全部出しましょう。もし、少々ケガしても次のときには治ってますよ(笑)。俺たちは鏡のような存在です。分かる? 俺たちのハジけるところが観たかったら、君たちがハジけないといけない! 分かりましたか?"。

なお、今回のツアーにおける"俺たち"の編成はというと、ドラム、ベース、キーボード、ツイン・ギターという面々で、全メンバーがフェイス・マスクをしてはいるものの、5人ともがタダモノではないことは彼らの発する苛烈な音像からひしひしと感じることができた。それだけの迫力あるサウンドをもって、HYDEソロ曲ばかりでなく、VAMPSの曲や、LINKIN PARKのカバーとして「Given Up」、中島美嘉への提供曲をセルフカバーした「GLAMOROUS SKY」など、あれもこれも聴けてしまうのだから贅沢なことこの上ない。ソロ・アーティスト HYDEの内面を存分に曝け出すと同時に、場内にいる人々の内面をも曝け出させるようなライヴ・アクトがこの場では実現したのである。挙げ句、アンコールの「AHEAD」ではHYDEが2F客席エリアを堂々と闊歩しながら歌っていく、というファン垂涎のパフォーマンスまでが展開されることになり、場内のボルテージがこれでもかと高まっていくことになったのも当然のことだった。

ただし、何事にも限度はある。実を言うと、今宵の公演においてはHYDEに対しての過度な接触や、長い爪で引っ掻くなどの行為をした一部観客に向けて、HYDEがそれをたしなめる一幕が発生。HYDE側ができうる限りファンとの距離を詰めたいという想いで尽力してきたことが窺えるライヴ内容であったことを踏まえ、ライヴ空間たるもの限りなく自由なものであってほしいと願っているのであろうHYDEの意思を尊重するならば、今後は無秩序と自由を履き違えてしまうようなことは避けたいものだ。

逆に言えば、歪んだ鏡を正すことさえできればHYDEと我々の絆はここからより確かなものになっていくとも考えられる。深き内面を曝け出しながら聴衆と真摯に向き合っていくHYDEの誠実なアティチュードは、これからも純度を高め続けていくに違いない。

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