LIVE REPORT
SHIMA
2021.12.10 @下北沢SHELTER
Writer 荒金 良介 Photo by Akira“TERU”Sugihara
北九州発の4人組、SHIMAが10月から全国ツアー"JET MAKE IT TOUR"を開催。これは9月にリリースした8cmシングル『MAKE IT MAKE IT』(3rdシングル)を引っ提げたツアーとなり、その終盤にあたる下北沢SHELTER公演を観てきた。この日の対バンであるUPPERが男気漲るハードコアで熱演を披露したあと、転換タイムに山嵐、BRAHMAN、THE MAD CAPSULE MARKETS、BACK DROP BOMBなど国産ラウド/ミクスチャー系バンドの楽曲が場内に流れていた。SHIMAは90年代から活躍するこうしたバンドたちのDNAを受け継ぎ、今日的且つ独創的なサウンドに昇華している。
SEが流れ、HIKIDA YUSUKE(Gt/Vo)、SHINYA SYODA(Ba/Vo)、明生(Dr/Cho)、EGACCHO(Vo)が登場し、"SHELTER、アガッてますか?"とEGACCHOが熱く吠えると「JET GET」でスタート。お祭り感のあるハードコアをぶっ放し、観客は手拍子でノったりと自由気ままに楽曲を楽しんでいる様子だ。「すすれ-Re麺ber-」に入ると、EGACCHOは激しいヘドバンを決め、演奏もド級のヘヴィネスで突っ走っていく。とはいえ、サビではポップに弾けまくり、硬軟併せ持つ攻めっぷりに惹きつけられた。ダンサブルな「TRILOGY」、同級生の名字や地名を歌詞に入れた「FUSUMA」をやり終えたあと、"めちゃくちゃ楽しみにしてました! ほんとはみんなと歌いたかったぜ!"とEGACCHOが胸中を述べると、次は「MAKE IT MAKE IT」へ。ヘヴィ&キャッチーなダイナミズムはもちろん、鼻歌のように親しみやすいコーラスは抜群の映えっぷりであった。コロナが収まれば大合唱は間違いないだろう。
ファンな空気をストレートに叩きつける「TC」を経て、「BEER & DOG」、「USUAL THINGS」と繋ぎ、"俺らの真髄みたいな曲"と説明したあとに「ISHITA」をプレイ。鹿児島の方言を曲名にしたEGACCHOワールド全開の楽曲で、パーティー性に富むサウンドにより、フロアの熱量をガンガン押し上げていく。PANTERA並みのヘヴィ・グルーヴを突きつける「LINDAMAN」を披露したあと、"シングル2枚リリースできて嬉しい! どんどん俺たちは変わってる、より楽しいほうへ。春にはアルバムを出すから。変わらない楽しさを追求する!"と告げると、ショーも終盤戦に突入だ。
パンキッシュな「倍音SUSTAIN RIOT」、結成して最初にできた曲という「TAKE A STEP FORWARD」の衝動性も破壊力十分であった。本編ラストは「PARISLOTTE」を放ち、多くの人たちが"ザイマスジャンプ"で応える歓喜の光景を作り出す。そして、アンコールではリクエストがあったという「SUNNY DAY」も披露し、最終曲「BE ALRIGHT」では会場をダンス・フロア化させ、最高潮の盛り上がりで幕を閉じた。
この日のライヴを観ても、SHIMAはいい意味で変わり続けている。シリアスにもユーモラスにも自在に振り切れ、カッコイイけど面白い、面白いけどカッコイイと評したくなる人間臭さがグッと増してきた。ステージも以前と比べて、内面まで曝け出した開放感やポジティヴなエネルギーを感じる場面が圧倒的に多くなった。これほど楽しくて、激しくて、人間味溢れるミクスチャー・バンドはそういない。MCで"春にはアルバムを出す"といきなりの予告があったけれど、2022年もSHIMAの活躍に期待したい。
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