LIVE REPORT
Double Titans Tour In Japan 2008
2008.01.17 @渋谷O-EAST
Writer ムラオカ
DARK TRANQUILLITY
DARK TRANQUILLITY×THE HAUNTEDのダブルヘッドライナーとなった会場「名古屋クアトロ」はお客さんの入りは七割といったところか?
最近ライブの集客に元気のない名古屋としてはまずますといったところだろうか。
名古屋公演はDARK TRANQUILLITYからスタート。聞くところによると大阪、東京ニューアルバムから「Terminus」からスタート。エクストリーム系のライヴの中では比較的に観客は大人しい気がするが、グルーヴィーなパートになると観客からは「オイ!オイ!」の歓声が上がる。
ボーカルのStanneは前回の来日ツアーと比較すると過酷な北アメリツアーなど度重なるツアーでの経験からか明らかにパワーアップしているのがうかがえる。
そしてニューアルバムから続けざまに
「The Lesser Faith」が演奏されるがこの曲でもDT特有のBrandstormのキーボードが悲哀のメロディを奏でている。ボーカルのStanneは基本的には音域の狭いデスボイスでスクリームするタイプのボーカリストなのでフックの利いたBrandstormのキーボードサウンドはDTサウンドには欠かせないアクセントになっているようだ。
Stanneが観客に元気がないのを気にしてか、手拍子を促すとほとんどのオーディエンスは促されるまま手拍子で大いに盛り上がるというパターンは名古屋ライヴによくある現象なので特に気にならないが海外のアーティストからすると不思議に思うだろう。
「Damage Done」から彼らの名曲の中でも5本の指に入る「The Treason Wall」をプレイ。煌びやかで憂いを含んだキーボードソロではオーディエンスのテンションもかなり高まってきており「オーオーオー!」という大合唱が会場を埋め尽くしている。
その後はゴシックよりになったということであまり評判がよくなかった「The Mind's I」から「Hedon」を演奏する。ミドルテンポの聴かせるタイプの曲だがライヴだからといって勢いに任せることはなく原曲の雰囲気を壊すことなく丁寧にプレイしている点が素晴らしい。
しかしそのまま次の曲もミドルテンポの
「Inside The Particle Storm」へと続けたところは個人的にはやや中だるみに感じた。
そして引き続き
間奏部でのグルーヴィーな展開が心地良い「Focus Shift」、ノーマルボイスと凍てつく悲哀のメロディが印象的な「Misery's Crown」などが演奏される。
そしてDT初期の不朽の名作
「The Gallery」から「Punish My Heaven」が演奏されるとフロア本日最大の盛り上がりになり至るところでモッシュが巻き起こっている。
始まってから一時間近く過ぎたがDTの勢いは全く衰えることを知らず、エピックメタルなイントロが印象的な「Projector」収録の「There In」へ。
アルバムで初めて聴いたときは耽美的なノーマルボイスに拒否反応を感じたことを覚えているが、こうやってライヴで聴いてみるとこの中間部の優しくも物悲しいメロディが心にやたら響いてきた。
スタート時からかなり調子のよかったStanneのスクリームはライヴが進むにつれて喉が温まってきたのかどんどん迫力を増してきている。
DTはライヴが弱点、特にライヴでのStanneのボーカルが弱点として見られている節があったが少なくとも今日のライヴを体感した者はそのイメージが完全に払拭されたのではないだろうか?
ラスト3曲は「Final Resistance」、「Lethe」、「The New Build」と非常に人気のあるナンバーを畳み掛けてくる。
会場を見渡してみればスタート時は周りを牽制し遠慮がちだった観客をクレイジーな集団に変えることに成功していた。
最近のメロディックデスメタルバンドはメタルコア的アプローチに走るバンドが多いが、DTは安易になびかずDT節を貫き通すところにDTならではの美学を感じる。素晴らしい完成度、ぽっと出のメタルバンドには絶対に出すことのできない貫禄を感じさせるライヴであった。
(Reported by ムラオカ)
THE HAUNTED
今回は北米ツアーから続く、THE HAUNTEDとDARK TRANQUILLITYのダブルヘッドライナーということだったので、DARK TRANQUILLITYはオープニングアクト扱いではなくそれぞれが』同じ持ち時間ということで、DTは15曲に渡る長いライヴを行った後であったが、観客は疲れることなくさらなる刺激を求めTHE HAUNTEDの登場を今か今かと待っている。
セットチェンジに時間がかかったが、無事にメンバーが登場し、ニューアルバムのイントロ
「The Premonition」からアルバムの流れのまま
「The Flood」、「The Medication」へ。
会場内はDARK TRANQUILLITYの時とはがらっと雰囲気が変わり、激しいモッシュが起こりはじめハードコアバンドのライヴに近い様相を呈してきた。会場はDTの時に比べもう一段ギアを上げたように熱狂的な反応を見せる。
恐らく会場にはTHE HAUNTED目当ての観客の方が多かったのではないだろうか。
Peter Dolving(Vo)は前回の来日時では筋肉質で少し細身のイメージであったが、数年見ない間にガタイが大きくなりややお腹も出て髭もかなり伸びたようだ。そんな感じで見た目的にも大分迫力が増したようだ。そんなPeterがステージでアグレッシヴに歩き回りフロアに咆哮する姿はまさに野獣の如く迫力を感じさせる。
ニューアルバムの①、②曲目を続けて披露した後は、前作「rEVOLVEr」から大名曲「99」が早くも披露される。間奏部分を中心にアグレッシヴなライヴ仕様にアレンジされて演奏は百戦錬磨のライヴバンドの片鱗を早くも覗かせている。DTもかなりライヴの技術を上げてきての再来日であったが、THE HAUNTEDはさらにその上をいっているようだ。彼らのライヴはまさにホンモノの中のホンモノである。まだ未見の人はぜひ《絶対に見逃してはならないバンドリス》に加えてほしい。
eter Dolving(一時期脱退していた) が加入していたTHE HAUNTED誕生を記念すべき1stアルバムからは彼らの前身バンドであるAT THE GATESの要素を感じさせる「In Vein」とアンコールで
「Hate Song」が演奏された。これらの曲は剃刀の如く鋭利でスラッシーなリフがまたもや会場にモッシュの嵐が巻き起こる。
元AT THE GATESでバンドの創始者でもあるAnders(Gu)とJonas(Ba)のBjorler兄弟を中心に楽器隊の演奏も非常にタイトでアグレッションに満ち溢れており、ライブレポートのため静かに聴いているには刺激の強すぎるサウンドをぶつけてくる。
最新作「rEVOLVEr」からは4曲を、1stアルバム
「The Haunted」からは2曲を、ボーカルが前任のMarcoであった2ndアルバム「The Haunted Made Me Do It」からは4曲を、3rdアルバム「One Kill Wonder」からは若干少ないが1曲と、どのアルバムからもバランスよくセレクトしていた。
個人的にはニューアルバム「The Dead Eye」はクリーンパートや静的なパートが増えすぎていて物足りない気がしていたが、このようにベスト選曲で行うライヴにおいては、過去のスピーディーでスラッシーな楽曲と相互に補完しあって非常に映えるものになるものだと気づかされた。ただし次のアルバムも「The Dead Eye」と同じようなスタイルのアルバムを作ってしまうと初期のファンの多くは離れていってしまうのではないかという気がする。
グルーヴィーなサウンドやハードコアスタイルに近いライヴパフォーマンスは湿り気がなくカラっとしておりアメリカのバンドと言われても違和感がないだろう。同じスウェーデン出身とはいえ北欧らしさは圧倒的にDTの方が強い気がする。メロディックデスメタルファンよりPANTERA、HELLYEAH、LAMB OF GODなどが好きなメタルファンで聴いたことがない人はぜひチェックしてほしいバンドである。
(Reported by ムラオカ)
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