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INTERVIEW

TOTALFAT × 9mm Parabellum Bullet "UTAGE MATSURI PARTY" 対談

2026.03.23UPDATE

 TOTALFAT × 9mm Parabellum Bullet "UTAGE MATSURI PARTY" 対談

TOTALFATが25周年イヤーを締めくくる"UTAGE MATSURI PARTY"を、4月4日、5日の2日間にわたって開催する。歴戦の猛者たちが集うラインナップは、ロック・リスナーなら見ているだけで胸が熱くなるだろう。しかしこのイベントは決して集大成ではなく、むしろ新たな歴史の始まりだ。TOTALFATは初日のオープニング・アクトで2019年から続いた3ピースという形にピリオドを打ち、その日のトリの出番からギタリスト Q汰を加えた4人でのライヴ活動をスタートさせる。新章開幕が迫るなか、Shunと、1日目に出演する今年から3人体制となった9mm Parabellum Bullet(以下:9mm)の菅原卓郎による対談が実現。約20年にわたって交差してきた同世代の盟友であり、ともに未知の局面へと突入する真っ最中の2人が、バンドの現在地をじっくり語り合った。

TOTALFAT:Shun(Vo/Ba)
9mm Parabellum Bullet:菅原 卓郎(Vo/Gt)
Interviewer:サイトウ マサヒロ

-まずはお2人の出会いと印象について教えてください。

Shun:最初は、2007年に新木場STUDIO COASTでやった"independence-D"("independence-D 2007")かな。

菅原:俺等はCOAST(新木場STUDIO COAST)の中のメイン・ステージだったかな。

Shun:そうそう。それまでも在籍していたインディーズ・レーベルの存在と、9mmっていう同い年でガチャガチャやってるバンドがいるっていうのは知ってたけど、ちゃんと認識したのはそこかな。当時はアンダーグラウンドなイメージがあって、一方こっちはキラキラ系メロコア男子だったから、特に仲良くしようとかはなかったけど(笑)。

菅原:お互いにね(笑)。

Shun:俺等が2008年に初めて"ROCK IN JAPAN FESTIVAL"に出たときには、9mmはもう"LAKE STAGE"っていう大きいステージでやってて。ライヴを観て、"この音楽をこの規模でやれてるのって、バグじゃね?"って思った。それから、同い年っていうこともあって仲良くなっていって、"カオスの百年"(9mmの自主企画イベント)にも呼ばれたりして。なぜこんなにファンが生まれるのかっていうのがどんどん分かっていったし、俺自身も9mmの魅力に引き込まれていったね。

菅原:9mmも一言で形容しづらい音楽ながら基本的にはパンクやメロコアが下敷きにあるんだけど、TOTALFATはお茶目さやポップさがありながらもパンクをブレずに貫いているバンドっていう印象を持ってる。メンバーが減ったりしてもそこはブレないなって。あと、姿勢はパンクなんだけど音楽はミクスチャーじゃん。

Shun:そうだね。

菅原:ミックス具合はその時々で変わるんだけど、どこを切り取ってもTOTALFATになってるっていう、いい意味で金太郎飴的バンドだなと思いますね。

Shun:俺は、9mmを聴くと純文学を感じる瞬間があって。一冊読み終えた感があるんですよ。描かれてる景色とかも、俺が書く歌詞とは全然違う。今日もここまで電車で来る途中聴いてたんだけど、"改札"っていうワードが出てくると日常に曲が入り込んでくる感覚があるんだよね。俺等は"行こうぜ! 頑張ろうぜ!"っていう言い方しかできない(笑)。音は激しいのに静かな言葉があったり、逆にローな音の中で強い言葉を使ってたり、そういう表現のギャップを生で浴びるとすげぇ掻き立てられるものがあるなぁ。

菅原:最近、自分でもなんでそうなるんだろうって掘り下げて考えてたんだけど、俺は直接"行こうぜ!"って言えないんだよね。

Shun:"行けるか!?"とは言ってるけどね(笑)。

菅原:だから、イメージや風景に自分の感情を託して表現するっていう経路になってる。曲ごとに物語があって、その登場人物のための世界観が一曲の中にあるっていう。静かなセクションで強いことを言っても大丈夫なのは、あくまで曲が舞台装置のようなものだから。逆に、直接バーンと言えるのがTOTALFATだよね。

Shun:どっちがいいとかではないんだけど、それもあってお互いのファンベースの相性が良くないフェーズもあったと思う。でも最近は、右から登ってきたか左から登ってきたかっていうだけで、同じ山頂にいるなと思ってて。今回の"UTAGE MATSURI PARTY"でも第一希望として9mmの名前が出てきて、すぐに連絡しました。9mmって今何年?

菅原:22年かな。

Shun:TOTALFATは25年やってて......卓郎君は金太郎飴って言ったけど、俺的には老舗のピザ屋なわけ。チーズと生地にはこだわりがあって変えないけど、上に乗っかる具で風味を変えていくっていう。

菅原:チーズと生地で味の間違いなさは担保されてるからね。

Shun:うん。それは長年自分たちのことを考えた末でもあるし、経験の末でもあるし。15年、20年とやってきて形ができたバンド同士ってわりと相性が良くてハマったりするよね。

菅原:それこそTOTALFATのように直接感情を歌ってた人だって、25年も続けるとその人生の背景が表れちゃうから、曲を受け取る人は自然に風景を見いだしちゃうと思うんだよね。TOTALFATの曲なら"Shun君、あのときのことを書いてるのかな"とか、逆に9mmの曲なら"こんな世界観で歌ってるけど、これ菅原が思ってることだよな"とか、リスナーにとって両極の表現の距離がなくなってきてるイメージがある。

-これまで印象に残ってる共演はありますか?

菅原:去年の"神室音楽祭"はすごかったですよ。金山町っていう山形の中でも特に山深い場所に会場があって、うちのベースの和彦(中村和彦)のお母さんがそこの生まれで。

Shun:ずっと忘れないかもね。山形出身のバンドとして9mmと同じくTHE BOHEMIANSが呼ばれて、平田ぱんだ(Vo)君も同い年だからかなりヴァイブスが高まってて。地元出身のTHE BOHEMIANS、9mmがやった後にトリで"東京から来ましたTOTALFATです!"って言ったら総ツッコミ(笑)。

菅原:"9mmがやれよ!"って言われた(笑)。でもライヴを観たら、あの日はTOTALFATがトリで良かったなって思いましたよ。

Shun:あの日は9mmが凄まじすぎて、久々に"この後にやるのか......"って思った。昔の爆音から一歩引いて、音楽的なタッチを感じられるライヴで。演奏も音作りもちゃんと進化し続けてるから大きなフィールドで勝ち続けられるんだなって思いました。観ながらうちのPAを呼んで、"こんな感じにできない?"って話したのを覚えてる。

菅原:当日に(笑)。あと、Shun君のMCが良かったな。

Shun:でしょ。金山町の人口が4,000~5,000人くらい、その日会場に集まったのが400人くらいで、フェスとしては少なく感じるかもしれないけど、人口の比率で言ったら東京ドーム2デイズ分ぐらいの価値があるぞって話をしたら"ウオー!"って。

菅原:その後にMCに負けない曲がちゃんと来るから、形だけじゃなく言葉にハートが乗るっていうところまで含めて完璧でしたね。

Shun:打ち上げも久しぶりにゆっくり飲めたしね。

-2007年の出会いから現在まで、シーンの変遷はもちろん、バンドの内部でも様々な困難を経験してきたことかと思います。同世代の仲間が時代をサヴァイヴしていく様子を、どのように見つめてきましたか?

Shun:9mmに大きな節目が来ると、卓郎君に一方的なメッセージを送りたくなって連絡するんだよね。でも9mmは、そういうときに必ずめちゃくちゃいい作品を出すんですよ。滝 善充(Gt)のライヴ活動休養時にリリースされた『BABEL』(2017年リリースの7thアルバム)は特にそう感じて。身近なバンドで、あんなに怨念が込められてるのを感じたのは初めてだった。

菅原:あれは込められてるね。

Shun:なんなら、"俺はライヴに参加しないけど、弾けるもんなら弾いてみろよ"ぐらいの圧力を感じた。そこまでできるって、この人すげぇなと。"すごいアルバムだね"って卓郎君にメッセージしたよね。

菅原:あのときは"まぁ、やるしかない"っていう感じだったね。1曲ずつがどうこうっていうよりも、アルバムとして聴く意味がある作品になったと思う。歌詞も悩んだんだけど、滝がドンピシャで"こことここで悩んでるでしょ?"って言い当ててきたり、俺も"このフレーズはハマってない気がするけど大丈夫?"って声を掛けると滝自身そこで悩んだりしてて。すごい深い水準でやりとりをしてましたね。

Shun:あのタイミングであそこまでエネルギーが強い作品を出すバンドは、爆発して砕けてなくなるか、いつまでも生き続けるかのどっちかだからね。

菅原:TOTALFATも悩んだり迷ったりしてるはずなんだけど、"それでも行こうぜ"っていうところを音楽で体現してる。3ピースになってからのアルバムは、むしろもっと自由にやってやるぜっていう感じで。その時々の気持ちをライヴだけじゃなくて作品に昇華してドキュメントとしてきっちり残してる印象があるな。そのやり方が9mmと遠いとは思ってなくて、ライヴでのエネルギーの表し方が一緒だから、音楽性ではないところで通じてる気がする。

Shun:3ピースでやり始めてからは、ミニマムで余白があるのがすごい楽しくて。それまで以上に着崩したり、逆にもっと引き締めたりとか、完璧で安心感があったからこそできなかったことに手を掛けられるようになった。で、その遊びを6年間やってきた上で、これからプラスワンにトライしたいなと思ってるんだけど。9mmの今の状況を見てると、たぶん俺たちが先に気付いてたものがあると思うんだよね。これから新しいものが出てくるだろうし、そういうときの9mmは強いのよ。すごく楽しみです。だって、ドラムを叩いてるのが滝君だからね(笑)。