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INTERVIEW

TRiDENT

2025.11.04UPDATE

2025年11月号掲載

TRiDENT

Member:ASAKA(Vo/Gt) SERINA(Ba/Cho) NAGISA(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

蒼き空が明るさを滲ませていくなか、TRiDENTは新たな旅路へと踏み出した。このたび彼女たちは、1st EP『BLUE DAWN』でついにメジャー・デビューすることになったのである。しかも、リード・チューン「黎明ノ詩」はMY FIRST STORY Nobによる書き下ろし曲。また、すかんちの名曲をROLLY本人とカバーした「恋のマジックポーション」と、NAGISA初作曲の「MIRACRAID」はTVアニメ"ポーション、わが身を助ける"のOPとEDに抜擢された。めでたい!

-このたびはメジャー・デビューおめでとうございます! インディーズでの活動を経た上で新たなスタートを切るわけですが、まずデビューを前にした今の心境について教えていただけますでしょうか。

SERINA:TRiDENTは前身バンド(ガールズロックバンド革命)時代から長く活動を続けてきたなかで、過去にも何度かチャンスはあったけど上手くいかなかったことがあったので、ほんとに"ようやくかー!"っていう気持ちです。タイミングの面で"もうそろそろメジャーに行かなあかんよな"とも感じていた分、やっぱり嬉しさと安堵の気持ちがありますね。そして、周りの人たちやファンのみんなに報告をしたときに、喜んでくれたのがさらに嬉しかったです。このために頑張ってたんやな、というのを実感しました。

NAGISA:ファンのみんなに報告したのは、8月23日に代官山UNITでやった、"TRiDENT ONEMAN LIVE『Continue.』"のときだったんですけど、TRiDENT にとって始まりの曲である「Continue」(2020年リリースのデジタル・シングル表題曲)にピリオドを打った、不穏なライヴ・タイトルを私たちが付けていたので、当日が来るまでは不安を感じていた人たちもいたと思うんです。でもそれは、みんなをびっくりさせたかったからなんですよ。で、最後にアンコールでサプライズ的に発表したら、お客さんたちがすっごく喜んでくれました。みんなからすると、ジェットコースターみたいな感じで気持ちが急上昇したみたいです。

-ドッキリ大成功だったわけですね。

NAGISA:はい(笑)。喜んでくれてるみんなの顔を見ながら、改めて私たちは一つ一つ目標を叶えていくためにTRiDENTをやってきたんだなと思ったし、熱心に思ってくれているファンの人たちがいてくれてこその自分たちなんだな、と感じました。

ASAKA:もちろん、私たちにとっても念願のメジャー・デビューではあるんです。でも、ああやってアンコール前の動画で発表したときのみんなの反応をステージ袖で見ていたら、私は涙が出るくらい嬉しかったです。と同時に、ここからが本番だなっていう気持ちが今は大きいですね。身が引き締まる思いというか、ここからさらにギアを上げて、自分たちもパワーアップして、いい曲を作って、いいライヴをしていかなきゃなと感じてます。ここから一緒にやっていってくださるKING RECORDSの方たち、私たちに関わってくれている方たち、ファンのみんなをもっと大きなステージに連れていけるように頑張っていきたいです!

-そんなTRiDENTのメジャー1st EPとなるのが本作『BLUE DAWN』となるわけですけど、なんとリード・チューン「黎明ノ詩」は、MY FIRST STORY Nob(Ba)さんによる書き下ろし楽曲なのだとか。もともとお知り合いだったのですか?

ASAKA:Nobさんとは、前に私たちが出た"Zephyren Presents A.V.E.S.T project vol.17"の打ち上げで、初めてお会いして。そのときは私たちから声を掛けさせていただいたんですよ。

NAGISA:打ち上げ会場で"あ! Nobさんだ。どうしよう? 話し掛ける?"ってちょっと迷った結果(笑)、思い切って"よし、行くか!"とご挨拶をさせていただきました。そしたら"あぁ、知ってるよ"って言ってくださったんです。

ASAKA:実は、私たちの間では、それまでにも一緒にやってみたいアレンジャーさんとしてNobさんのお名前が何回も挙がってたんですよ。

SERINA:TRiDENTの結構初期からそういう話は出てたよね。ただ、お会いしたことがなかったですし、繋がりもなかったので......。

NAGISA:現実的にはお願いするのが難しそうだな、と私たちはみんな思ってました。打ち上げで声を掛けさせていただいたときも、ダメもとくらいの気持ちだったんです。それが、もうその場で"あぁ、全然やるよ!"って言っていただけちゃって(笑)。あれから少しだけ時間は経ちましたけど、このデビューのタイミングでNobさんに作曲とアレンジをしていただけたことが、本当にありがたいです。

-ちなみに、発注の段階でTRiDENT側からNobさんに伝えた要望は何かありました?

ASAKA:私たちからは"Nobさんが思うTRiDENTのリード曲をお願いします"ということと、これはメジャー初音源に入る曲だってことをお伝えしました。

-プレスに記されているNobさんからのコメントによると、"制作にあたっては、TRiDENTのライブ映像や演奏動画を数多く視聴し、メンバーそれぞれのパフォーマンスや表現スタイルを丁寧に分析しました。その上で、彼女たちにしか出せない個性や世界観を意識しながら、バンドの魅力が最大限に引き立つような楽曲を目指しました"ということですが、実際にできあがってきた「黎明ノ詩」を受け取った際、皆さんはどのような印象を受けられたのでしょうか。

ASAKA:とにかくもう、"すごい曲ができてきた! シンプルにカッコいい!"っていうのが第一印象でした。感覚的には、1曲がアルバム1枚分くらいのすごい濃さというか。しっかりエモさもあって、希望も感じられる展開がとっても素敵だなと感じました。そして、リード曲ではTRiDENTがこれまで辿ってきた軌跡を歌詞で表現したいと思っていたので、その意味でもぴったりな曲だなと思いましたね。

NAGISA:デモを受け取ったときにまず感じたのは、曲としてのボリューム感が本当にすごいなっていうことでした。ドラムもかなり細かいフレーズまで考えてくださっていたので、私にとっては難易度の面で叩けるか/叩けないか結構微妙なところではあったんですね。でも、なんとか練習していってレコーディングでNobさんにお会いしたときに"この曲、難しかったです!"って言ったら、笑いながら"いやいや、みんなやれると思ってたよ!"と返してくれました。

-きっと、NobさんはTRiDENTにそれだけ期待していてくださっていたのですね。

NAGISA:そうなんです。期待してもらえてるんだっていうのがすごく嬉しかったですね。ガールズ・バンドだからといって、やりやすそうなフレーズとかでアレンジをするのではなく、Nobさんが全力でこの「黎明ノ詩」を作ってくれたんだと思ったら、私も全力でその期待に応えなきゃ! っていう気持ちになりました。

SERINA:私は初めて「黎明ノ詩」を聴いたとき、MY FIRST STORYに対して前から感じていたカッコ良さと、TRiDENTの音って、ある意味でちょっと共通してるところがあるのかもしれないなと思いました。実際、どっちのバンドも好きなお客さんもいたりするし、私たちも絶対に相性がいいやろうなと思ってNobさんにお願いしたんですけど、できあがってきた曲は、予想以上に自分たちの思うカッコ良さとピッタリ当てはまっていたんですよね。それぞれのメンバーの特徴も捉えてくださってて、こんなにもTRiDENTのことをいっぱい研究してくださったんだなぁ、ということがめちゃめちゃ曲から伝わってきてすごく愛を感じてます。

-レコーディング現場において、皆さんが「黎明ノ詩」をプレイしていく際に大事にされたのはどのようなことでしたか。

NAGISA:ドラムに関しては細かいフレーズがいろいろ詰まっている曲になっているとはいえ、Nobさんとしてもそれをキッチリときれいに叩くっていうよりは、1曲を通して最後まで熱を絶やさずに叩き切ることを大事に考えてくださってるんじゃないかな、と私は曲を貰ったときに感じたんですね。だから、特にDメロ終わりあたりで六連符をずっと踏み続けるキックは、自分的にギリギリなところでの挑戦をしました。正直、私は速く踏むことはそんなに得意ではないんですよ。もちろん、事前にしっかり準備して練習はして行ったんですけど、レコーディング当日も"できるかな。大丈夫かな"っていう不安は多少ありつつ、とにかく必死で頑張ったらこれが奇跡的に成功して(笑)。

-素晴らしい。限界突破されたわけですね!

NAGISA:ほんと良かったです。当初は"レコーディングはまだしも、ライヴじゃさすがに大変だろうな"と思ってたんですが、あのレコーディングを経験したことで"ライヴでもこの熱量でぶっ飛ばしていこう!"っていう前向きな気持ちになれました。

-「黎明ノ詩」のベース・パートについては、縦横無尽に暴れ倒している部分が大半なものの、クールなモードで下支えに回っている部分もあり、それらが極端な形で混在しているように感じます。SERINAさんとしては、それをどのようなスタンスで弾いていくことになられたのですか。

SERINA:いつものプレイ・スタイルとしては、音的に動きまくるところが自分の個性かなと思っていて、ライヴではコーラスもするんですけど、それでも関係なく動きまくるっていう感じなんですよね。Nobさんはこの曲の中で、まさに私のそういうところに寄り添いながらアレンジをしてくれているので、そこはもう思いっきりいきました(笑)。あと、それとは別に自分で考えていたら出てこなかったフレーズというか、Nobさんならではのフレーズもあったので、そこは弾いていてちょっと新鮮でした。音色もNobさんがおすすめの音を教えてくれたりして、一緒に相談しながら作っていくなかでたくさん勉強させてもらえたんですよ。特に、バキバキに聴こえる音はNobさんカラーな感じですね(笑)。

-歌とベースがぐいっと前に出てくる場面で、ほぼSERINAさんが主役になっているところも非常に聴き応えがあります。

NAGISA:あぁ、2番のAですね。たしかに!

SERINA:あそこはガンガンに目立たさせてもらってます(笑)。

-ASAKAさんの場合、ギタリストとしての観点から「黎明ノ詩」で大切にされたのはどのようなことでしたか。

ASAKA:やっぱり、感情を込めることですかね。特に落ちサビ前で楽器だけになるセクションは、曲の流れ的にも感情がぶわーっと高まるところなので、感情を音で表現するっていう意識で弾きました。全力でかき鳴らしてます。

-一方、歌についてはいかがだったでしょうか。ぶっちゃけ、ライヴでギターと歌を両立させていくのは大変そうだなぁと感じてしまうくらい、歌もエモエモのエモですよね。しかも、音域もだいぶ広くありませんか。

ASAKA:はい。下の低めなところから、上までフルで音域を使っていただいた曲になってます(笑)。レコーディングでは最初普段通りのTRiDENT ASAKAの感じで歌ってたんですけど、ディレクションをしてくださったNobさんから、"サビだけどあえてちょっと力を抜いてみる"とか、"聴かせたい歌詞のところでファルセットを要所要所にちりばめる"っていうアドバイスをいただいたことで、曲の持っているエモさをより高めていくことになったんじゃないかと思うんですよ。「黎明ノ詩」をこういう形で完成させられたことで、TRiDENTは今まで以上にパワーアップできました。

-歌については繊細なブレスの音まで克明に録ってある、という点も印象的ですね。日本ではボカロ文化が定着して以降、何かと歌声を加工したり精緻に整えて録ったりすることが、通例となっているような傾向がありますし、それもアプローチの仕方によっては面白いと思う一方、熱量の高い「黎明ノ詩」のようなロック・チューンにおいては、生々しい人の声だけが醸し出せるリアリティが、何よりの説得力に繋がっていると感じる次第です。

ASAKA:そうだと思います。熱量そのまま、感情そのままを音源に込める形で録っていただけました。Nobさんに感謝です。