INTERVIEW
TRiDENT
2024.11.07UPDATE
2024年11月号掲載
Member:ASAKA(Vo/Gt) SERINA(Ba/Cho) NAGISA(Dr)
Interviewer:杉江 由紀
最強デッキがここに完成。TRiDENTがこれまでに発表してきた3枚のミニ・アルバム『D-X』(2022年10月リリース)、『Dream Up』(2023年11月リリース)、『spice "X"』(2024年5月リリース)を集約した上で、さらに最高のライヴ・チューン「Haha!」と最強のバラード「U」という新曲たちを加えた2ndフル・アルバム『DUX』をリリースするに至ったのだ。当然、このベスト・アルバム的な新譜を携えての全国ツアー"TRiDENT DUX TOUR 24-25"も見逃すことはできない。今、TRiDENTのターンが始まる!
-TRiDENTにとって、2021年に発売された『ADVANCE GENERATION』以来となるフル・アルバム『DUX』がここに完成したわけですが、今作はこれまでにリリースしてきた既存曲たちを集約したベスト盤的なニュアンスもありつつ、そこに新曲「Haha!」と「U」が加わった新鮮さも感じさせる仕上がりとなっている印象です。アルバムとしての完成度を求めていく際に、皆さんが新曲に関して最も必要だと感じていたのはどのような要素だったのでしょうね。
ASAKA:バラードが欲しいね、っていう話にまずはなりました。
NAGISA:フル・アルバムには絶対必要だ! って3人とも思ってたんです。
SERINA:ここまでのTRiDENTって結構ハイスピードな曲が多くて、ライヴも勢いのある曲を中心に演奏していくかたちでやってきたんですけど、ここ1年くらいは周りの人たちからも"ライヴの中にもっと緩急をつけてもいいんじゃないか"という意見をいただいてたんですよ。
ASAKA:そうなると、必要なのはやっぱり本格的なバラードだよね、ということになって、今回はちょっと気合を入れて「U」を作ることにしました。
-とはいえ、これまでにも「After rain」(2021年リリースの2nd EP『OVER GROUND』収録曲)や「Again」(2022年5月リリースのミニ・アルバム『再構創Ⅱ』収録曲)、「エンドロール」(『Dream Up』収録曲)等、バラード自体はいくつかありましたよね?
ASAKA:自分たち自身も、たしかにバラードを作って出してきたつもりではいたんですよ。
NAGISA:つもりではいたんですけど、関係者の方たちの話を聞いていると"あれはミドル・テンポの曲であって、バラードではないんじゃないか"という意見がわりと多くて。
ASAKA:だったらもう今回はどバラードを作ってみよう、となったわけです(笑)。だからこの「U」に関しては、ピアノだったりシンセのベルやグロッケンの音なんかも使いながら、柔らかくて聴きやすいバラードとして仕上げていくようにしました。
SERINA:自信を持って、堂々と"これがTRiDENTのバラードです!"って言い切れる曲を作ることができたと思います。
-ちなみに、この「U」では新たなブレーンの方が参加してくださっているそうですね。
ASAKA:これは私が書いた曲を、AliAのEREN(Gt)君に編曲していただきました。もともと、私たちは3人ともEREN君の作る曲が好きだったんですよね。それも、特にバラードがすごくいいなと感じていたので、今回このタイミングでお力を借りることにしたんです。
-当初ASAKAさんが曲を作られた際、いわゆるどバラードを作るべく意識されたのはどのようなことだったのでしょうか。
ASAKA:作曲していく上での考え方が今までとは全然違いましたね。まずは歌メロを鼻歌みたいな感じで全て作った後にピアノで打ち込んで、そこにピアノのコードを入れて、あとは一切他の楽器は打ち込まずにアレンジャーさんに投げました。
-そのような曲の作り方をしてみて、何か分かったことはありましたか。
ASAKA:メロディから作っていったほうが、やっぱりメロディ自体が活きるんだなっていうのは1つの発見だったと思います。今まではコード進行から先に決めていったり、雰囲気から先にできていって、後からメロディを付けていくようなことが多かったんですけど、メロディありきでコードを付けていったら今までになかったコードが出てきたりっていうこともあったんですよ。こういう作り方もいいなって、新しく勉強することができて良かったです。
-ASAKAさんから「U」の原曲を提示された際、NAGISAさんとSERINAさんはどのような印象を持たれたのでしょう。
SERINA:めっちゃいい曲だなって思いましたし、これが完成したらさらに素敵な曲になるだろうなと感じてました。
NAGISA:ASAKAからデモを貰うときはいつも"いいな!"と思うことばっかりなんですけど、今回もすごくいいバラードになりそうだなっていう予感がしましたね。
-なお、アレンジャーのEREN君に投げて以降のやりとりは何回かあった感じでした? それともするっと1回でまとまったのですかね。
ASAKA:何回かはやりとりがありました。EREN君の最初のアレンジだと、もう少しシンセとかいろいろな音も入っていたんですよ。ただ、私たちとしては基本的にシンプルに歌を聴かせる曲にしたいという気持ちもあったので、そういうこだわりも活かしてもらいながら、アレンジャーさんの意向と擦り合わせていってこの完成形になったんです。
-では、そんな「U」をレコーディングしていった際のお話もぜひお聞かせください。
NAGISA:「U」のレコーディングはかなり難しかったです。ここまでのバラードって叩いたことがなかったですし、そんなにバラードが得意なほうでもなかったんですけど、今回は録る前の段階の音作りや音選び自体にすごくこだわったんですね。そこもEREN君が一緒に考えてくれたところで、前に「エンドロール」を録ったとき以上に今回は時間をかけました。そして、そういう試行錯誤をしながらまず1曲通して録り終わったときにEREN君から言われたのが"音の面では今ので叩けてたけど、ここから先は気持ちの部分を大事にしていこうか"っていうことだったんですよ。自分としてはその言葉にすごい感動して。それまではどうしても上手に叩こうとか、いい感じにまとまるようにって叩いてたところがあったんですけど、そこからは歌詞をよりしっかりと意識しながら叩いていくように心掛けることができたんです。少しこのレコーディングを通して成長できたな、という実感がありました。バラードをドラマーとして表現していくってこういうことなんだな、と気付けた気がします。
-そのあたり、SERINAさんの場合はいかがでした?
SERINA:私の場合、いつものロックな曲やとベースはめっちゃブリブリ音を入れてるんですけど、ここまで音数が少ない曲っていうのは初やったんで、いろいろベース・フレーズを入れたい気持ちをぐっとこらえながら、引き算の繰り返しでやっていったのがこの曲でした。正直、録っているときは"ここは堪えなきゃ"っていう気持ちが強かったですけど、この完成版を聴いてみると"ここは退いて良かったな"と思いました。あと、「U」はベースだけじゃなくてコーラスも頑張ってるんですよ。
-たしかに、コーラスの響きが美しいですね。
SERINA:いつもコーラス・ワークは私が作っていくんですけど、今回はレコーディングの現場でEREN君と話し合いながらメロディを決めていったんです。ただ、とにかく音域的にはすごい激高で歌うのが大変でした。歌うというよりは必死に歌い叫んでます(笑)。
-一方、ギタリストとしてのASAKAさんは「U」に対してどのようにアプローチされていくことになったのでしょうか。
ASAKA:この「U」のギター・フレーズは、過去イチどシンプルです。何よりライヴで歌に集中できるようにとEREN君も考えてアレンジしてくださいましたし、レコーディングをしていくなかで私自身が音をあえて抜いた部分もありましたね。
-なるほど。それだけ歌の存在感を重視されていたということは、もちろん歌詞を書いていく際にもいろいろなことを心掛けていらしたはずですよね。もともとは鼻歌からメロディを作り出されたとのことでしたが、歌詞はどのタイミングでどのように生まれていったものだったのかも教えてください。
ASAKA:曲を作った時点でだいたいの方向性はざっくり決まっていたんですが、それが明確な歌詞や言葉としてわーっと湧いてきたのは、最初にEREN君からラフ・アレンジが上がってきたタイミングでした。