INTERVIEW
TRiDENT
2024.11.07UPDATE
2024年11月号掲載
Member:ASAKA(Vo/Gt) SERINA(Ba/Cho) NAGISA(Dr)
Interviewer:杉江 由紀
今のTRiDENTが出せる全ての顔や表情を詰め込めた
-雰囲気としては、ピュアな恋愛を描いた物語性のある歌詞のようにも受け取れますが、ASAKAさんがここで描きたかったのは愛や温かな気持ちだったりしますか。
ASAKA:(※NAGISAとSERINAの顔を見ながら)あの......これ、言っていいと思う??
NAGISA:いいんじゃない?
SERINA:うん、大丈夫でしょ。いいと思うよ。
ASAKA:実はですね......この機に初めて発表するみたいになっちゃうんですけど、私は上京してしばらく経ったときから愛犬と暮らし始めてたんです。これはそのトイプードルに向けた歌詞になります。
-"実は......入籍してました"的なことではなく、愛犬へのラヴ・ソングでしたか(笑)。
NAGISA:あははは(笑)。
SERINA:ちょっと思わせぶりなフリでしたよね(笑)。
ASAKA:すみません(笑)。まぁ、最近は"そろそろ恋愛ソングを......"みたいな意見が出ることもありましたし、ちょうど「U」はバラードだしっていうこともあるんですけど、やっぱり私としてはあんまりそういうものを書くのは得意ではなくて。ファンの皆さんからしても、きっと私が恋愛の詞を書くイメージってそんなにないと思うんですよ。だとしたら何を書いたらいいんだろう? となったときに、ふと"自分の愛犬に対する素直な想いを書けばいいんだ"って気付いたというか。愛する対象が家族でも友達でも恋人でも、そしてペットだとしても、愛しく思う気持ちや大切にしたいという気持ち自体はいろんな人に共通しているだろうし、きっと誰にでも当てはまるんじゃないかと思うんですよね。だから、歌詞としてはそこまで"愛犬に向けて書きました!!"っていうことが出すぎないようにしながら書いていくように意識はしました。
-この詞を歌っていく際にASAKAさんが大事にされたのはどのようなことでしたか。
ASAKA:これまでの歌録りと比べると、この曲はEREN君からの要望もあって、わりかし自由に歌った曲だったと思います。普段はドラ ムとヴォーカルを先に録って、ギターとベースを後から録ることが多いんですけど、この曲はドラム、ベース、ギターと録っていって、最後に歌を録るというかたちだったんですね。それも、ドラム録りの日にヴォーカルを録るのをやめて"これは歌を最後にしよう"っていうことになったんですよ。でも、そういう判断をしたおかげで歌詞もギリギリまで練ることができましたし、歌も細かいところまで丁寧に大切に歌っていくことができて良かったです。
-曲タイトルを"U"とされた理由は、意図して記号化することによって意味合いを拡げたかった、というような思いからですか。
ASAKA:そうなんですよ。誰にでも当てはまる曲として伝えたかったので、あなた=YOUをわざと"U"っていう表記のタイトルにしようと思って。それと、これはアルバム・タイトルの"DUX"から1文字取ったものでもあります。
-なお、アルバム『DUX』のリード・チューンはもう1曲の新曲「Haha!」になるのだとか。この曲はどのようなコンセプトのもとに生まれたものだったのです?
NAGISA:現状、TRiDENTにとっては「CRY OUT」が皆さんの間でかなり浸透しているような曲になっていて、TRiDENTの存在が以前よりも大きく拡がっていくことになるきっかけを作った曲だなと感じているんです。そういう意味で、このアルバムには「CRY OUT」に次ぐ代表曲、「CRY OUT」を超えるような代表曲になっていくものを新しく入れたいという気持ちがありました。
-それゆえ、「Haha!」では「CRY OUT」のときと同様に堀江晶太(PENGUIN RESEARCH/Ba)さんが制作に参加されているのですね。
ASAKA:ただ、堀江さんは"同じような曲を作っても意味ないよね"とおっしゃっていて、そこは私たちも同じ気持ちだったんです。そして、堀江さんから"曲の作り方を変えてみるのはどう?"という提案をいただいて。これまではまずバンド・サウンドで作って、それをアレンジしていただくケースが多かったところを、最初はEDM的な発想でサンプリングを土台にして曲を作っていって、そこにロックの要素を足していくというやり方を試しながら、新しいTRiDENTの音を探していくことになりました。
-それこそ、このところのTRiDENTは「CRY OUT」をはじめとして全編ミッチリ且つギッシリな高密度アタック・チューンを提示することが多かったように感じておりましたが、この「Haha!」は攻撃力をしっかりと持っているにもかかわらず、あまり肩肘を張りすぎていない雰囲気で、ある種のラフさが楽しい曲に仕上がっているように聴こえます。
NAGISA:「U」みたいなバラードだけじゃなく、こういう勢いのある曲でも"足し引き"をできようになったんじゃないかと思います。ドラムだけ取っても、昔はとにかく手数の多さを重視していたところがあったんですけどね。だんだんと音を整理することができるようになってきて、この「Haha!」でも出るところは出て、退くところでは退くということができるようになったんですよ。
-曲の中に、受け手側が入り込めるような心地よい余白が生まれていますよね。
SERINA:そこは私たちとしても大事にしたところなんです。この「Haha!」はライヴでやったときにみんなでシンガロングできるような部分がめっちゃ多いので、イントロもそうだし、サビとかもぜひみんな一緒に歌ってほしいと思ってます。
-かくいうSERINAさん的には、派手なスラップ・ベースもバシバシに入っているアレンジとなっておりますので、そこも盛り上がる見せ場となっていきそうですよね。
SERINA:1枚目のフル・アルバム『ADVANCE GENERATION』にめっちゃスラップの入った「Ambivalent」っていう曲があったんですけど、そろそろまたそういう曲が欲しいなと思って、「Haha!」はいっぱいスラップを入れました(笑)。しかも、これはギターも1サビ終わりとかポイント、ポイントですごいテクニカルな感じになってるんですよ。
-ASAKAさんも「Haha!」は歌って弾いてで、終始大変そうです。
ASAKA:すごい忙しいし難しいです。完全に「U」とは真逆ですね(笑)。
-「Haha!」は詞の中で言葉遊びがされているところも面白いですが、この詞はとてもポジティヴな内容になっていますよね。
ASAKA:言葉で説明したり、説得するような詞ではなくて、この"Haha!"というタイトル通り、これは砕けた感じで"なんだかんだでなんとかなるケセラセラ"、"楽しまなきゃ意味がないよ"って歌ってる感じの詞なんです。
SERINA:最初はタイトルの最後に絵文字も付いてたくらいだもんね(笑)。
NAGISA:実際、歌詞の中には"(^o^)"っていうのが入ってます(笑)。
-さて。そうした「Haha!」と「U」を含む今回のフル・アルバムには"DUX"というタイトルが冠せられました。ここに託した思いについても解説をいただますと幸いです。
SERINA:今回のフル・アルバムは、これまでに出してきた『D-X』、『Dream Up』、『spice "X"』の3枚のミニ・アルバムを集約したベスト・アルバムという位置付けになる作品なので、タイトルは"D"から始まって"X"で終わる言葉にしたかったんですよ。それで、探して出てきた言葉が"DUX"だったんです。
-指導者、先導者を意味するラテン語なのだそうですね。
SERINA:はい。まさにTRiDENTがみんなの先頭に立って旗を掲げたい、っていう気持ちで"DUX"と付けました。
-『DUX』のリリース直後からは全国11ヶ所を巡る"TRiDENT DUX TOUR 24-25"が始まり、ファイナルは来年1月24日のSpotify O-EASTとなるそうですね。今度のツアーは皆さんにとってどのような意味を持つものになっていきそうですか。
NAGISA:今回のツアーは北海道とか(ワンマンでは)初めて行く場所もあるので、今から楽しみですね。
SERINA:ワンマンでこれだけの本数を回るというのは、私たちにとって1つの挑戦でもあります。
NAGISA:これまでのTRiDENTはハイスピードで駆け抜けていくような曲を多くやっていたんですけど、前回のツアー("TRiDENT スパイスガールズにご用心!?ツアー")ではライヴの中で緩急をつけていくことを試みたりしましたし、今回のアルバムでは「U」っていうバラードも作ることができたので、恐らくこのフル・アルバムだけで充実したセトリが組めるんじゃないかなと考えてるんですよ。とにかく、今度のツアーでは1本ごとのライヴとしての完成度をさらに高めていきたいです。
SERINA:ただ盛り上がるだけのライヴじゃない、映画とかショーみたいなTRiDENTとしてのステージを作っていきたいですね。最強バラード「U」と、最新型の「Haha!」ができたことで、きっとそれが叶うんじゃないかと思ってます。
ASAKA:『DUX』には今のTRiDENTが出せる全ての顔や表情を詰め込めたと思うので、今度のツアーではそれを各地でみんなに見せていきたいです。いろんな私たちを届けに行くので、楽しみにしていてください!