INTERVIEW
TRiDENT
2022.10.26UPDATE
2022年10月号掲載
Member:ASAKA(Vo/Gt) SERINA(Ba/Cho) NAGISA(Dr)
Interviewer:杉江 由紀
矛先は彼女たちの目指す未来へと向けられたようだ。DX(デジタル・トランスフォーメーション)というトレンド・ワードを冠した今回のミニ・アルバム『D-X』で、TRiDENTはPaleduskのDaisuke(DAIDAI)やPENGUIN RESEARCHの堀江晶太、Koji Hirachiなど、新たに外部アレンジャーを起用することで、より革新的なサウンドを生み出すことに成功し、バンドとしてのさらなるステップアップを果たすことになった。TwitterではDEXCOREの架神 -kagami-が、最新MV「CRY OUT」に対して"かっこいい"とコメントするなど、音楽ファンからだけてなくシーン自体からも注目を集めつつあるTRiDENTは、ここからますますトランスフォームしていくことになると確信する。
-今作『D-X』でTRiDENTが打ち出したかったこと、というのは言葉にするとどのようなものになりますか。
ASAKA:"D-X"って今回の作品タイトルは、"DX"という言葉をTRiDENT流に記号化したものなんですよ。実際に内容的な面でも自分たちには今までになかった新しい要素が交わってきていて、新たな自分たちを表現することができた作品になっている点が聴きどころになってます。
-新たなアプローチという面でいくと、今作においてはPaleduskのDaisuke(Gt)さんや、PENGUIN RESEARCHの堀江晶太(Ba)さんなど、曲ごとに異なるアレンジャーさんを迎えてのコラボレーションをされている点が、特に大きな特徴となっているようですね。
NAGISA:去年の段階で、次のミニ・アルバムでは、新しいアレンジャーさんと一緒にやってみたいという話が出ていたんですけど、もともと私はPaleduskがすごく好きだったんですね。そして、このところはDaisukeさんと仲良くなったというのもあって、まずは"こんなことがしたいんですけど"と相談をさせてもらったところ、快く"いいよ"って編曲をしていただけることになったんです。そこから、今回のミニ・アルバムは、個々の曲調を踏まえたうえで、別のアレンジャーさんと作っていこうというふうに話が広がっていきました。
-Daisukeさんが手掛けられているのは、すでにMVも公開となっている「Spoopy」となりますが、作曲クレジットはTRiDENTとなっております。この曲の成り立ちはいかなるプロセスを辿っていくことになったのでしょうか。
ASAKA:まずは私がメロディとシンプルなアレンジでドラム、ベース、ギターを入れたデモをフル・コーラスで作って、それをDAIDAIさんに投げてアレンジしてもらって、返ってきたものに歌詞を乗せていったり、各々が自分なりの色を若干加えたりして完成、という流れでした。この基本的なかたちは「Spoopy」に限らず、今回ほぼ全曲に関して統一してましたね。
NAGISA:最初にDaisukeさんと打ち合わせで話をさせていただいたときに、ひとつの案で、"TRiDENTとしてもっと重いサウンドをやっても面白いんじゃないか"という意見が出て、この「Spoopy」はその方向性で進めていった曲になりました。だから、Daisukeさん要素がガッツリ入ってます。
SERINA:ほんと、めっちゃカッコいいものになったよね。今まではすべて自分でベース・アレンジをしていたんですけど、今回「Spoopy」で初めてDaisukeさんのつけてくれたフレーズを弾いてみて、自分じゃ生み出せないフレーズとかがすごく多かったから、とてもいい刺激になりました。こういう発想はなかったなぁと気づかされましたし、いろいろ勉強になったのでそれが嬉しかったです。
-ご自身の発想や普段からの手癖とはまったく違ったフレーズたちを弾きこなしていくのは、難しくはありませんでした?
SERINA:難しかったです。でも、その難しさは自分にとって面白いものだったんですよね。これをものにできればまた成長できるだろうな、という確信もありましたし。そういう意味では、難しければ難しいほど喜んでる自分もいました(笑)。
-ドラマーからしてみると、Daisukeさんのアレンジについてはどのように感じられたのでしょうか。
NAGISA:今回のミニ・アルバムでも「DISCORD」とか「Answer」で参加してくれてるSHINGOMANさんは、これまでもずっとアレンジャーとして関わってくれていて、いつも私があとから好きなことを結構やってしまうのを理解してくださっているので(笑)、それを前提にシンプルな形でアレンジを提示してくれるんですよ。その点、Daisukeさんの場合は、完全に曲として細部まで完成した状態でのアレンジを送ってきてくださったんですよね。しかも、リズム自体にもDaisukeさんならではの特徴が強く出ているような雰囲気だったので、自分としては"こんなことをやるんだ!"っていう驚きがまずありました。一番大変だったのは、フレーズどうこう以前にリズムとしてのノリが今までとは全然違ったことですね。
-そんな「Spoopy」独自のタイム感を出していくうえでのコツ、というのはどのように体得されていかれたのですか?
NAGISA:全体的にユニゾンするところが多い曲だったので、まずはクリックにしっかり合わせて、ドラマーとしてはどしっとしたところをリズムで出していくようにしましたね。
ASAKA:「Spoopy」は今回の『D-X』という作品コンセプトにもすごく合っている曲で、DAIDAIさんに関わってもらったからこそ生まれた曲だし、この曲を完成させることができたところから道が拓けたような感覚がありました。
-拓けた道の延長線上で、今作『D-X』では、PENGUIN RESEARCHの堀江晶太さんが「CRY OUT」をアレンジされており、この曲はリード・チューンとして収録されることにもなったわけですが、そもそも堀江さんとのコラボはどのような経緯で成立していくことになったのでしょうか。
ASAKA:根本的にはいつも全曲リード・チューンというつもりで作っているんですけど、「CRY OUT」に関しては、自分たちの王道な部分を入れつつ新しいことにも挑戦したいという思いを持ちながら、最初からリード・チューンのつもりで作った曲だったんですよね。そして、アレンジについてはもともと私が堀江さんの大ファンだったので、こちらから"ぜひお願いします"とお声掛けをさせていただきました。
-アレンジされた「CRY OUT」を受け取ったときに、ASAKAさんが感じた印象はどのようなものでした?
ASAKA:"めっちゃ私の好きな感じになってる!"って思いました(笑)。しかも、こちらから送ったデモもすごく尊重してくださってて、ちょうどいい塩梅で堀江さんの色が入った感じがします。
SERINA:堀江さん節がすごくいいよね。
NAGISA:堀江さんご自身がベーシストなのもあるのか、この曲はベースがすごくよく動くアレンジになっているので、私的には今作の中だと最もシンプルにアプローチしたのが「CRY OUT」でした。
SERINA:とにかくベースがカッコ良くて難しい曲なので、私としてはレコーディングのときにすごく燃えました(笑)。今作の曲はもちろんどれも気に入ってますけど、個人的には一番これがお気に入りですね。
ASAKA:特にこれ、ラスサビのベースがすごいんですよ。
SERINA:たしかにあのラスサビは熱いです(笑)。「CRY OUT」は「Spoopy」とはまた違った面白さがある曲になったと思います。
-ASAKAさんが「CRY OUT」をプレイしていくうえで心掛けられたことがあるとしたら、それはどのようなことでしたか。
ASAKA:ギター録りのときはギターに専念しているんですけど、この「CRY OUT」はアウトロの部分のギターが印象的だと思うので、そこは丁寧に弾くというよりもニュアンスのほうを大切にしながら弾いていきました。レコーディングのときは堀江さんも立ち会ってくださって、一緒にその細かいニュアンスをどうするか詰めながら録っていったんですよ。その時点でこの曲には"CRY OUT"ってタイトルを付けることも決まっていましたから、ギターの音も叫びに近い感じでかき鳴らしてるというか、まさに歌詞の内容に合った感情的なイメージの音になったと思います。