INTERVIEW
MAYSON's PARTY
2023.06.07UPDATE
2023年06月号掲載
Member:AYATOMO(Vo/Gt) MIKI(Gt/Vo) Ya-knock(Dr/Cho) TSUKASA(Ba/Cho)
MOE(Tb/Cho) SAKI(Tp/Vo) ※PON(T.Sax/Cho)は取材時不在
Interviewer:フジジュン
-今回、すでにリリースしてる曲に再録や新曲を加えた11曲が収録されてますが、アルバム全体像を考えたとき、どんなイメージで進めていったんですか?
AYATOMO:最初既存曲を何曲入れるかというのを決めていなかったので、全曲新曲、全曲リード曲でいけるような作り方をしようと思ってたんですが、どの曲も却下に次ぐ却下の千本ノック状態が続いて、本当に苦労したんです(笑)。新曲はレコーディングの半年以上前から作り始めていて、アルバムだから、バラエティに富んだ曲を作ろうとは思っていたんですけど、アイリッシュ・パンク調の「Whiskey Boy」とか、変化球みたいな曲ばかりができていって、ど真ん中が全然投げられなくて(笑)。制作後半は"リード曲になる曲を作ろう!"と僕とSAKIで頑張って、結果全部新曲でいけるくらい作って、そこに既存曲を入れられた感じなので、より精度の高い曲が残ったといった感覚ですね。
-22年6月にEP『ONE』を出してますが、そこからアルバムに向けてというところで、気持ちを切り替えたのはいつ頃だったんですか?
AYATOMO:『ONE』を出したタイミングですね。その頃からフル・アルバムって話が出てたんですが、ツアー([We are "ONE" TOUR 2022])が始まっちゃうのでツアーに行く前に曲作り合宿に行こうと思って3、4日間くらい沖縄に行って、そこで十何曲か作ったんですけど、採用されたのは「Whiskey Boy」だけ(笑)。そのあとはツアーをしながら、新曲を作ってという感じでしたね。
-「You Found Your Way」とかライヴに直結した曲は、ツアー中だからこそイメージできた部分もあったんじゃないですか?
AYATOMO:「You Found Your Way」は、GUMXと(ライヴを)やることがあって、"ようやく対バンできたね"なんて話してたら、ヴォーカルのYONGWONが"You found your way"と言って、それを聞いてたSAKIが"ええ言葉やな"と言っていて。"ライヴでお客さんがガッとなるショート・チューンを作ろう"ってなったとき、"あの言葉はどう?"ってSAKIから"You Found Your Way"ってタイトルが出て、作り始めたら1時間くらいでできちゃった曲なんです。千本ノックで半年くらい曲を作り続けて、頭ハゲそうになってたのに、できるときは一瞬でできちゃうんだなとびっくりしました(笑)。でも、あの頭ハゲそうになった期間を経ないと、1時間でできることはなかったと思うんですけどね。
-あと、曲の話で聞きたかったのが、ラストに収録された「Give me your LOVE」。最後にラヴを歌ってアルバムを締めくくる、すごく重要な曲になっています。
AYATOMO:これも僕の中ではリード曲候補として作った曲なんですが、最初"どんな曲を作ろうか?"というミーティングをしたとき、"ひとつテーマを決めて作ろう"って話になって、出てきたワードが"LOVE"だったんです。"LOVE"というどんな人にもわかりやすいテーマで曲を書いたことがなくて、どんな曲にしようか考えてるなかで、"大学生のときに片思いしてて、叶わなかった歌にしよう"と思って作った曲でした。
-叶わなかった愛の歌だけど、センチなだけの曲になってないのがとてもいいです。
AYATOMO:そうですね、明るさが売りのバンドなので(笑)。
-では、アルバム収録曲で、それぞれ思い入れの強い曲を教えてもらえますか?
Ya-knock:僕は「TRY and TRY」ですね。テンポ感で言うと、他の曲と比べても速い曲じゃないんですけど、なぜか、尋常じゃないスピード感があるんですよ(笑)。スピード感があって常にわたわたしてるけど、ごちゃごちゃしない限界のスピードになっていて、妙なまとまりがあって、それがすごく面白いし、すごく好きなんです。
TSUKASA:あと、リズム隊としては、これまでのリード曲が「Yummy Yummy」とか「ONE」とかスカ・パンク、メロディック寄りであまり遊びが入れられなかったりしたのですが、今回は「Ocean」とか「Give me your LOVE」とか、今までなかった要素の曲があったので、結構テクいことをやれたし、遊びも入れられました。「Ocean」にはベース・ソロもあるんで、ぜひ聴いてほしいです。
MOE:私は「Whiskey Boy」です。最後にホーンがバシッと決めるフレーズがあって、すごくカッコいいんですけど。アイリッシュ・パンクの要素があるので、木管楽器だと成立するけど、金管楽器で吹くのはありえないようなフレーズで、レコーディングのときもエンジニアさんとどう録ろうか相談しながら録ったんです。あと、トロンボーンの専門的な話になっちゃうんですけど、この曲は中間の音でやっていて、スライドが奥のほうになるので、腕をかなり伸ばさなきゃいけなくて。ライヴで前に出すぎると、お客さんに手が当たっちゃうんで、この曲のときは、あまり前に出ないでおこうと思ってます(笑)。
MIKI:僕は「Summer Over Drive」ですね。西海岸系のポップ・パンクとかハード・ロックが好きなので、そんなニュアンスの曲をホーンがいるバンドでやれるっていうのも、僕らの強みだと思うし。Bメロで僕がラップを歌ってて、バリエーション豊かな曲の中で、そういうアプローチも見せられる1曲かな? と思ってて、すごく好きです。
AYATOMO:「Summer Over Drive」は、レコーディングの最後の最後にできた曲だったんですが、それまで本当に引きこもりのような生活で曲を作ってるなかでこの曲ができて、"これ、いいじゃん!"となって。僕も個人的な好みで言うと、お気に入りはこの曲ですね。大好きな80~90年代のポップ・パンクの匂いも出しつつ、明るさとちょっとしたチャラもあって。産みの苦労も含めて、すごく思い出に残ってる曲です。
SAKI:私が一番好きな曲は「Give me your LOVE」なんですけど、再録した「SON OF A BITCH」は、デモのときからホーン・アレンジがガラッと変わってて、ぜひ聴いてほしい曲です。シンプルですごくわかりやすい曲で、聴き心地がすごくいいんですけど、"ホーン・アレンジが変わったことで、こんなに夏らしさが出るんだ!"って驚きました。以前のバージョンはMVで聴けるので、聴き比べてもらえたら、また新しい楽しみ方ができると思います。
AYATOMO:あと今回、初めて海外マスタリングにも出して。Howie WeinbergさんというRANCIDとか、自分が憧れてたバンドを手掛けた方にマスタリングをお願いして、これまでもめちゃくちゃ最高のマスタリングをしてもらったんですけど、"こんなに変わる!?"ってびっくりしたんです。自分が憧れてた海外のバンドの音にかなり近づいてて、サウンド自体も最高のものにできたと思っています。
-みなさんの話を聞いてても、今バンドのモチベーションがめちゃくちゃ高いですね。
AYATOMO:そうですね。"もう、こんなチャンスは二度と来ないかも"って気持ちで、今年はやり切ろうと考えていて、今回の激ロックの表紙をやらせてもらうなんて機会も、人生に1度ぐらいしかないと思うんで。
-そんなことない。もっといいアルバムを作ればいいんですよ(笑)! リリース後には、アルバムを引っ提げての全国25ヶ所を回るツアー("PARTY4YOU TOUR 2023")がスタートします。
SAKI:うちら、曲数が少なかったので、セットリストに選べる曲も限られていたんですけど、アルバムができてセットリストの組み方も変わると思うし、いろんな見せ方ができる可能性が広がってるので、それもすごく楽しみです。
AYATOMO:あと前回の『ONE』のツアーまではいろいろと制限もあったので、この状況になって、初日からファイナルまでを回れるというのに、本当にワクワクしています。最近のライヴだと、こっちがどれだけ爆音鳴らしてもお客さんたちの声が届いてくるので、それを新曲たちで味わえるのが、本当に楽しみですね。