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INTERVIEW

AMON AMARTH

2019.05.13UPDATE

2019年05月号掲載

AMON AMARTH

Member:Olavi Mikkonen(Gt)

Interviewer:山本 真由

2018年春に行われた、同じスウェーデンのSABATONとの来日ツアーも記憶に新しい、AMON AMARTH。重厚なサウンドと神秘的な世界観で、ヴァイキング・メタルを奏でる彼らが、前作『Jomsviking』以来約3年ぶりとなるニュー・アルバム『Berserker』をリリースする。今作は、コンセプト・アルバムだった前作とは異なり、史実に基づくBerserker(ベルセルク=狂戦士)をモチーフとした楽曲を中心に、北欧神話などAMON AMARTHらしいテーマをいろいろと集めた、オムニバス的な作品。そして、新ドラマーが加わり、新たなプロデューサーとタッグを組んだ変化の作品でもある。そこで今回は、欧州を中心にメタル・シーンに巨大な存在感を示す彼らの新作や、ライヴについてメンバーのOlavi Mikkonenに詳しく訊いた。

-激ロックでは、前作『Jomsviking』(2016年)のリリース時(※2016年3月号掲載)以来、約3年ぶりのインタビューとなりますので、まずは前作リリース後からのバンドの近況について教えてください。

『Jomsviking』のツアーが2年近くあったんじゃないかな。そのあと新作の制作に入ったんだ。そして今に至る......というのが基本的なところだね。その間にはSABATONと日本に行ったりもしたけど。

-えぇ、スウェーデンの素晴らしいメタル・バンドが2組一緒に来日するということで話題になっていました。東京2公演と大阪1公演に出演されましたね。この来日ツアーはどのような経緯で決まったのでしょうか。

その前にオーストラリアでやってたんだ。あっちでは俺たちがヘッドライナーでSABATONがサポートだったけど、日本ではSABATONの方が俺たちよりビッグだからということでヘッドライナーを代わってね。......いいツアーだったよ。奴らとは長年の付き合いで、一緒にツアーしたこともあったから気心が知れているし、とても楽しかった。それに日本はいつ行ってもエキサイティングな場所だからね。

-SABATONが日本ツアーにあなた方を指名して、オーストラリアではあなた方が彼らを指名したような感じだったのでしょうか。

うーん、順番は逆だったんじゃないかな。俺たちがオーストラリアのサポートに奴らを指名して、"もっとショーをやろうぜ"と提案したんだ。

-前作は、ドイツとオーストリアのチャートで1位を獲得するなど、ヨーロッパを中心に様々な国のチャートを席巻し、バンド史上最大のヒット作ともなりました。そんな大反響の前作について、ご自身ではどのように評価されていますか?

そう、君の言うとおり、あれは現時点で俺たち史上最大のヒット作になった。ツアーはどの旅程も、ものすごくファンタスティックだったよ。いいことが起こっているとバンド内の雰囲気もいいしね。そういうのがすべて新作に反映できていると思う。さっきの話になるけど、俺たちは2017年9月に『Jomsviking』のツアーを終えた。その翌日、俺は自宅のスタジオで新曲を書いていたんだ。ツアーで得たポジティヴなエネルギーが有り余っていたからね。俺はいい物事を糧にして生きている。バンドにとって物事がいい感じで動いているときは、そこからたくさんのインスピレーションを得ることができるんだ。そんな感じで、いい流れで作れたよ。しかも『Jomsviking』をリリースしてから新しいドラマー(Jocke Wallgren)も入ったしね。Jockeはとてもポジティヴなエネルギーをもたらしてくれていると思う。

-前作のドラマーはTobias(Gustafsson)というセッション・ドラマーだったのを覚えています。Jockeはどういういきさつで加入したのでしょうか。

実はTobiasの推薦だったんだよ。それまでは話に聞いたこともなかった。Tobiasが薦めてくれたからJockeをチェックして、どんなバックグラウンドを持っているかリサーチしてね。それで声を掛けたんだ。というのも、オーディションはやりたくなかったんだよね。やりたいと申し出てくれたドラマーは山ほどいたんだけど......。

-でしょうね。

そりゃ、すごく有名なドラマーと組むとか、そういうこともできたかもしれないけど、Jockeと会ったとき、とてもクールな奴だと思ったんだ。地に足がついていて、人間としていい奴なんだよね。だから初めからいい感じだったんだ。クールな展開だよね。

-それで、Jockeと一緒に『Jomsviking』のツアーを回って、彼がもたらしてくれたいいことやツアーの成功による勢いが、このアルバムにダイレクトに反映されているということですね。

まったくその通りだよ!

-また、SABATONとの来日の前にも2回来日していますよね。2010年には"LOUD PARK"、2014年には"KNOTFEST"で来日されています。どちらも日本では最大級のメタル・フェスですが、ヨーロッパのそれと比べたらおそらく小規模でしょう。日本のメタル・フェスと大規模なフェスでのライヴとの違いは感じましたか?

そうだね。日本のファンはとてもリスペクト心が高い気がする。曲と曲の間はなんだか静かだよね。ヴォーカルのMCを邪魔したくないという気持ちがあるんだろうな。ちょっと不思議だけど。でも日本のファンはギターのメロディにシンガロングするのも好きだよね。そうしてくれるとすごく楽しいよ。そういうところが他の国と違うかな。でも毎回すごく盛り上がっているよ。俺たちが初めて日本に行ったのが"LOUD PARK"だったんだ。すごく驚いたよ。本当にクールな国だし、美しい国でもある。そのときは確か桜が咲いていた頃だったんじゃないかな。(※実際に"LOUD PARK"が開催されたのは秋。SABATONとの来日が春)それって1年の間でも数週間しかないんだろう? 見られて嬉しかったよ。あと"KNOTFEST"もすごくクールなフェスだったね。実は"LOUD PARK"と"KNOTFEST"の間にも一度日本に行っているんだ。東京でクラブ・ショー(2012年4月12日に渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて開催の"AMON AMARTH LIVE IN TOKYO 2012")をやったよ。すごく小さなところだった。

-ということは、合計来日回数はSABATONとのツアーを含めて4回ですね。

あぁ、そうだね。

-ツアーに関してはまた後ほど質問させていただきます。いよいよ最新アルバム『Berserker』がリリースされますね。他の国では5月3日リリースだそうですが、日本はその日が祝日ということもあって5月15日にリリース予定です。これまで様々な神話を作品のモチーフとして使用してきたAMON AMARTHですが、"狂戦士"と題された今作には、どのようなストーリーがあるのでしょうか? コンセプト・アルバムなのでしょうか。

いや、コンセプト・アルバムじゃないんだ。Berserkerの歌(「The Berserker At Stamford Bridge」)だけはストーリーがあるけどね。Johan(Hegg/Vo)が「The Berserker At Stamford Bridge」のアイディアを投げてきたとき、すごく強力でクールなアイディアだと思って、これをアルバムのカバーにしようと決めた。図体のデカい戦士がたったひとりで立っているという図が想像できたからね。恐れを知らない狂戦士。死ぬことをも恐れないんだ。侍みたいにね!

-たしかに! そう思いました。

どんな文化にもそういう男が存在すると思うよ。ただ変なのが、俺たちはみんな過去にベルセルクのことを聞いたことはあったけど、スタンフォード橋(Stamford Bridge)の話は聞いたことがなかったんだ。ヴァイキングの文献はもう何年も読んでいるのにさ。そこがクールだよね。あまり多くの人には知られていない話だと思うよ。ストーリーはこんな感じだ。ヴァイキング時代の終わり頃、ヴァイキングはイングランドを侵略していた。イングランドの方がはるかに大軍だった。それでヴァイキングはとある橋まで後退したんだ。それからひとりの男だけを残して、橋をできるだけ長い間守らせた。たったひとりだよ。そうすれば他のヴァイキングは逃げられるからね。ここからが面白いんだけど、この話はヴァイキングの伝説には出てこないんだ。ストーリーを記したのはイングランド人だった。

-そうなんですね。

敵側から書かれたストーリーなんだ。アングロ・サクソンの古い本に書かれているのが見つかった。確かベルセルクは、奴らに殺される前に70人くらい殺したんじゃなかったかな。奴らが彼を殺す唯一の方法は、川に入って槍で橋の下から彼を刺すことだったんだ。Johanからこのストーリーを聞いたときは"おぉ、それはクールなストーリーだな"と思ったよ。というわけで、それが「The Berserker At Stamford Bridge」の裏話なんだけど、他の曲はだいたい過去の作品と似た感じだね。『Jomsviking』はコンセプト・アルバムだったから違うけど。どの曲もそれぞれ違うトピックを取り上げているんだ。トール(※北欧神話に出てくる主要な神のひとり)について書いた曲がいくつかあるね。例えば「Mjolner, Hammer Of Thor」はトールのハンマーをどうやって作ったかの話。「Crack The Sky」はトールのハンマーへの賛歌みたいな感じだね。「Ironside」はスウェーデンの王について。それから......「Fafner's Gold」はヴァイキングの神話を題材にしている。そんな感じで、いろんなタイプのトピックを網羅していると思う。

-スタンフォード橋の話は実話であって、サーガ(※北欧の冒険物語)や神話ではないんですよね?

そう、歴史的な出来事なんだ。「Ironside」も同じだね。あれも歴史的な出来事から。スウェーデンの最初の王になった男について歌っているんだ。

-つまりこのアルバムでは実話とヴァイキングのサーガなどを組み合わせているのですね。

そうだね。