INTERVIEW
AMON AMARTH
2019.05.13UPDATE
2019年05月号掲載
Member:Olavi Mikkonen(Gt)
Interviewer:山本 真由
俺たちはいつでも、自分たちの曲をできる限りグレイトにしようとしているんだ。そして俺たちにとってのグレイトな曲というのはシンガロングできる曲
-それでいて全体的に一体感があるのが興味深いです。実際に楽曲を聴くと、まさにタイトルの"狂戦士"を連想させる、攻撃的で重厚感のあるサウンドに仕上がっていますね。しかし、ヘヴィなだけでなくノリやすいキャッチーさも感じました。時にはシンガロングもできそうな感じで......サウンド面ではどのようなことにこだわって作られているのでしょうか?
俺たちはいつでも、自分たちの曲をできる限りグレイトにしようとしているんだ。そして俺たちにとってのグレイトな曲というのはシンガロングできる曲、少なくとも記憶に残る曲というのも入るんだ。俺だって他のバンドの曲を聴いて、聴いたあとに何も残らなかったら嫌だからね。そういうのは好きじゃない。俺は実際に記憶できる曲を書きたい。それから、俺たちはリフ主導型だからメロディの多くがなんらかの形でギター・リフになっているんだ。Johanとも話すことがあるよ。"できるだけ記憶しやすいリフを書こうぜ"なんてね。それが常に俺たちのゴールになっているんだ。そして今回のアルバムでは、曲への取り組み方をちょっと変えたんだよ。まずはメンバーが個別に曲を書く。全員が自宅スタジオのセットアップを同じ設定にしてあるんだ。だからリハーサルはあまりしないね。ファイルを送り合うだけのことが多いな。それで素材が十分出揃ったら一緒にどこかに行って、ちゃんとしたデモを録音する。今回は20年前に初期のアルバムを作ったThe Abyssというところ(※音楽プロデューサー Peter Tägtgrenが所有するスウェーデンのレコーディング・スタジオ)に行ったんだ。
-プリプロダクションですね。
そう。プリプロダクションはPeter Tägtgrenとやって、それが終わったら今度はJay Rustonとプリプロダクションをやって、最終的なレコーディングをLAで行ったんだ。だから基本的にはあらゆる手段を尽くして作った感じだね。もうこれ以上良くするために手を施すことができないくらいに。これほど煮詰めてレコーディングしたことは、今までになかったような気がする。
-それぞれが自宅スタジオのセットアップを同じ設定にしてあるとのことでしたが、そのとき取り組んでいる曲は同じものですか。それとも各自違う曲を書いていたのでしょうか。
うーん......そうだなぁ、もちろん俺が大半を書いているけど、ドラムをやったのはもちろん全部Jockeだし、Johanはヴォーカルを全部やっていた。Ted(Lundström)もベースを全部やったしね。で、アレンジは俺が担当したような感じだった。できたアレンジを他のメンバーに送ってコメントを貰ってね。Johanもそんな感じで、プリプロダクションでは自分の作った曲のギターを全部担当していたんだ。でも実際のレコーディングでは俺が全部自分のパートを弾いて、あいつは全部自分のパートを歌った。俺が書いた曲はやっぱり俺がアレンジを全部手掛けたけどね。まとめ役みたいな感じで。でもみんなで一緒にいるときは、もちろん話し合うよ。どうすればよりいい曲になるかってね。それで新しい、ちょっと違ったアイディアにトライすることもあった。だから、リハーサルこそほとんど一緒にやらないけど、過去より今の方がユニットとしては共同作業が多い気がするね。
-Jay Rustonの名前が出てきましたが、今回初めて起用していますね。過去2作はAndy Sneapを起用していましたが、今作では何かバンドとして変化を求めていたということでしょうか?
そうだね。『Jomsviking』を作ってから、また新しい何かをやろうと思ったんだ。Andy Sneapはファンタスティックだったし、ハッピーになれない点がなかったよ。単に俺たちに変化が必要だって思っただけでね。彼は今JUDAS PRIESTとツアーを回ってロック・スターになって、俺たちもハッピーだよ。だから俺たちに構っている時間はないってことなんだけど(笑)。
-彼らも最近アルバムを出しましたもんね。
しかも今じゃギターを弾いてるだろう?
-そうでした! つい最近日本に来てましたよ。
まぁそんな感じで、俺たちは変化を求めていたんだ。でも俺たちがプロデューサーをいろいろ当たるよりは、"本気で俺たちと仕事をしたい奴、求む"みたいな感じで公募したんだ。俺たちに本当に惚れ込んでくれていて、一緒に何かいいものを作る気満々の奴と組みたいと思ったからね。だって、金さえ払えばみんな普通に仕事してくれるだろう? 時間があればね。でも俺たちと本気で一緒にやりたいと思ってくれる人を探すというのはまた別問題だ。Jayはそのひとりだった。俺たちはLAに飛んで彼と会ったんだ。いろいろ話しているうちに彼のアイディアが俺たち的にしっくりきて、これは絶対にいいものになるぞというのが確信できた。それにLAにはクールなスタジオがたくさんあるだろう? 歴史的なスタジオもいっぱいあるしね。俺たちは確か5ヶ所訪問したんじゃなかったかな。何がベストになるか、もっと全体像を掴もうと思ってね。で、Sphere Studiosというところに決めたんだけどこれがすごくきれいなところで、素晴らしかったよ。俺たちにとっては夢のようなところだったね。LAの素敵なスタジオでレコーディングできるなんてさ。
-JayがLAを拠点としているからLAでレコーディングしたのでしょうか。
そうだね。でも変化が欲しかったからでもあるんだ。これまではスウェーデンやUKでレコーディングしてきたから、今度は他のどこかに行きたかったんだよね。それに、地元から遠く離れていた方が都合いいこともあるんだ。スウェーデンだったら昼間はレコーディングして、夜は自宅で家のことをやらないといけないしね(笑)。他のところに行けば、すべてをレコーディングに注ぎ込むことができるんだ。よそで何が起こっていても気にしなくて済むからね。
-JayはANTHRAXやSTONE SOURの作品を手掛けてきましたよね。彼の経歴が人選の決め手になったりしましたか。
うーん......STONE SOURの作品はちゃんと聴いてないんだ。でも彼が手掛けたANTHRAXのアルバムは素晴らしかったね。でもそれが主な決め手になったとは思わないな。信頼やアイディアの方が大事だからね。彼が素晴らしいアルバムを作るだろうってのは明らかなんだから。それより繋がりを感じられること、アイディアがしっくりくることの方が大事だよ。彼とは『Jomsviking』のライヴDVDも一緒にやったんだ。彼がミキシングを手掛けてくれてね。ミックスを聴いたときは、"ワォ! これはファッキンなくらいすごい"と思ったよ。それも決め手になったんじゃないかと思うね。でも、『Berserker』に対するJayのヴィジョンと俺たちのヴィジョンがぴったり一致していたというのが一番の理由だよ。
-彼はこれまでに組んだ方々とは違うタイプのプロデューサーですか?
そうだな......彼が最初に提案したのは、1曲ごとにレコーディングするということだった。ひとつの曲をヴォーカルから何から全部レコーディングして、それから次の曲に取り掛かったんだ。それはこれまでやったことがなかったけど、アルバムの作り方としてはクールだなと思ったよ。それがひとつ。それから、サウンド的には彼は俺たちをもっと伝統的なヘヴィ・メタルぽいバンドにしたかったんじゃないかな。それが俺たちの狙いと合ったんだ。
-彼と初めて組んだのはライヴ盤ということになりますね。今作は、日本盤のみライヴ・アルバム付きデラックス・エディション仕様となっていますが、なぜ日本盤限定でデラックス・エディションを制作することになったのでしょうか?
それはレコード会社に聞いた方がいいような気がするな(笑)。ただ、俺も以前聞いたんだけど、日本のファンに日本盤を買ってもらうには、何かしら付加価値がついていた方がいいんだってね。でないと輸入盤を買ってしまうから。
-たしかにそうですね。
だから日本にはいつもボーナス・トラックをつけているんだ。他の国ではゲットできないやつをね。君たちはラッキーだよ(笑)!
-ラッキーです。あと、日本はまだフィジカルCDがよく売れているので、こういうパッケージは私たちにとって素敵なプレゼントなんですよ。
クールだろう(笑)?
-そのライヴ・アルバムについてもご説明いただけますか。
"Summer Breeze 2017"(※ドイツのメタル・フェス)の音源で、そのときはふたつのショーをやったんだ。片方は普通のAMON AMARTHのショーで、ふたつ目はシークレット・ギグみたいなものだった。フェスの前日にやったやつで、フェスの主催者へのトリビュートとしてやったんだ。その人はAMON AMARTHを発掘してくれた人のひとりで、俺たちも何年も一緒に仕事をしてきた。Michael Trengert(※元Metal Blade Recordsレーベル・マネージャー)という人で、残念ながら亡くなってしまったんだ。そんなわけで、そのショーは彼へのトリビュートみたいな感じで行った。面白いのが、そのショーの出演者は一切発表されなかったってことだった。だからファンも誰が出るか見当もつかなくて。そのショーで俺たちはプレイした。オールドスクールな感じのセットリストで、新曲は一切やらずに、昔の曲をひと通りやった。Michaelが大好きだった曲をね。
-その部分はきっとライヴ盤の他の部分と比べて親密な感じなんでしょうね。
あぁ、そうだよ。前半はオールドスクールでAMON AMARTHの定番みたいなやつをやって、後半はステージもサーカスみたいに派手にしてやったんだ。
-そっちは『Jomsviking』ツアー仕様で。そうしたら、『Jomsviking』を聴き逃してしまった人がいても、そのライヴ盤を聴いたら『Jomsviking』にも食指が伸びそうですね。
そう!