INTERVIEW
BRING ME THE HORIZON
2019.02.02UPDATE
2019年02月号掲載
Member:Oliver Sykes(Vo)
Interviewer:菅谷 透
人のためじゃなく自分が作りたいものを作らないと、自分の音楽じゃなくなると思うんだ
-Track.5「Wonderful Life Feat. Dani Filth」は、皮肉めいた歌詞が前作『That's The Spirit』の楽曲「Happy Song」に似たところがあるように感じました。アルバムの中でも特に激しいサウンドですが、どのような意図で制作しましたか?
この曲は意外と作るのが難しかったね。実験的にいろんなサウンドに触れていて、ヘヴィな音はあまりなかったんだけど、こういう楽曲も必要だと思ったんだ。『That's The Spirit』にもこんなにヘヴィな楽曲はなかったから、完成したときは"かっこいい"と思ったし、Dani Filth(CRADLE OF FILTH/Vo)をゲストに迎えたら面白いと感じたんだよ。
-おっしゃるとおり、同曲ではDani Filthをフィーチャーしていますね。彼を起用した理由を教えていただけますか?
Instagramで彼にメッセージを送ったんだよ(笑)。前に1、2度会ったことはあるけど、知り合いではなかったんだ。彼の娘が僕たちのファンだってことは知っていたから、運試しじゃないけど、ダメ元でメッセージを送ってみたら、"本当に君なら、喜んでやりたい"って返事が来たよ(笑)。面白いよね。
-Track.11「Mother Tongue」は歌詞の中にタイトルの"Amo"が出てきます。曲自体もEDMの手法で作成されたポップな曲調になっていますが、この曲について詳しく教えていただけますか?
Jordanがピアノ・パートを作ってきていて、コーラスのヴォーカル部分もアイディアが浮かんでいたから、ある日一緒に座って曲を作り始めたんだ。そうしたら、バラードのようなラヴ・ソングに向かっていった。ポジティヴな感じのサウンドで、恋に落ちるような、あのほろ苦いワクワク感を醸し出しているように思えたんだ。少しラテンのノリもあるけど、今の妻が南アメリカ出身だから、すごくその雰囲気に魅力を感じるし、彼女との出会いを曲に入れたいなって思って。初めて好きな人ができると、嬉しいけど怖いし、なんだか吐き気まで覚えたりするだろ(笑)? 素敵な気持ちになるから、できるだけその気分を言葉にしてみたかったと同時に、言葉だけじゃ言い表せないってことも伝えたかった。
-Track.12「Heavy Metal Feat. RAHZEL」では、"some kid on the Gram said he used to be a fan but this shit ain't heavy metal"というフレーズが出てきます。実際にSNSでは"最近のBMTH(BRING ME THE HORIZON)の作品はメタルではない"という主張も見られますが、この曲はそうしたリスナーに向けて書かれたものなのでしょうか?
(笑)特定の人に対する答えではないんだけど、ネガティヴで有害な人々のコメントから離れたいと思ったんだ。でも自分の答えは、そういう人たちがいてもまったく構わないってことだよ。バンドとファンの関係って不思議なものでね。自分の意見が一番大事で、どれだけ僕たちが音楽に時間と労力を注ぎ込んでいるかはファンにとってはあまり関係ないみたいだ。すごく愛してくれて、バンドのことを崇拝もしてくれるけど、自分たちだけのものにもしたいんだと思う。方向性が変わると気に食わなかったり、違うことをやると文句を言ったりする人も中にはいる。支えているからこそ裏切られたと思い込むみたいで、そういう人たちの考えもわかってる。けど、バンドで音楽を作っているときは人のためじゃなく自分が作りたいものを作らないと、自分の音楽じゃなくなると思うんだ。他の人のためには音楽は作れないよ。そんなことをしたらうまくいかないし、真実じゃない。嘘のものになってしまう。2~3年に一度、新しいアルバムを作るときにはその時点で自分たちがいる位置での音楽性や、やりたいことを表現しているんだ。僕自身の音楽の趣味も常にアップデートされているし、いろんな音楽を聴いて日々を歩んでいるのに、"さぁ、新しいアルバムを作ろうか"ってなったときに10年前の自分たちの音を再現するなんてできないよ。だから、このアルバムでファンが減るだろうことや、リスナーはまだ受け入れる準備ができてないこともわかってたけど、この曲で面白くジョークにしているんだ。メッセージがあるとするなら、"僕たちは構わないよ"ってことだよ。
-現在バンドは"First Love World Tour"で北米を回っていますね。先日公開された「Wonderful Life」のライヴ映像を観ると、アルバムよりもさらにサウンドの強度が増している印象ですが、アルバムの曲はどのようにライヴで披露していく予定なのでしょうか?
すでに「I Apologise If You Feel Something」、「Mantra」、「Wonderful Life」、「Medicine」の4曲をプレイしているけど、徐々に増やしていくつもりだよ。昨日の夜(※現地時間1月25日)初めて「Nihilist Blues」もプレイしたんだ。ライヴで演奏するときは、かなりハードにプレイしているね。
-アルバムの中で、ライヴで披露するのが楽しみな楽曲はありますか?
正直に言うと、「Nihilist Blues」がこのアルバムの中で一番気に入っている曲なんだ。昨日初めて披露して、すごく新しい感じだった。新しすぎてみんなどう反応していいかわかってなかったみたいだけど(笑)、プレイしていて楽しかったよ。今までやったことがないもののように思えて、エキサイティングだった。
-「Nihilist Blues」では会場がどんな雰囲気になるのか想像がつきませんが、オーディエンスはどのような反応でしたか?
(笑)まだみんな困惑していたみたいけど、希望としてはダンス・パーティー的な雰囲気になればいいね。あの曲を聴いて、ロック・ファンは"いったいなんなんだ!?"ってリアクションをするかもしれないけど、ライヴを観ているときっと納得するよ。サウンドが壮大なんだ。
-日本で最後に行われたライヴは2014年の"KNOTFEST JAPAN 2014"と、4年以上のブランクが空いてしまっています。ライヴを心待ちにしているファンも多いですが、来日の予定はありますか?
日本が世界で一番好きな国だから、このツアーで絶対に行くと思うよ。今年中には必ずね!(※インタビュー後、8月に開催される"SUMMER SONIC 2019"への出演が発表)
-2019年はバンドの結成から15周年という節目の年となります。この15年間はあなたにとってどんな日々でしたか?
15年なんて短いよね。ここまで来ることができたことに感謝しているし、驚いているよ。楽しかったし、苦労もあったけど、その価値があったと言えるね。
-最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。
ハロー! みんなのことが恋しいから、また会えることを楽しみにしているよ。早く新曲をプレイしてあげたいよ。