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INTERVIEW

メトロノーム

2018.07.24UPDATE

2018年08月号掲載

メトロノーム

メンバー:シャラク(Vo) フクスケ(Gt) リウ(Ba)

インタビュアー:杉江 由紀

20年という時を経て、"その先へ"と向かうメトロノーム。このたび彼らが発表するアルバム『廿奇譚AHEAD(読み:ニジュウキタンアヘッド)』では、テクノの洗礼を受けたエレクトロ・ポップ・ヴィジュアル系バンドとしての独自且つ孤高なるスタンスが、ここで改めて顕示されたことになるだろう。音楽的な面での完成度とともに、面白い着眼点で綴られた歌詞世界、アートワークの面でも作品性と完全に連動したヴィジュアル展開がなされている点も、実に堪能しがいのある作品となっていることは間違いない。ひとつの大きな節目を迎えたうえで、ここからさらに増殖していくであろう希有なるメトロノームの宇宙を、この『廿奇譚AHEAD』からぜひ感じてみてほしい。

-メトロノームにとって、今年は記念すべき20周年イヤーです。春に発表されたシングル『弊帚トリムルティ』(2018年3月にリリース)に引き続くかたちで、このたびはアルバム『廿奇譚AHEAD』が世に出ることとなりました。やはり、今回の収録曲たちも"20周年"を意識したなかで作られたものだったのでしょうか?

フクスケ:今回は、まずこの"廿奇譚AHEAD"というアルバム・タイトルを決めたうえで制作を始めていきました。そのことはメンバーに話していたので、頭の片隅程度には言葉を置いて曲作りをしてくれてたと思います。

-だとすると、今年が20周年イヤーであるという事実や、"廿奇譚AHEAD"というアルバム・タイトルの存在が、曲作りになんらかの影響を及ぼしたところはありましたか?

リウ:やっぱり、それは多少なりともありましたね。というか、それだけじゃなく今回は衣装のイメージも含めて、かなり明確なトータル・コンセプトがフクスケ君から提示されていたので、意識的にも無意識的にもそこに繋がっていくような曲や歌詞ができていった気がします。ちなみに、今回のアルバムは曲順的にオープニングSEの「廿奇譚AHEAD」以降、フクスケ君、シャラク君、僕の順でそれぞれの作った曲たちがずっと続いていくかたちになってます。

フクスケ:この曲順はリウからの提案だったんですよ。

リウ:前作のアルバム(2017年リリースの『CONTINUE』)のときもそうだったんですけど、曲が出揃った段階で作曲者順に並べていくと、やっぱり3人の個性がより生きるなぁと思いまして(笑)。ちょうどいいバランスになっていましたし、どこかライヴのセットリストに近いような緩急やドラマ性も出た構成にすることができました。

-そんな今作中において、シャラクさんは「不安の殿堂」、「主人公ルート」、「孤独氏」という新曲3曲を作詞作曲されていらっしゃいますが、いずれもまずはインパクトの強いタイトルを持っているところが印象的です。このアルバムに向けて、作曲段階でのシャラクさんが思い描いていたのはどんなことだったのでしょうか?

シャラク:そこまで深く考えていたわけではなかったんですけど、前回のアルバムが結果的に"とてもメトロノームっぽいもの"になったのもあって、今回は"その次"を意識していたところがありました。もし、メトロノームが活動休止(※2009年から約7年間、無期限活休していた)をしていなかったから、こんな方向に行っていた可能性もあったんじゃないのかな? という気持ちで作っていったのが今回の曲たちなので、アルバム・タイトルの"廿奇譚AHEAD"という言葉の持つ意味にすべて繋がっている、と言えば繋がっています。

フクスケ:"廿奇譚AHEAD"というのは、まさに"その先へ"という意味を込めたアルバム・タイトルですからね。

-なるほど。かく言うフクスケさんは、今回「血空」、「素晴らしい世界」、「我が為に鳴くパンドラ」の3曲を手掛けられていますけれど、中でも「血空」は今作におけるリード・チューンとなっております。こちらの曲想については、いかに練られていきましたか?

フクスケ:メロディ自体は哀愁漂うものになったんですけど、そこに先を見据えたといいますか、今のメトロノームが持っている感覚を打ち込みで足していって、未来に向けた感じの曲にできたらいいなと考えてました。

-「血空」は、曲タイトルからして鮮烈ですが、この歌詞についてはどのようにまとめていかれたのでしょう?

フクスケ:血のように赤く染まった空だとか、人が生きていく流れ、みたいなものを思い描いていたらこんな感じになったんですよ。

-歌う立場からすると、シャラクさんが「血空」という曲の持つ魅力を引き出すうえで大切にしたのはどんなことでしたか?

シャラク:なんですかね? そこは純粋に"この曲では、おそらくこういう歌い方が求められているんだろうな"ということを推測しながら歌っただけです。

-ベーシストとしてのリウさんが、この「血空」に対してのアプローチをしていく際に大事にされたのはどんなことでしたか?

リウ:この曲は、アップライトで弾きました。メロディに漂っている哀愁と、アップライトで弾いたことによる音のニュアンスで、レトロな雰囲気を出していきたかったんですよ。そこは、曲のイメージだけじゃなく今回の衣装の感じとも自分の中でリンクしていたところがありましたね。この衣装でこの曲をアップライトで弾いたら、きっとピッタリなんじゃないかなぁと思って(笑)。

-衣装といえば、今回ヴィジュアル面での基本コンセプトを決められたのもフクスケさんであったそうですね。

フクスケ:今回は、少し見た目にも物語っぽい感じが欲しかったんですよ。前回のシングル『弊帚トリムルティ』ではシャラクがちょっと学帽みたいなデザインのものを被っていたんですけど、もともとあるものに黄色をアクセントとして入れるとまた全然違った雰囲気になったので、今度はスチーム・パンク風の衣装に黄色を足してみたら、きっと面白いものになるんじゃないかなと思ったんです。

-それでいて、今回は黒のイメージもかなり強めですね。

フクスケ:前がだいぶ黄色かったので、黄色は今回ちょっと抑えめにしました(笑)。そして、スチーム・パンクって歯車とか小物を外すと意外と普通にゴシックな感じになるので、そこもまたヴィジュアル系っぽい感じでいいのかなと。

-と同時に、今作についてはジャケ写などのアートワークも非常に興味深いです。基本的には"その先へ"という意識が漂ったアルバム内容である一方、廃園となった遊園地がメイン・モチーフとなっているところに逆説的なものを感じます。

リウ:この写真を撮った場所は完全に廃虚でしたね(笑)。

シャラク:なんか、今の時代にはあんまり見ないタイプの遊園地でした。

フクスケ:天候による光の加減とかいろんな偶然が重なったのもあり、今回は写真の面でも予想以上の物語性を持たせることができて良かったです。