INTERVIEW
メトロノーム
2021.12.21UPDATE
2022年01月号掲載
Member:シャラク(Vo) フクスケ(Gt) リウ(Ba)
Interviewer:杉江 由紀
ピコピコ要素は満載でありながらも、あくまでロック・バンドであるメトロノーム。彼らがこのたび発表するのは、ライヴ・テイク+新曲によって構成されたライヴ・ベスト・アルバム『5th狂逸インパクト』だ。今作は彼らにとってメジャー・デビュー5周年を祝う作品でもあるが、2021年10月24日にClub Mixaで行われた最新のライヴ・テイクと、書き下ろしの新曲が詰め込まれているという意味で、ファン必携となるのは間違いない。2021年末には約2年ぶりの有観客ライヴを行い、2022年にはついに24周年のタームに突入していく彼ら。メトロノームとは、どれだけキャリアを積もうとも決して老成することのない、いい意味で奇天烈なロック・バンドなのだ。
-このたびのライヴ・ベスト・アルバム『5th狂逸インパクト』は、ライヴ・テイク+新曲を加えた内容であり、メジャー・デビュー5周年を祝う作品でもあるということで、なかなかイレギュラーにして面白い作品になっておりますね。
リウ:以前からライヴ・ベストを出したいよねと話はしていたんですけど、どうせだったらできてる新曲も入れようよということにもなり、今回はライヴ・ベストの入った盤と新曲2曲を入れた盤の2枚組で出すことになったんですよ。
フクスケ:2021年の10月24日に、我々メトロノームはKING RECORDSさんの持っている池袋のClub Mixaというハコで、配信ライヴをやらせてもらったんですが、今回のライヴ音源はすべてその場で演奏したものになってます。
リウ:実を言うと、10月24日の分だけではなくて、他にもライヴ・テイクはいくつかそれまでにも録ってあったんですけどね。ただ、最近にやったこの日のライヴの内容が結構良かったので、ここはすべて同じ日に録った曲たちを1枚にまとめちゃっていいんじゃない? ということになったわけなんです。
-ライヴ盤を世に出すとなったときに、ライヴ本番中に意識する必要があったことは何かありました?
フクスケ:僕の場合、ライヴのときはライヴのことに集中しているので。これがあとになって音源として出る、ということは考えてなかったですね。なので、演奏中はいつも通りに、勢いにまかせてやっていた感じでした(笑)。
シャラク:ライヴ当日の時点では、まだその日の収録分だけでライヴ・ベストを作るかどうかは全然決まっていなかったんですよ。でも、とにかく自分は"歌詞を間違えないようにしなきゃ"という気持ちが強かったので、フクスケとは違って本番中は自分の立ち位置から一切動かず歌うことに集中してました(笑)。
-ちなみに、配信ライヴ当日のセトリについてはどのように決められたのでしょうか? のちのち音源化することは踏まえての構成だったのですか?
リウ:そこはガッツリ意識してました。メジャー・デビュー5周年ということも前提にしながら、これまでにKING RECORDSさんで出してきたアルバムたちから、だいたい均等に曲を選んでいったんです。もちろん、実際のライヴ当日にはこの収録されている曲数よりも多くの曲を演奏したんですが、このアルバムには、その中から特に良かったテイクを流れに沿って1枚通して入れてあるんですよ。
-つまり、このアルバムは当日のライヴのダイジェストになっていると。
リウ:そういうことなんです。曲順的に前後しているところとかはありません。
フクスケ:曲数が最終的に16曲になったのは、単純にCDの収録時間とのかねあいですね。まぁ、メンバーの意見とかオトナの事情? とかも加味しつつ(笑)。まさにライヴ・ベストという感じの曲が並んだ作品になったんじゃないでしょうか。
-では、このアルバムの中において、個人的な観点から"このプレイが特に良かったので、ぜひ聴いてほしい"という部分がありましたら、おひとりずつ教えてください。
フクスケ:僕は7曲目の「デリート」ですね。もともとこの曲は『セルフコントロール』(2002年リリースのシングル)に入っていた曲で、前に『廿奇譚AHEAD』(2018年リリースのアルバム)を出したときは再録もしていて、そのときには、エンディングをギター・ソロっぽい感じで終わっていくアレンジにちょっと変えたんですよ。今回のライヴ・テイクでは、そのあたりにライヴならではの熱さが出ているといいますか。上手い/下手とかじゃなく、その熱さが音に出ているところをこの曲では感じられるんじゃないかと思います。
リウ:自分の個人的なプレイという観点ではないんですけど、この日のセットリストは自分が決めたというのもあって、最後に「Catch me if you can?」、「血空」、「解離性同一人物」の3曲が並んでいるところが結構大事なポイントになったなと思ってます。「解離性同一人物」は今回のライヴ・ベストの中でのリード曲でもありますし、この3曲はどれもアンコールでやった曲で、それぞれのメンバーにとっては、いずれもKING RECORDSさんから出した音源で、初めてリード曲として採用されたものばかりなんですよね。そして、この件についてはあえてこっちのほうから話題にしていなかったにもかかわらず、配信ライヴを観てくださった方たちの中には、ちゃんとそこに気づいてくれた方も多かったみたいで、反響がかなり大きかったんですよ。僕としては"あぁ、やっぱりこういうセットリストにして良かったな"と感じたので、その部分を改めてこのライヴ盤にそのまま収録できたことが嬉しいです。
シャラク:僕も1曲に絞るのはなかなか難しいんですが、例えば4曲目の「暗いbaby」とか6曲目の「おやすみ世界」とか8曲目の「脳内消去」、あとは9曲目の「とある事象」。このあたりはライヴを経ていくことで、レコーディング時と歌い方がわりと変わってきている曲たちなので、これはまさにライヴ音源ならではの歌になっているなぁと自分でも感じてます。結局、レコーディングのときっていうのは、"まだその曲にあんまり慣れてない"状態で歌ってますからね(笑)。そこからツアーとかをしていくうちにだんだんと自分になじんでくるところがあるので、そういう部分がここにはよく出ているんじゃないかと思います。