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INTERVIEW

メトロノーム

2018.03.02UPDATE

2018年03月号掲載

メトロノーム

Member:シャラク(Vo) フクスケ(Gt) リウ(Ba)

Interviewer:杉江 由紀

三神一体による歴史の肯定が、やがては未来へと繋がってゆくことになるのだろう。今年、結成20周年を迎えるメトロノームがこのたび発表するシングルのタイトルは、その名も『弊帚トリムルティ』。一昨年、7年ぶりに奇跡の再起動を果たし、世間的にはエレクトロ・ポップ・ヴィジュアル系バンドともニュー・ウェーヴ・ヴィジュアル系バンドとも呼ばれている彼らが、いよいよここで過去現在未来をすべて統合した作品をシングルというかたちで提示してみせたのだ。テクノとロックを基盤にしながらも、そこにV系ならではのエキセントリックさや先鋭性による彩りを加味し、より前衛的な音像を生み出していこうとしているメトロノームの音像を聴くがいい。

シングルの場合、3人全員の曲を入れることは再起動のときからずっと決めていた


-今年で結成20周年を迎えるメトロノームにとって、シングル『弊帚トリムルティ』は2018年初のアイテムです。こちらは、どんな狙いを持たせた作品となるのでしょうか。

フクスケ:このシングルの制作にあたっては、いつものようにまずは3人各々で曲を作っていくところから始めました。一昨年の再起動を経て、この20周年の節目を飾る最初のアイテムという意味では、シャラクからすると再起動以前の当初のメトロノームの雰囲気を出していきたいと考えていたようですし、リウは3人それぞれの見せ場がある曲にしたいという意志を持っていたようなので、いずれもその流れに沿った曲たちが出てきたことになると思います。僕の曲も含め、シングルの場合、3人全員の曲をそれぞれ入れることは再起動のときからずっと決めていたことでもあるんですよ。

-表題曲「弊帚トリムルティ」はリウさんが作られたものになりますが、この曲が今回のシングルにおける顔役となった決め手はなんだったのでしょうか。

リウ:今回は3人で計12、3曲くらい作ったんですけど、最終的に「弊帚トリムルティ」に決まるまでには結構時間がかかりましたね(苦笑)。この曲に限らず、自分が作ったものについては共通して"頭から掴みのあるもの"ということは常に意識していたので、この表題曲に関してもイントロで鳴っているシンセのリード・フレーズから、サビ前のピアノ・フレーズ、サビそのものと、次から次へと目まぐるしく展開していくところだとか、聴けば聴くほどヤミツキになるような感覚はかなり意識しながら作りました。シャラク君の歌はもちろんのこととして、僕の弾くベースのフレーズや、フクスケ君のギターにも見せ場を持たせたかったんです。

-全編を通して、キャッチー且つダイナミックな音像が渦巻いている印象があるのはそのためだったのですね。ちなみに、ギタリストであるフクスケさんからすると、この「弊帚トリムルティ」において特に重視したのはどんなことでしたか。

フクスケ:リウの曲は派手なシンセが入っていることが多いので、それに負けないような勢いを出していくようにしました。あんまり歪ませすぎると......といっても充分これでも歪んではいるんですが(笑)、そこをやりすぎるとシンセの音とぶつかり合ってしまうので、そうならないように締まった音作りを心掛けましたね。それと、「弊帚トリムルティ」ではギター・ソロの部分をすごくスムーズに録れたのも個人的には大きな収穫でした。とても気持ち良く弾けたので、ギタリストとしてはそこも嬉しかったです。

-そのギター・ソロと前後するかたちで、「弊帚トリムルティ」にはベース・ソロ的な場面も存在しています。ギター・ソロを受けてのリレーションが、また実に鮮やかですね。

リウ:あれは最初に僕の方から"ギター・ソロを入れてください"というところから始まって、そのあとのベース録りの段階で"ここちょっと足そうかな"と思って入れたものだったんですよ。さらに、そのあとにはギターのリフだけになってからヴォコーダーで歌うみたいな流れもあるんですけど、あれもデモの段階では僕のコーラスだけが入っていたんですね。ただ、ユニゾンでギターのリフがあることを思うとそのコーラスは別になくてもいいなとなったので、思い切って減らしました。この曲の場合は、そういう作っていくなかでの足し算引き算がすごくうまくいったと思います。

-なお、いただいた資料によるとメトロノームは録音やミックスも基本的にメンバー・サイドで行っていらっしゃるそうですね。

フクスケ:うちの場合は作曲者がその曲に対しての打ち込みをすべてやって、そのあとに各自のパートは各自でやるんですよ。ミックスもシャラクの曲はリウがやることが多いですけど、僕とリウは作曲者本人がやっているんです。

-だとすると、サウンドメイクの部分で『弊帚トリムルティ』ならではの特性がより具現化されたのはどんなところになりますか。

リウ:表題になっている「弊帚トリムルティ」については、リズム・パートの音をかなり重ねてあるんですけど、中でもメインとなっているキックの音は君が使っている音源を"ちょっと貰えない?"と頼みまして(笑)、それを使いました。そして、そのキックの音はシャラク君の曲である「友達の和」でも少し足して使ったりしているので、このシングル全体を通してキックの音がひとつのキーになったところがあるんじゃないかと思います。まぁ、これだけ音数も多いですからキックの音がそんなに目立つわけではないですけれども、作り手側の細かいこだわりという点では、そこが意外と大きいポイントになっているのも事実ですね。