INTERVIEW
KEMURI
2014.10.07UPDATE
2014年10月号掲載
Member:伊藤 ふみお (Vo) 津田 紀昭 (Ba) コバヤシケン (Sax) 平谷 庄至 (Dr) 田中“T”幸彦 (Gt)
Interviewer:吉羽 さおり
-続く田中さん作曲の「My Hands」ではギターの速弾きが入っていたり、「MADNESS」はマイナー調のスカ・チューンだったり、或いはスカではない曲もあったりととにかく幅広い内容ですね。
田中:そうですね。「MADNESS」は、前作『ALL FOR THIS!』ではマイナーの曲がなかったので、ない感じの曲をというのと。「brand new world」も前回にはない感じのものだしと、色とりどりの感じにしました。
-今の日本のスカ・パンクというと明るい曲調が多いですが、「MADNESS」のようなダークな雰囲気がある、昔ながらのクールな曲は新鮮ですね。
伊藤:今もそうかもしれないけど、ある時期どんどんスカ・パンクがポップになっていったのもあって。そういうのを見ているからもあるかもしれないですね。今の年齢に沿っていて、またずっとやってきているからわかる雰囲気というかね。
津田:マイナー調のスカも、各アルバムにわりかし入ってると思ってるんだけど、これはまたタイプが違って。90年代のスカコアみたいなイメージだし、ネオスカもちょっと入っていたりして新鮮ですね。
-「brand new world」はスカっぽくない曲ですよね。こういう曲もアリになってしまうのもKEMURIならではですね。
津田:スカ・カッティング入ってない曲も相当あるしね。
田中:「I am proud」もそうだしね。
伊藤:「I am proud」はスカ・コンピの『STRANGER THAN SKA』に収録された曲なのに、スカが入ってないっていう(笑)。
津田:ミクスチャーみたいなものなのでね、スカ・パンクは。何でもありなんです。
田中:そのいろんな音楽が混ざっているのが、面白さなんだと思うですよね。
伊藤:でもなかなか、難しかったですねこの「brand new world」は。ライヴでやるには練習しなくちゃなと思ってる曲ですね。最初にデモで聴いたときには、きっとこれは途中でガーと速くなるタイプの曲だろうなとタカをくくってたら、最後まで変わらなかった(笑)。
田中:はははは!
伊藤:"あ、これで終わるんだ"って(笑)。ある意味衝撃を受けたデモだった。こういう曲はないわけじゃないけど、ここまでクワイエットなのは珍しい感じもする。
-そしてアルバム中唯一の日本語詞曲「ima-sorewo-hikarini-kaete-susume!」。これは日本語詞でいこうというのがあったんですか。
伊藤:これは、日本語の歌詞が出てきたんですよね。Tにもなんとなく"日本語の歌詞はどうかな"って聞いたら、"それならあの曲が合うと思いますよ"って言っていたのが、この曲だった。"言葉を入れたいからちょっとメロディを変えてくれないか"ってレコーディングの日に言ったりもして。めんどくさいっちゃめんどくさい感じでやったんだけど(笑)。
-そのとき、日本語で描きたいものがあったんですか。
伊藤:そうですね。10枚目というのは特に意識しなかったんですけど、スカやスカ・パンクという音楽はそれまで他人がやってないことが面白くて始めたようなところが大きいんですが。当時誰もやってなかったわけじゃないけど、例えば身近で誰かがこういった音楽をやっていて、それがかっこいいっていうので始めたわけでもないし、何にも約束されてない中で音楽を始めたんですよね。これからも進んでいくという時に、長い間やっているとどうしても、パッとやりたいことをやっちゃえばいいし、行きたいところに行っちゃえばいいんだけどなかなかそうもいかないこともあるんですよね。それは個人的にも、バンド的にも、いい意味でも悪い意味でもね。そういうものに対するテーゼというと大げさだけど、道のないところにも道のようなものが見えたら、それを自分たちの光として信じて進んでもいいんじゃないかなという思いがすごくあって。その思いがパッと出てきたんですよね。