INTERVIEW
KEMURI
2014.10.07UPDATE
2014年10月号掲載
Member:伊藤 ふみお (Vo) 津田 紀昭 (Ba) コバヤシケン (Sax) 平谷 庄至 (Dr) 田中“T”幸彦 (Gt)
Interviewer:吉羽 さおり
-なるほど。
伊藤:でも曲調は全体的にシンプルになっているというか、『our PMA』(2007)っていう解散前に出した最後のアルバムとか、一時期に比べるとみんなシンプルになってきていると思う。
津田:あのころは試行錯誤していたんだと思うんだよね。もっと変えなきゃとか。
伊藤:そうだね、難しいもんね。僕は、みんながデモを作ってきた時に、密かに前のアルバムを全部聴くんです。一応、歌詞も含めて全部チェックするんですよ。今回のアルバムは、結果的にだけど、1番自分の中では1stアルバムに近いアルバムになったと思うんだけど。でも完成するまでは、全然、そんな感じしなかったんだよね。何なんだろう、空気感なのかな? みんなの作ってきた曲をそのままのバランスでやった感じで。なかなか考えてもできないものだと思うんですよね。なにかが作用してそうなったんだろうなという感じで。面白いもんですよね。音楽やってるっていう感じがすごくする。
-アルバムのオープニングとなる「SUNNY SIDE UP!」はからっとした明るい曲ですね。子どもたちのコーラスが入っていたりハッピーなムードが満載で。この曲でアルバムを幕明けるのがとても印象的で、これまでにはないアルバムの始まりだなと思うんです。
コバヤシ:そうですよね。1曲目ということでは反対意見もあったんですけど、最終的には僕がごり押ししちゃった感じでした。ショップでCDをで買う人って、わりと内側に秘めた思いがあって、音楽を自分の中での救済の材料として使っている人もいると思うんです。あんなことがあったな、苦しいことがあったなって、CDを買ってみようかなって試聴したときに、パッと"まあ、いいか"ってなるような、心ほぐすものになったらいいなと。ウォーミングアップのような――と言ったら、作った庄至さん(※平谷)に失礼ですけど(笑)。固まった心を解きほぐしたいっていうのもあって、"これ1曲目にどうですか?"って押したんですよね。
伊藤:こういう曲で始まったアルバム今までにないしね。
-平谷さんは、どんなイメージで曲を作っていたんですか。
平谷:結構シュッと早くできて持っていったんですけど。そこからみんなで作り始めたら、じゃあ、ここに子どものコーラスも入れようかとかびっくりするくらいぱぱぱっとできあがっていったので。しかも、1曲目になってびっくりしてという感じでしたね。
-そして歌詞もとてもキャッチーで、爽やかに明るい。
伊藤:これは歌入れの朝に歌詞を書いたんですけど、すっごくいい天気の日で。お昼くらいから歌入れで、朝早く起きて歌詞を書いていたんです。米・コロラドのスタジオで、スタジオのキッチンを抜けると小川が流れているような場所で、すごく景色もきれいなんですよね。それでできた曲なんですよね。
-その気持ちのいい景色や天気がそのまま反映されているんですね。
伊藤:そうですね。余談ですけど、コーラスを入れてくれた女の子ふたりがものすごい前のめりで(笑)。歌うの大好きなんですよ。エンジニアの娘とその友達なんだけど、その子たちがほんとにワクワクしてスタジオに来てくれて。ちょっと楽しんで録音してくれたっていうのが、空気感として入ってるんじゃないかな。
-この「SUNNY SIDE UP!」で始まって明るい雰囲気のアルバムだなと、そう思っていると「I am proud」のようなタフでエネルギッシュな曲もある。こちらは津田さんの曲ですが、先ほども言っていたようにスピーディで、かつKEMURIらしい曲ですね。
津田:そうですね。毎回1曲は、KEMURIっぽいイメージの曲はやってるつもりなんです。でも、深くは考えているわけではないですけどね。この手のテンポ感は1番きつくて、なんだけど1番馴染みのあるテンポっていうか。90年代のパンク・ロックとかメロディック・パンクの感じですよね。