－メンバー皆さんが楽しんでいる様子が伝わってきます。そういったライヴの企画はメンバーから生まれたものですか？

愁：そうです。メンバーだけで全部プロデュースしました。
左迅：セッション・バンドのメンバーも全て自分たちでブッキングして、ツーマンのバンドのブッキングも自分たちでやって、まさに自分たちで作り上げた１３日間でしたね（笑）。
愁：ラウドロックをあれだけ楽しく表現できるバンドは他にいないと思うんですよ。僕自身、振り返ってみて“馬鹿だなー。音ゴリッゴリだなー”って思いましたもん（笑）。だけど、同時に“これは俺たちの武器だな”って思いました。

－確かに。海外をみてもラウドロック・シーンは今下火ですし、こういうエンターテインメント性のあるラウドロック・バンドは特に貴重な存在だなと思います。

愁：嬉しいです。

－確かに。ただ、エンターテインメント性を追求することによってコマーシャリズムだなんだと言われてしまうこともあると思うのですが、そこに抵抗はなかったですか？

愁：僕は、無駄なプライドは捨てたつもりです。全て言い訳にしか聞こえないし、同期で解散していくバンドもたくさん見てきたし。何が正解かは分からないですけど、“俺らはロック・バンドだからこれしかできない”って自分たちでカテゴライズしてしまうことがもったいないなっていうか。もっと表現できることもあるだろうし。本当にそれが好きで、広めたいって気持ちがあるなら、色んな方法があると思うんです。それを突き通していくのは、かっこいいことだと思うんですよ。だからって否定するのは違うんじゃないかなって思うんです。

－そうですね。

愁：ただ、僕らにもそういう時期はありましたよ。“何をバカなことやっているんだ”って否定してみたり。“歯を見せるんじゃねー！”とか“男はだまって縦に首振ってろ！”とか……
一同：（笑）
愁：そういう時期もあったんですけど、いろんなものを見て、いろんなことを経験してきて、今は手段はいっぱいあるなって思っています。

－なるほど。音楽的なスタンスで共感できるようなバンドは他にいますか？

Яyo：そうですねぇ……ゴールデンボンバーですかね。
左迅：捨て身でやってるじゃないですか。後先のことを考えずに。そのことだけにかけているんで、あの生き様はかっこいいなと思います（笑）。

－へぇ。彼らは楽器を弾かない人たちなので、本気でバンドをやっている方からしたらあまり認めたくない存在なんじゃないかと勝手に思っていましたが。

Яyo：そんな気はないですよ。気持ちがぐっと前に出ているところは尊敬できるし。それに、あれって楽器より辛いと思うんですよ（笑）。
一同：（笑）

－確かに（笑）。では、04年の結成の頃と比べてバンドのスタンスに変化はありましたか？

愁：「東京Sadistic～ぶっとおし13days～」で過去の曲を100曲くらいリハし直して思ったことは、重厚なサウンドにのるきれいなメロディ・ラインを通し続けているなってことです。リハとライヴを終えて、それを確信して、自信に繋がりました。全然ブレてないなって思いますね。

－そうですね。最近ではROTTENGRAFFTYやcoldrainと対バンする機会が多いようですが、彼らとはそれ以前から親交があったのですか？

左迅：「47都道府県ツアー」（※08～09年）をやったときに、ROTTENGRAFFTYやcoldrainに出演してもらったことがあったんです。それからずっと仲良くしてもらっていて、今でも交友関係は続いていますね。最近も、僕らから声をかけたり、逆に誘われたりしています。確かに、一緒にやる機会は多くなってきましたね。僕らはヴィジュアル系だったらヴィジュアル系っていう風に枠にはまるのを嫌うバンドなんで、それを打破していきたいっていう思いは強いです。そうすることで見えてくるものもあるし。お客さんもいろんなバンドが見ることができて楽しいと思うんですよ。これからもどんどんそういう機会を作っていきたいですね。そうすることで、自分たちにエネルギーを注いでいきたいです。

－そうですね。そのcoldrainとの名古屋ライヴはいかがでしたか？

Яyo：俺ら、良いライヴが出来たんですよ。完全にアウェイだったんですけど。だけど、お客さんはすごく温かかったです。かっこいい音を出せば、みんな認めてくれるんだって思いました。だから、こういうメンツとどんどんやっていけば、これからもっと広がっていくと思っています。やっぱり資料を見ただけじゃ伝わらないことってありますからね。実際にライヴで音を出して、それを見せつければ、皆ちゃんと認めてくれるんだって。
愁：継続するしかないよね。
Яyo：うん、継続するしかないね。
左迅：あの日のライヴ全体の熱量が半端ないんですよ。他のバンドを見て「こいつらやべぇな」って思いながら追い込まれることで、僕らもいつも以上の力を発揮できたりするんです。どんどんやっていきたいと思いますね。