INTERVIEW
TRIVIUM
2011.08.05UPDATE
2011年08月号掲載
Member:Matthew Kiichi Heafy(Vo&Gt) Corey Beaulieu(Gt&Vo)
Interviewer:ムラオカ
-Travisが脱退したのは技術的な問題だったのでしょうか?
C:考えてみれば、スピード面でついて来れなかったというところはあるかもしれないね。あとはチャレンジする姿勢が彼にはなかったんだよね。だから“こういった曲を久しぶりにやってみようぜ”って言っても、あまり気乗りしない態度を取られてしまうと、俺たちも争いになるのも嫌だから、避けてしまってずっとやらずに来てしまったような曲がたくさんあるんだ。
M:セットリストに入れている曲ですら、彼は苦しんでいた曲が結構あったみたいだよ。
-少し話は変わりますが、Jason Suecof、Nick Raskulineczと今までプロデューサーを起用してきましたが、今作は初のColin Richardsonによるプロデュースですね。ヘヴィ系のミュージシャンからは絶大な信頼を得ているプロデューサーですが、そんな彼を今回起用したのは何故でしょうか?
C:Colinはここ2作ではミックスを手掛けてくれていたし、ミックスだけじゃなくプロデュース面でももっと関わりたいと言っていてくれていたんだ。ただ、最初は今回のアルバムの雰囲気からするとNick Raskulineczのノリなのかなと思っていたところはあったんだけど、ロードランナーの担当者と話した時に“どうだいColinでいってみないか?”と提案してくれたんだ。今までスケジュールが合わなかったりと、なかなか実現しなかったんだけど、今回は条件もすべて整ったから、素晴らしいチャンスだと思って、今回はColinと彼のチームにお願いしたんだ。ある意味ようやく実現した共同作業といえるものだったね。俺たちとしても今となっては誰もが知ってる彼の有名なサウンド・メイキングがどうやって行われているのかってところもきちんと見ることが出来たのですごく興味深かったよ。すごく精密な音作りだから俺たちとしては新しい経験だったね。でもレコーディングのボタンを押すまでの準備がすごく綿密だから、こっちは辛抱強さがすごく要求された部分はあったね(笑)。だけど完成した作品を聴くと本当に素晴らしいものになっていて納得するんだけどね。彼はアイデアがすごく豊かだし、俺たちが抱いている理想のサウンドをしっかり受け止めて、それを具現化してくれる優秀なプロデューサーだよ。
-イントロを除く事実上の一曲目であるTrack.2「In Waves」をはじめ、前作までのオーセンティックなメタルへの回帰路線が一段落したように思えたのですが実際いかがですか?
M:全くその通りだと思う。ただ特定のスタイルにこだわっているわけではなかったんだ。どういうものが生まれてくるか、とにかく作ってみようと思ったんだ。ヘヴィなものでもメタリックなものでもシンプルなものでも出てくるがままに作った中で、「In Waves」をアルバム冒頭に持ってきたのは、そういった自由な姿勢が一番表れている曲だと思ったからなんだ。実際に曲を聴かせて返ってきた反応は95%が好意的なもので5%がネガティヴなものだったかな。ネガティヴな反応があるということはそれはそれでいいと思うんだ。TRIVIUMというバンドは昔からそういったところがあって、好きか嫌いか聴き手によってはっきり分かれるようなんだ。あとはギター・プレイの部分だけ取り上げても今回はミニマムなものになっているんだ。前作の『Shogun』は6分ほどの曲から12分位の曲もあって、パートで考えても1曲の中に8個も9個も異なるような曲もあったり、非常に野心的なサウンドのアルバムだったけど、今作は1つの音で語ってしまおうじゃないかと考えたんだ。あとはとにかく曲を重視していたから、あまり複雑なことを考えていなかったんだ。
C:今回はとにかくたくさん曲を作ることが出来たね。作っている中で、過去に作った曲と被るようなものはやりたくない、新しくて斬新なバイヴを生み出したいということを考えて作っていたよ。そこら辺のことはアルバム・リリース前のツアー中にもみんなで話し合っていたんだ。どのサウンド1つとってもエネルギーと激しさを感じられるものにするために、メロディックな曲でもヘヴィな曲であっても曲調に関係なく、3分から5分の曲になるよう余分な脂肪を削ぎ落としてミニマルなものにしていったんだ。
-非常にライヴ映えするタイプの曲が多いですね。
M:アルバム・リリース前のこの1年半から2年間はライヴをする機会がなかったんだけど、しかしそのうちの8ヶ月ほどはデモ制作を行っていたから、バンドとして演奏する機会はたくさんあったんだ。例えば僕の場合、これを歌いながら演奏できるのかって……そういうところまで検討する余地があったんだ。実は今までレコーディングの段階ではそこまで気が回っていない、ギターはギターで録って、ヴォーカルはヴォーカルで録っているから、実際にライヴになるとどう再現したらいいかを改めて考えるといったやり方だったんだけど、今回はその辺のことも前もって念頭において作業が出来たよ。